Jプロツアー第2戦の志布志クリテリウムが2月26日に開催され、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が前日の第1戦に続き優勝し、開幕2連勝を決めた。女子はこのレースが復帰戦となった山本さくらが優勝。シエルブルー鹿屋が1-2フィニッシュを達成した。



志布志港の港湾道路を走るクリテリウムコース photo:Satoru Kato

鹿児島県でのJプロツアー開幕2連戦。2日目は大隅半島の東側に位置する志布志港周辺に舞台を移してのクリテリウムだ。

関西方面へのフェリーや貨物船が発着する志布志港に面する「しおかぜ公園」前をスタートフィニッシュとし、港湾道路をL字形に周回する1周2.9kmのコースが設定された。2カ所の折り返しを含むコースはアップダウンが全くない完全フラット。日によっては海からの強風にさらされるそうだが、幸いにもこの日は朝から穏やかに晴れわたり、日焼けするほどの日差しと暖かさに恵まれた。

2ヶ所の折り返しコーナーがある志布志クリテリウムのコース photo:Satoru Kato

リーダージャージ2名を先頭にスタート photo:Satoru Kato

Jプロツアーのレースは17周49.3km。午後1時45分にスタートしたレースは、細かなアタックと吸収を繰り返しながら序盤の周回を消化していく。

6周目に入ると中井唯晶(シマノレーシング)とトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)の2名が飛び出し、10秒ほどの差をつけて先行。これをきっかけに當原隼人(愛三工業レーシングチーム)、石原悠希(シマノレーシング)、伊藤舜紀(シエルブルー鹿屋)、宮崎泰史(キナンレーシングチーム)、加藤辰之介(イナーメ信濃山形)らがメイン集団から合流し、9周目までに7名の先頭集団が形成される。

レース中盤に形成された7名の先頭集団 photo:Satoru Kato

レース後半は愛三工業レーシングチームが主導 photo:Satoru Kato

終盤、草場啓吾の後ろで走る岡本隼(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato

メイン集団はリーダージャージの岡本隼を擁する愛三工業レーシングチームがコントロールを開始。シエルブルー鹿屋も加勢して30秒前後の差を維持してレース終盤へ向かう。

残り3周を切ると、先行する7名とメイン集団との差が一気に縮まりはじめ、最終周回の17周目に入ったところで吸収。その後はスプリント勝負に向けてシマノレーシング、シエルブルー鹿屋、キナンレーシングチームなどが集団前方に集まって主導権争いが始まる。

地元チームのシエルブルー鹿屋も集団コントロールに加わる photo:Satoru Kato

最終周回 各チームが集団前方で主導権を争う photo:Satoru Kato

残り400mの最終コーナーは、岡本を従えた愛三工業レーシングチームが先頭でクリア。岡本が残り200mからスプリントに入ると、最後のリードアウトを務めた草場啓吾が後方で勝利を確信して右腕を挙げる。前日に続き他を寄せ付けないスプリントを見せた岡本が開幕2連勝を決めた。

リードアウトした草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が岡本隼の勝利を確信 photo:Satoru Kato

岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が優勝 photo:Satoru Kato

「チームでまとまって、今まで以上に一人一人の得意な分野を出し切って勝負できた。その結果がこの2連勝につながったと思う」と、岡本は言う。

「周りのイメージも自分達の意識としても、今日のクリテリウムは絶対落とせないと意識して臨んだ。昨日勝っているから他のチームが好きにさせてくれないと予想はしていて、あらゆるケースを想定していた。後半に形成された逃げは人数がちょっと多いと感じたが、焦らず確実に追えるタイミングで集団を牽引してスプリントに備えることが出来た。残り200mを切ってから全力を出せるように、最後まで冷静に判断できたし、チームメイトを信頼して脚を溜めることが出来た」

リードアウトを務めた草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が岡本隼と握手 photo:Satoru Kato
水谷監督のセルフィーに収まる愛三工業レーシングチームのメンバー photo:Satoru Kato


表彰式 photo:Satoru Kato

「昨日勝てたことで今日のレースに対しても良いイメージをチームとして持てた。でも今日のレースで最後ゴチャついてしまった場面もあったように勝てる保証は無いのがレースなので、今までの経験とチーム内での協調でうまくまとめられた」とレースを振り返る。

