12月4日、東海シクロクロス第2戦iRC TIRE CUPが開催。新会場の東郷ケッターパークの初心者用のMTBトレイルを利用したユニークでテクニカルなレースに420人が参加。地元の交流イベントが共催したアットホームな大会だ。



地元企業の新東工業の敷地がコースになった地元企業の新東工業の敷地がコースになった photo:Makoto AYANO
中部・東海地方一帯で開催されている東海シクロクロス。各大会それぞれが地域色豊かなレースを展開し、順調に伸びているCXシリーズ戦だ。自転車による地域活性化に力を入れる愛知県新城市で開催された第2戦は、iRC TIREの井上ゴム工業が冠スポンサーとなりレースを盛り上げる。

林間を縫うように走る超テクニカルコースだ林間を縫うように走る超テクニカルコースだ photo:Makoto AYANO
今年のレースは新会場「東郷ケッターパーク」に場を移した。「ケッタ」とは名古屋弁で自転車の意味。初心者用MTBトレイルがレースコースとなった。この林間のトレイルが今大会の目玉で、雑木林の斜面につけられたトレイルは木々の間を縫ってクネクネを繰り返し、落ち葉の積もった土のコースに木の根っこもあちこちに露出しており、超テクニカル。

子供たちのレースの参加者数が多いのがこのレースのひとつの特色だ子供たちのレースの参加者数が多いのがこのレースのひとつの特色だ photo:Makoto AYANO自転車で地域を盛り上げる新城市長とIRCの社長さんが挨拶自転車で地域を盛り上げる新城市長とIRCの社長さんが挨拶


「子供が走れるMTBトレイルというのは、シクロクロスではかなり難しいコースになります。CXレーサーたちにもテクニックの大切さに目覚めてもらえたらと思います」とは主催者の蜂須賀智也さんのコメント。その言葉通り、いつものシクロクロスとは違って、林の中にはスラロームに戸惑い、手を焼く選手たちの歓声がこだました。

スタートしていくE1の選手たち。ホールショットは大町健斗スタートしていくE1の選手たち。ホールショットは大町健斗 photo:Makoto AYANO
先行する大町健斗が2連シケインを行く先行する大町健斗が2連シケインを行く photo:Makoto AYANO木の根っこや滑りやすい土の路面に苦労する選手たち木の根っこや滑りやすい土の路面に苦労する選手たち photo:Makoto AYANO


最高峰ME1レースにはiRCのタイヤサポートを受けるトップチームから選手たちがレースに参戦。大町健斗が先行し、それを追う3人のパックの構図がしばらく続いたが後方から畑中勇介(キナンレーシングチーム)が徐々に追い上げ、トップに。最後は余裕を持って独走し、昨年大会に続いて2連覇を飾った。

独走で2連覇を飾った畑中勇介(キナンレーシングチーム)独走で2連覇を飾った畑中勇介(キナンレーシングチーム) photo:Makoto AYANO
この難コースでのレースに、まだシクロクロスバイクの扱いに慣れない津田悠義(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム)やチームユーラシアの選手らは大苦戦。蜂須賀さんの言葉通り、シクロクロスにはテクニックが大事だと痛感させられたようだ。

津田悠義(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム)も走った津田悠義(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム)も走った photo:Makoto AYANO可愛いキナンレーシング応援団を発見可愛いキナンレーシング応援団を発見 photo:Makoto AYANO


また、微笑ましい話題としてはチームユーラシア監督としてベルギーを拠点に若手選手育成の活動を行ってきた橋川健さんがじつに13年ぶりにレースに出場。ちょっと古くて幅の狭いハンドルのマウンテンバイクで走ったが、なんとマスターズ3クラスで3位に。ここ1ヶ月は自転車に乗り込んで気合たっぷりで臨んだ橋川さん。「レース前の緊張感やレース中のプレッシャー、呼気に血の味がするレース後の疲労感など、13年振りに味わいました」と、表彰台でもご満悦な表情でした。

