ツアー・オブ・オマーン最終日はジャバル・アルカイダを駆け上がる山頂フィニッシュ。マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が勝利し、区間2位のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)が総合優勝に輝いた。



スタート前にポーズを取るグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン) photo:CorVos

JCL TEAM UKYOが参戦するツアー・オブ・オマーン(UCI.2.Pro)も最終第5ステージを迎えた。この日はサマイルから最終山岳ジャバル・アルカイダ(距離5.7km/平均10%)、別名グリーンマウンテンの頂上に駆け上がる152.2km。最後を除き平坦路のステージで、前哨戦マスカット・クラシックで単独逃げを披露した石橋学が逃げグループに入った。

ワールドチームからローレンス・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン)も加わった逃げ集団は7名。しかしロット・デスティニーや2日連続勝利を狙うUAEチームエミレーツらがタイトなコントロールをしたため大幅なリードは奪えない。最終山岳の序盤まで粘ったナーセンとセリエル・デサル(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)が捕まると、区間優勝と総合優勝の行方を決める登坂バトルが幕開けた。

逃げに乗った石橋学(JCL TEAM UKYO) photo:A.S.O.

地元の人々から応援を受ける逃げ集団 photo:CorVos
無事にシーズン初戦を終えたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:A.S.O.


レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が先頭でハイペースを刻み、それに総合首位マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)とマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ)、ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)が追従。2日目勝者のヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)やアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)が遅れるなか、勝利はこの4名に絞られた。

フィニッシュ地点の待つ頂上まで残り1kmを切り、牽制を打ち破るようにブシャールが仕掛ける。この加速にタラマエが脱落する一方で、ファンセヴェナントのアタックにヨルゲンソンが食らいつく。そして23歳の2人による登坂スプリントをファンセヴェナントが制した。

最終山岳ジャバル・アルカイダの頂を目指すプロトン photo:A.S.O.

最終山岳でアタックするマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

最終山岳を制したマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

「暑さもありとても厳しいステージだったが、調子自体は良く、急勾配の坂で踏み続けることができた。実はここで優勝経験のあるヤン・ヒルトから”できるだけ飛び出すの待ち、最後は全力で踏み続けろ”とアドバイスをもらっていたんだ。本当に嬉しいよ」とファンセヴェナントは喜ぶ。

また自身2年振りのプロ2勝目がチーム通算900勝目となったことを「20年で900勝なんて信じられない数字だし、次なる1000勝という目標み向かって僕らは走り続ける」とコメントした。

そして総合優勝は3日目の勝者であるヨルゲンソンの手に。「マウリのスピードには驚かされた。しかし自分のコンディションもすこぶる良く、勝利には届かなかったものの区間1勝に加え、総合優勝は本当に嬉しいよ」と語るヨルゲンソンは、アメリカ人選手として初となるツアー・オブ・オマーンの総合優勝者となった。

自身初となるステージレース総合優勝を飾ったマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) photo:A.S.O.

JCL TEAM UKYOからは小石祐馬が3分43秒遅れの37位でフィニッシュ。またこの日を39位(3分57秒遅れ)で終え、総合32位で小石と共にUCIポイントを3点獲得した山本大喜は「最後までチーム一丸となり全力で走り、目標としていたUCIポイント圏内の32位でゴール。今はまだ世界との差はあるが、このチームと挑戦をし続ければ、必ず世界と戦える時が来る。JCL TEAM UKYOと共に全力で進み続けます。沢山の応援ありがとうございました」と自身のSNSに綴っている。

ツアー・オブ・オマーン2023第5ステージ結果
1位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:53:51
2位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) +0:12
3位 ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) +0:22
4位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:37
5位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)
6位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
7位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック) +0:58
8位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
9位 カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター) +1:00
10位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) +1:12
個人総合成績
1位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) 19:56:21
2位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:01
3位 ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) +0:28
4位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:46
5位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:48
6位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) +0:58
7位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) +1:20
8位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック) +1:22
9位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) +1:36
10位 カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター) +1:37
32位 山本大喜(JCL TEAM UKYO) +6:07
38位 小石祐馬(JCL TEAM UKYO) +7:57
その他の特別賞
ポイント賞 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
ヤングライダー賞 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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