そして1週間後に迫った富士クリテリウムでは2連覇がかかるが、「この2レースでスプリント勝負の良いイメージが持てたので、来週の富士クリテリウムは連覇を目指したい。今回より強いチームも集まるが、自信をもって臨みたい」と、語った。
Jプロツアー第2戦 志布志クリテリウム 結果(49.3km)
1位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) 1時間5分55秒
2位 岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング) +0秒
3位 津田悠義(キナンレーシングチーム)
4位 河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)
5位 横山航太(シマノレーシング)
6位 大河内将泰(シエルブルー鹿屋)
中間スプリント賞
1回目  エリック・ディアテンス(アヴニールサイクリング山梨)
2回目 石原悠希(シマノレーシング)
3回目 伊藤舜紀(シエルブルー鹿屋)

Jプロツアーリーダー 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
U23リーダー 津田悠義(キナンレーシングチーム)



女子 山本さくら復帰戦勝利でシエルブルー鹿屋1-2フィニッシュ

F(女子)このレースが復帰戦となった山本さくら(シエルブルー鹿屋) photo:Satoru Kato
F(女子)リーダージャージを着る成海綾香(シエルブルー鹿屋)が序盤から人数を絞る動きを見せる photo:Satoru Kato


F(女子)山本さくらと成海綾香(シエルブルー鹿屋)で1-2フィニッシュ 揃ってガッツポーズ photo:Satoru Kato

女子のレースは8周23.2km。元リオデジャネイロ五輪代表で2020年に引退していた山本さくらが、シエルブルー鹿屋での復帰戦として出場した。

前日のレースで優勝した成海綾香(シエルブルー鹿屋)が序盤からペースアップしていき、集団の人数を絞っていく。最終周回までに残った4名でのスプリント勝負となり、成海のアシストを受けた山本が優勝。シエルブルー鹿屋がワン・ツーフィニッシュを達成した。

10月の鹿児島国体を目標に選手復帰を決めたという山本「私が走ることでこんなに喜んでくれる人がいるとは思わなかった」と、嬉しさと驚きを隠せない様子。

「3ヶ月前に練習を再開して持久系の力はまだまだの状態だったけれど、中間スプリントを取れたのでこのメンバーなら行けるかなと思った。最後は(成海)綾香が引っぱってくれて良い形にすることが出来た。

最初はこのレースに出るつもりは無かったけれど、どこまで力がついているか確かめるためにもクリテならと思って出てみようかと思った。選手復帰はみんなに驚かれたけれど、選手として呼んでもらえたのはありがたいことだし、国体に向けて良い経験になったと思う。今後はロードレースを走る予定はないが、トラック種目中心に10月の鹿児島国体に向けて調整していきたい」と、山本は語った。

F(女子)開幕2連戦でリーダージャージを守った成海綾香(シエルブルー鹿屋) photo:Satoru Kato
1-2フィニッシュを決めた山本さくら(左)と成海綾香(シエルブルー鹿屋) photo:Satoru Kato


一方、地元での開幕戦で勝利し、リーダージャージを守った成海は「今までリーダージャージを貰ったことがなかったので嬉しいが、今回は同世代の小林あか里さん(弱虫ペダルサイクリングチーム)や、植竹海貴さん(Y's Road)が出場していないので、リーダージャージを守ったとは言えプレッシャーを感じている」と語る。

「地元レースなので勝たなければならないというプレッシャーもありましたが、期待に応えることが出来たと思う。3月の袋井のレースでは今回いなかった選手も出てくると思うので、しっかり準備していきたい。私の自転車競技のゴール地点は鹿児島国体と考えているので、それに向けても準備していきたい」と、次の目標を語った。
F(女子) 結果(23.2km)
1位 山本さくら(CIEL BLEU KANOYA) 37分56秒
2位 成海綾香(CIEL BLEU KANOYA) +1秒
3位 仲村陽子(フィッツ)
中間スプリント賞 山本さくら(シエルブルー鹿屋)

フェミニンリーダー 成海綾香(シエルブルー鹿屋)



その他レース

E1優勝 辻野壱哉(VC FUKUOKA DEVELOPMENT TEAM) photo:Satoru Kato

E2優勝 石川裕彬(TEAM OKINAWA) photo:Satoru Kato
E3 藤村 一磨(都城工業高校・オープン参加)が1位 photo:Satoru Kato


M(マスターズ)小玉篤志(Team FunCycle・オープン参加)が僅差で岸本伊織(mkw)を差して1位 photo:Satoru Kato
Y1(ユース)優勝 平山雷斗(中部大学第一高等学校) photo:Satoru Kato




text&photo:Satoru Kato

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