13年ぶりにレースを走る橋川健さんと、選手になった息子の丈さん13年ぶりにレースを走る橋川健さんと、選手になった息子の丈さん photo:Makoto AYANOMTBで次々にパスしていく橋川健さんの走りMTBで次々にパスしていく橋川健さんの走り photo:Makoto AYANO


MM1は筧五郎(56)が連勝。マスターズ全日本に向けて順調だMM1は筧五郎(56)が連勝。マスターズ全日本に向けて順調だ photo:Makoto AYANOMM1は筧兄弟のワンツー。兄の太一さんの仕上がりも上々だMM1は筧兄弟のワンツー。兄の太一さんの仕上がりも上々だ photo:Makoto AYANO


iRCタイヤのブースではタイヤの使い方についての相談会が開かれ、テクニカルな実践アドバイスを受ける参加者たちも。そしてメイン会場となった新東工業の敷地内では「東郷学び学校」との併催で、地元主導でたくさんの体験ブースとともに、飲食、物販など30以上のブース出展があった。子どもからお年寄りまで多世代にわたり交流できることをコンセプトに、「学校」というテーマのもと、国語・体育・図工など、楽しみながら学びを体験できるカリキュラムが用意され、大勢の人出で賑わった。

新東工業の敷地内では「東郷学び学校」との共催イベントが開催。多数のブースが展開された新東工業の敷地内では「東郷学び学校」との共催イベントが開催。多数のブースが展開された
いい天気のもとヨガを楽しむいい天気のもとヨガを楽しむ 子供から大人まで3世代が交流できるイベントがコンセプト子供から大人まで3世代が交流できるイベントがコンセプト


東海シクロクロスのオーガナイザー、蜂須賀智也さん東海シクロクロスのオーガナイザー、蜂須賀智也さん photo:Makoto AYANO「3年がかりの大会なんです。自転車だけの大会をやるのは簡単ですが、それを地元の方々に観てもらえる環境をつくりたかった。子どもたちが遊び、親御さんが来て一日楽しむ。親子で楽しめる新しいスタイルの大会で、実質1000人規模のイベントになりました。

子供が多かったのも嬉しかったですね。60人のキッズ、ジュニア含めると100人が走りました。今シーズンは東海シクロクロスが全日本選手権の開催もするんですが、僕にとってはこの大会が全日本でした」と蜂須賀さん。地産地消をコンセプトに、地域が一体となって盛り上げるアットホームな大会だった。
東海シクロクロス第2戦東郷ケッターパークiRC TIRE CUP 主なリザルト
ME1
1位 畑中勇介(KINAN RacingTeam)
2位 千田尚孝(自転車村R_HANGOUT )
3位 大町健斗
4位 岩田祐樹(36隊/cyclespaceHa)
5位 松本陸(attaquer × onekan) 
6位 吉元健太郎(チーム鳴木屋) 
7位 大原満
8位 中野拓也(Squadra di Lavorante)
9位 高木礼(イナーメ信濃山形 )
10位 佐藤あきら(人力車)
ME2
1位 水谷啓人(Limited Team846/BUCYO COFFEE)
ME3
1位 福島愛都(TCKR )
ME4A
1位 市川龍之介(とうかい)
ME4B
1位 廣田樹一(TCKR)
WE
1位 日吉愛華(Limited Team 846 まるいち)
WE2
1位 大林亜友花(Krone)
WE3
1位 筧名月(ブチョーコーヒー )
MM1
1位 筧五郎(56)
MM2
1位 綾野真(シクロワイアード)
MM3A
1位 青木健一(白崎サイクルシクルクロスの部)
MM3B
1位 大石圭介(SPADE・ACE CX TEAM)
MU17
1位 平山雷斗(BUCYOCOFFEE/CLTCyclingTeam)
MU15
1位 三上将醐(アスリチューン・CORAGGIO KAWAN)
WU15
1位 日吉彩華(LimitedTeam846まるいち )
CK3
1位 瀬戸山紀介(TOKAI POTENZA/OCF)
CK2
1位 田畑拓瑞(TCKR )
CK1
1位 伊藤夏偉(THRAPPY)