シクロクロスのトップ選手であるトーン・アールツ(ベルギー)が会見を行い、UCI(国際自転車競技連合)に2年間の出場停止処分が課されたことを明らかにした。昨年1月に同選手の検体から禁止物質レトロゾールが検出されていた。



記者会見を行ったトーン・アールツ(ベルギー)記者会見を行ったトーン・アールツ(ベルギー) photo:CorVos
「残念ならがら、UCI(国際自転車競技連合)から2年間の出場停止を言い渡す通達を受け取った。そのため最低でも2024年2月16日までシクロクロスレースに出場することができない。だが、僕は引き続き無実を訴えていく。この処分はあまりにも厳しすぎる」と、記者会見に現れたトーン・アールツ(ベルギー)は涙ながらに語った。

アールツの尿サンプルから禁止薬物であるレトロゾールが検出されたのは、競技外チェックで採取された2022年1月19日の検体から。レトロゾールとは乳がんの治療薬や排卵誘発剤として使用される物質だが、テストステロンを上昇させ、マスキング剤としての用途もあることで知られている。

現在29歳のアールツは過去にシクロクロスヨーロッパ選手権(2016年)やベルギー選手権(2019年)を制し、シクロクロス3大シリーズの中で最も格式高い「UCIシクロクロスワールドカップ」で2度のシリーズ制覇(2018-19年、2019-20年)を果たしたシクロクロスのトップ選手。更に昨シーズン(2021-22年)はX2Oバドカマートロフェーで総合優勝に輝いた。

しかしアールツは本件が明らかになった昨年2月15日以来レースに出場しておらず、所属していたバロワーズ・トレック・ライオンズとも昨年9月14日に契約終了が発表された。

「パフォーマンス向上のためにドーピングしたことは過去に一度もない」と改めて主張したアールツ。「自分の潔白を証明するため、これからも全力を尽くしていく。そして自分が再びシクロクロスの世界に戻ることができると確信している。先行きの見えない状況ではあるものの一つ確かなことは、自分の第2の選手キャリアが遅くとも2024年2月16日に始まるということだ」と、会見を締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa