2023年UCIウィメンズワールドツアー2戦目であるカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースは、スプラットと新鋭ルース・アドヘースツ(オランダ、FDJ・スエズ)の一騎打ちに。ズイフト出身のアドヘースツがワールドツアー初勝利を飾った。



チームプレゼンテーションに姿を現した優勝候補筆頭のアマンダ・スプラット(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Trek - Segafredo

グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJ・スエズ)の総合優勝で幕を閉じたサントス・ツアー・ダウンアンダーと同じく、3年振りに開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。その名の通りオーストラリア人として初のツール・ド・フランス制覇を成し遂げたカデル・エヴァンスの功績を称え、2015年より開催されているワンデーレースがレースカレンダーに戻ってきた。

舞台となるのはツアー・ダウンアンダーが開催されたアデレードと主要都市シドニーの間にあるメルボルンに程近いジーロング。2010年にロード世界選手権を迎えたジーロングの市街地をスタートする選手たちは、内陸を抜けてベルス・ビーチを通過。再び出発地点のジーロングに戻ってから例年のコースを逆走するようにチャランブラクレセント(距離1.3km/平均7.2%/最大22%)を含む16.6kmコースを2周する。

スタート地点であるジーロングのカルディニアパークに集ったのはジェイコ・アルウラーやトレック・セガフレードら5つのワールドチームを含む12チーム、72名の選手たち。例年よりも20kmほど距離の長い140.8kmレースで、20歳ケーリー・ベネット(オーストラリア、チーム・ブリッジレイン)と22歳ソフィー・エドワーズ(オーストラリア、ARAスキップキャピタル・サンシャインコースト)の2人が逃げを開始した。

72名の選手たちがスタートを切った3年ぶりのカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース photo:Cadel Evans Great Ocean Road Race

メイン集団の人数を絞りながら進むプロトン photo:Cadel Evans Great Ocean Road Race

丘陵地帯を進む選手たち photo:Cadel Evans Great Ocean Road Race

横風への警戒によりスピードが上がったプロトンは、残り74kmで早くも逃げの2人を吸収。ひと塊の集団からトレック・セガフレードのテイラー・ワイルズ(アメリカ)とアマンダ・スプラット(オーストラリア)が立て続けにアタックしたものの、決定打に欠き、そのままジーロングの周回コースに突入した。

この日1度目のチャランブラクレセント(残り26km地点)をルース・アドヘースツ(オランダ、FDJ・スエズ)先頭で通過した集団は、散発的なアタックと吸収が繰り返されながらラストラップへ。2度目にして最後のチャランブラクレセントもアドヘースツがトップ通過し、それに追従したアマンダ・スプラット(オーストラリア、トレック・セガフレード)と2人が下りを利用し後方との差を広げた。

フィニッシュまで9kmをローテーションを回しながら突き進んだ2名は逃げ切りを確定させ、勝負はマッチスプリントへ。残り200mから先にアドヘースツが腰を上げ、2016年以来となる2度目の優勝を目指したスプラットに対し、前を譲ることなく勝利した。

先んじてスプリントを開始したルース・アドヘースツ(オランダ、FDJ・スエズ) photo:FDJ - SUEZ

ワールドツアー初勝利を飾ったルース・アドヘースツ(オランダ、FDJ・スエズ) photo:FDJ - SUEZ

「急勾配の登りを含むタフな終盤のレイアウトだった。もちろん最初の作戦はブラウンでの勝利だったが、私が一度目のチャランブラクレセントを先頭通過したことで、そこからプランBに切り替えた。ワールドチーム所属1年目の私がこれほど早くワールドツアーで勝利するなんて信じられない」と、今年FDJ・スエズに加入したアドヘースツはワールドツアー初勝利をそう喜んだ。

アドヘースツは26歳の元スピードスケート選手。ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)が男子部門を制した昨年2月のUCI eスポーツ世界選手権で優勝し、FDJ・スエズとの契約を掴んだ遅咲きの逸材だ。

翌29日は男子のカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースが行われ、優勝候補の一人であるカレブ・ユアンがツアー・ダウンアンダーと同じくオーストラリアナショナルチームとして出場する。

サメヒレのトロフィーを受け取ったルース・アドヘースツ(オランダ、FDJ・スエズ) photo:FDJ - SUEZ

カデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース2023ウィメン結果
1位 ルース・アドヘースツ(オランダ、FDJ・スエズ) 3:52:47
2位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、トレック・セガフレード)
3位 ニーナ・バイスマン(オランダ、ヒューマンパワードヘルス) +0:04
4位 ジョシー・ネルソン(イギリス、コープ・ハイテックプロダクツ)
5位 ダニエル・デフランセーズ(ZAAFサイクリングチーム)
6位 ヘンリエッタ・クリスティ(ニュージーランド、ヒューマンパワードヘルス)
7位 ルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
8位 ジョージャ・ウィリアムズ(ニュージーランド、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)
9位 クリスタベル・ドーベルヒコック(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)
10位 シモーネ・ボイラード(カナダ、サンミッシェル・オーベル93)
text:Sotaro.Arakawa