ナイトレースのスーパープレスティージュ第6戦で再びビッグスリーが対決。序盤飛ばしたファンデルプールは失速し、一騎討ちの末ピドコックを下したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が2日連続勝利を収めた。



ディーヘム名物のキャンバー区間に突入するディーヘム名物のキャンバー区間に突入する photo:CorVos
ゾルダーの翌日はディーヘム。年末年始の超過密スケジュールを過ごすシクロクロストップ選手たちは、スーパープレスティージュ第6戦に再集結した。

ベルギーの首都ブリュッセル郊外の市街地コースは、市街地やサッカー場の周囲の林を使ったもの。長い舗装路やキャンバー、階段、深いサンドセクションを含むハイスピードレースに男女とも世界屈指のトップ選手が再び集結。幾重にも重なったファンの前で2日連続の激しいバトルを繰り広げた。

女子エリート:ピーテルスがファンアンローイを振り切る

女子レースでは、これまでワールドカップだけに照準を合わせていたパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がスーパープレスティージュ初参戦。第2コーナーで転倒したものの、その後すぐ持ち前のフィジカルで独走態勢に持ち込んだ。

1周目から独走するパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)1周目から独走するパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
2番手を追うシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)2番手を追うシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos3番手争いを繰り広げるセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)3番手争いを繰り広げるセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

独走勝利を決めたパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)独走勝利を決めたパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
サンドセクションを踏み倒し、シケインをバニーホップで越えるピーテルスの背後では前日勝者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)たちが2番手グループを形成。しかし、やはりワールドカップに照準を合わせるシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が後方スタートからポジションを上げ、やがて単独2番手に浮上した。

スーパープレスティージュ2022-2023第6戦 女子エリート表彰台スーパープレスティージュ2022-2023第6戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos
独走するピーテルスとファンアンローイの差は全5周回中の4周目にかけて急速に縮まったものの、ピットからの檄を受けるピーテルスが最終的に逃げ切り。ファンアンローイを振り切って、雪のヴァルディソーレに続く今季6勝目を射止めた。持ち前の粘り強さで迫ったファンアンローイが2位、徐々に成績を上げるアルバラードが3位表彰台に滑り込んでいる。



男子エリート:マチューが脱落 ピドコックがミスを重ね、ワウトが三つ巴バトルを制す

序盤に独走したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)だが、中盤に失速序盤に独走したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)だが、中盤に失速 photo:CorVos
男子エリートレースは1周目のシケインで欧州王者マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が激しく落車し、気づけばワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)とマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)、そしてトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) の"ビッグスリー"が先頭グループとなりライバル勢を置き去りにしていた。

3人の中でレースを優位に進めたのは、このディーヘムで6年連続で勝ち続けているファンデルプールだった。サンドセクションのたびにリードを築き、全8周回中の4周目には2人を千切って独走体制に持ち込む。7年連続優勝かと思われたものの、5周目に入ると徐々に失速。「サンドセクションでリードできたけれど、差を維持するだけの足が今日は無かった」と振り返るファンデルプールは追い上げた2人に交わされ、そのまま沈没。「特に向かい風区間でスピードを維持できなかった。連勝記録を守れず残念だが、記録はいつか破られるもの」と、最終的に3位でレースを終えることとなる。

ファンデルプールの脱落後、ファンの注目はファンアールトvsピドコックに移った。その序盤こそファンアールトが独走していたものの、世界王者は諦めず合流し、勝負は振り出しに戻る。ランデブーから牽制を挟み、最終周回に入ると先にペースを上げたのはファンアールトだった。

先頭マチューを追いかけるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)先頭マチューを追いかけるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos最終周回まで先頭争いを繰り広げたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)最終周回まで先頭争いを繰り広げたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

ピドコックを振り切って勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)ピドコックを振り切って勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
3番手でフィニッシュするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)3番手でフィニッシュするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
「最後の2周回は完全に限界に達していた」と言うベルギー王者だったが、持ち前の安定感ある走りの背後でピドコックは細かいミスを重ねてしまう。1mの差が2mになり、そして勝負あり。ファンアールトが2日連続優勝を収め、2位がピドコック、ファンデルプールは33秒遅れの3位だった。

「健康に悪いレースだったよ」とファンアールト。「今日のレースは再び3人の力が拮抗している証明になった。今日は特にサンドセクションの処理が悪く苦労してしまった。一瞬勝利を諦めたけれど、もう一度スイッチを切り替えることができてよかった」と加えている。

スーパープレスティージュ2022-2023第6戦 男子エリート表彰台スーパープレスティージュ2022-2023第6戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
スーパープレスティージュ2022-2023第6戦 女子エリート結果
1位 パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) 44:09
2位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:30
3位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +1:02
4位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) +1:09
5位 カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) +1:23
6位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア) +1:31
7位 ゾーイ・バックステッド(イギリス、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) +1:45
8位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:59
9位 アンマリー・ワースト(オランダ、777) +2:15
10位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、777) +2:20
スーパープレスティージュ2022-2023第6戦 男子エリート結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 1:00:46
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:06
3位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:33
4位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:08
5位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:45
6位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +1:55
7位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスCXチーム) +2:00
8位 ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +2:29
9位 ダヴィド・ハフェルディングス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +2:56
10位 ケヴィン・クーン(スイス、トルマンスCXチーム) +2:59
text:So Isobe
photo:CorVos

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