4月19日に行われたラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファムは終盤に自らペースを作り、ユイの壁を駆け上がったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)が初優勝。與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)は54位だった。



アネミエク・ファンフルーテン(オランダ)とリアヌ・リッパート(ドイツ)という強力メンバーを揃えたモビスター photo:CorVos

ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム2023コースプロフィール image:A.S.O.
男子レースに先立ち行われた第26回ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム。ベルギーのリエージュ州ユイを発着地点とするレースは、後半から男子と同じくコート・デレッフ(距離2.1km/平均5%)とコート・ド・シュラーブ(距離1.3m/平均8.1%)、そしてミュール・ド・ユイ(距離1.3km/平均9.6%)を含む29kmコースを2周半する127.3kmだ。

スタートラインに並んだのは前年覇者マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJ・スエズ)や他チームよりも1人少ない5名での出走となったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)、いまだ調子の上がりきらないアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)など。その他にも昨年9月の第2子出産から復帰した元世界王者エリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード)や與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)が出場した。

男子のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)と同じく、3日前のアムステルゴールドレースを制したフォレリングが注目されたレースは、キャロライン・アンデション(スウェーデン、リブレーシング・テックファインド)とアントリ・クリストフォロウ(キプロス、ヒューマンパワードヘルス)ら2名の飛び出しで幕を開ける。それにレイチェル・ニーラン(オーストラリア、コフィディス)ら2名が合流し、計4名の逃げグループが形成された。

レースはトレック・セガフレードを中心にコントロールした photo:CorVos

ユイの壁を越える與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:CorVos
実戦復帰を果たしたエリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) photo:CorVos


この日2度目のユイの壁で仕掛けたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

しかしこの日1度目のコート・ド・シュラーブで逃げ集団は吸収。そして春のクラシックを席巻するSDワークスを崩そうと、モビスターの高速牽引からファンフルーテンが直後のミュール・ド・ユイで仕掛ける。この動きにカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)とアシュリー・モールマン(南アフリカ、AGインシュランス・スーダル・クイックステップ)、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)という有力選手たちが追従。残り37kmにして強力な先頭5名による集団が誕生した。

これに遅れを取ったのはSDワークスだったが、15秒差をフォレリングが自ら集団先頭で詰めて僅か5kmでファンフルーテンらを引き戻す。このペースアップによって集団は25名程度に絞られ、トレック・セガフレードによる波状攻撃から35歳のベテラン、アマンダ・スプラット(オーストラリア)が単独で抜け出した。

単独で飛び出したアマンダ・スプラット(トレック・セガフレード、オーストラリア) photo:A.S.O.

単騎となったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)が自ら先頭でペースを上げる photo:A.S.O.

メイン集団からは地元ベルギー出身のジャスティン・ゲキーレ(AGインシュランス・スーダル・クイックステップ)ら3名が追走集団を形成したものの、スプラットに追いつかずプロトンに引き戻される。順調に踏み続けるスプラットを30秒差で追い、フィニッシュが近づくにつれ位置取り争いが激しさを増すメイン集団では落車が発生。これにデンマーク王者ジャージを着るセシリーウトラップ・ルドヴィグ(FDJ・スエズ)が巻き込まれ、ユイの壁を前に優勝候補の1人が脱落した。

フォレリングが自ら先頭を引くプロトンがようやくスプラットを捉え、フォレリングは残り6.9kmから始まるコート・ド・シュラーブ(距離1.3m/平均8.1%)でペースを上げて集団の選手を選別する。一時は先頭が11名に絞られたものの、ミュール・ド・ユイ(距離1.3km/平均9.6%)を前にファンフルーテンを含む後続集団が合流。牽制によりペースが落ち着いた30名程度の集団が、ついに最後の「ユイの壁」に突入した。

単独のフォレリングに対し、複数人を集団に残すキャニオン・スラムとトレック・セガフレードが先頭で残り1kmバナーを通過。しかし直後にフォレリングが再度先頭に立ち、シッティングで淡々と踏みながら加速する。対照的に激しいダンシングでニエウィアドマが食らいつくものの遅れ、この加速についていけないファンフルーテンのチームメイト、リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)が追い上げる。

フィニッシュ手前で勝利を確信し、涙するデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

アムステルゴールドレースに続くアルデンヌ2連勝を飾ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) photo:A.S.O.

一度リッパートに追いつかれたフォレリングだったが、後ろを振り返ることなくシッティングで自らのペースを維持。そして上下にペダルを踏み込むリッパートを引き離したフォレリングが、そのままユイの壁をクリア。フィニッシュ手前100mでようやく後方との差を確認し、笑顔が溢れたフォレリングがラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム初優勝を掴み取った。

「チームメイトが私の勝利を信じ、レースを通してサポートしてくれたことが、私を勝利へと導いてくれた。早い段階で集団を絞ろうとペースアップし、最後の坂(ユイ)では後ろを振り向かず、自分のペースで登った。だからフィニッシュ手前で初めて振り向いたとき、後ろと大分差が拡がっていたので驚いた。チーム一丸となり掴んだこの勝利が本当に嬉しい」と、涙を流しながらフォレリングはそう喜んだ。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム2023表彰台:2位リッパート、1位フォレリング、3位レアリーニ photo:CorVos

アムステルゴールドレースに続きフレーシュも制したフォレリング。アルデンヌクラシック完全制覇のかかる4日後のリエージュ~バストーニュ~リエージュについては「もし勝つことができれば信じられない春のクラシックとなる」と意気込みを語った。

2位には5秒遅れでリッパートが入り、今年トレック・セガフレードに加入した21歳のガイア・レアリーニ(イタリア)が3位で表彰台に上がった。ファンフルーテンは10秒遅れの10位、與那嶺は2分17秒遅れの54位だった。


ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム2023結果
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) 3:29:25
2位 リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) +0:05
3位 ガイア・レアリーニ(イタリア、トレック・セガフレード) +0:07
4位 マビ・ガルシア(スペイン、リブレーシング・テックファインド) +0:10
5位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ)
6位 アシュリー・モールマン(南アフリカ、AGインシュランス・スーダル・クイックステップ)
7位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
8位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ) +0:16
9位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
10位 ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)
54位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) +2:17
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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