マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)が圧倒的なスプリントで3勝目をマークしたツール・ド・フランス第11ステージ。失格となった発射台役マーク・レンショー他、有力選手たちのコメント。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)ステージ3勝目をマーク
スプリント勝利を狙うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)スプリント勝利を狙うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:Makoto Ayano「またステージ優勝を飾れて嬉しく思う。献身的に働き続けてくれたチームメイトたちに感謝したい。アルプスを終えてからチーム内でのマイケル・ロジャースの存在が大きくなっている。今日もマイケルは集団牽引に加わってくれた。もちろん他のチームメイトたちもこの勝利に尽くしてくれた」

「マーク(レンショー)はジュリアン・ディーンを押しのけて、僕のためにドアを開いてくれた。最初に肘を出して来たのはジュリアンだ。マークが(アタマで)押し返していなかったら、肘が絡まって落車していただろう。マークは僕をトラブルから守り続けてくれた。彼のようにしっかりとラインを作ってリードしてくれる選手がチームにいて本当に良かったよ。彼のハンドリング能力には目を見張るものがある。ラスト50kmは安心して彼についていける。そしてスプリントでは最高のポジションで解き放ってくれるんだ」

「マイヨヴェール争いの観点から言うと、最初の1週間でポイントを獲得出来なかったことが痛い。特にアランベールのステージでは自分のミスでポイント獲得のチャンスを失ってしまった。パヴェで前に大きな集団が形成されていると勘違いしてスプリントしなかった。マキュアンのグループでスプリントしていればマイヨヴェール争いの展開は違っていたと思う。その翌日はただ単にスプリントに絡むような脚が残っていなくて、ポイントを獲得出来なかった」

「これからもステージ優勝を狙って走る。マイヨヴェールに手が届けば良いけど、厳しい闘いになるのは間違いない。トル(フースホフト)とアレッサンドロ(ペタッキ)は偉大なスプリンターであり、彼らとのバトルがどう展開するのか楽しみでならない」(インタビューはレンショー失格決定前)

マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)危険行為により失格処分
マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)がヘッドバットした瞬間マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)がヘッドバットした瞬間 photo:Cor Vos「失格と言う決定に驚きを隠せない。まさかツール・ド・フランスから除外されるとは思っていなかった。蛇行しないスプリンターとしてフェアで安全に闘っているプライドがあるし、これまで罰金や警告を受けたことなんてない。ジュリアンがポジションを奪おうと肘を出して来たんだ。バランスを取るために頭で押し返すしかなかった。そうしなければバランスを崩して落車していたと思う。肘で押し返しても落車していた。ラインを保って真っすぐ走るために頭を使っただけだ」

「まだスプリントが始まっていないラスト375mでの出来事だった。カヴェンディッシュがいつもより早めにスプリントを開始してから、まだ脚にパワーが残っていたので自分もスプリントを継続。スペースが開いていたので左に寄っただけ。そこにファラーがいてるなんて知らなかった。」

チームHTC・コロンビアのアラン・パイパー監督
チームHTC・コロンビアのアラン・パイパー監督チームHTC・コロンビアのアラン・パイパー監督 photo:Makoto Ayano「レンショーの失格を伝えられたばかりで、まだ信じられない気分でいる。彼がレースから除外?じゃあファラーはどうなんだ?彼はレースに残るのか?そんなことは信じられない」

「バイクからホイールを外して殴り合うような選手もいたのに、彼らはレースに残っている。その喧嘩よりも今日のレンショーの走りのほうが危険な行為だったのだろうか?レンショーを沿道の柵に追い込んだファラーはお咎め無し。レンショーはただ自分を守ることに必死だったと言うのに」

「レンショーがいなければカヴェンディッシュは勝てないだろう。作戦を立て直す必要がある。これはロードレース界における恥ずべき事件だ。レンショーを擁護するファンが落胆する姿を見るのが残念でならない。レンショーがレースを去ると、スプリント勝負は接戦になるだろう」

アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)ステージ2位&マイヨヴェール獲得
マイヨヴェールに袖を通したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)マイヨヴェールに袖を通したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ) photo:Cor Vos「今日はかなりハイスピードなスプリントだった。ラスト5kmは常に60km/h以上出ているような状態で目を疑ったよ。ポジション取りに苦戦していると、チームメイトたち、特にダニーロ・ホンドが手を差し伸べてくれて、好位置でスプリントに持ち込むことが出来た。でも前方でスプリントを開始したカヴェンディッシュに追いつくのは不可能だった」

「このマイヨヴェールを獲得することが出来て非常に満足している。2003年のツールでマイヨヴェールを着用しながらリタイアした苦い思い出がある。同じことを繰り返したくない。このジャージを最後まで守り抜きたい。今年のツールではまだステージ優勝のチャンスが残されていると思う。でもマイヨヴェールを守るためには中間スプリントポイントを積極的に狙う必要がある。フースホフトとマキュアンもこのジャージに興味を示しているし、カヴェンディッシュもポイントを荒稼ぎしている。厳しい闘いになるだろう。マイヨヴェール争いは最終日パリまで縺れ込むかも知れない」

ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)ステージ5位
ステージ1勝が欲しいロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)ステージ1勝が欲しいロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ) photo:Makoto Ayano「ラスト10kmに差し掛かったとき、間違ってポジションを落としてしまい、そこから集団前方に復帰するためにかなりのエネルギーをロスしてしまった。ゴール前でスプリントを開始したとき、すでに4選手が追いつけない距離まで先行していた。ステージ5位という結果は悪くないけど、まだ脚の感触には満足していない」

トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)ステージ7位
「今日はスプリントで慎重になりすぎた。多くの選手にパスされ、ポイントを大きく失う結果に。自分自身でも焦ったよ。間違いなくマイヨヴェール争いはパリまで先延ばしされる。これからは自分のスプリントに集中し、出来るだけ多くのポイントを稼がなければならない。ツール・ド・フランスは3週間の長い闘いだ。まだ何が起こるか分からない」

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)マイヨジョーヌキープ
仲良く話し込むアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)仲良く話し込むアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos「総合リーダーとして指揮を取る立場だったので、今日は集団前方で走り続けた。(レース終盤に)サクソバンクがペースを上げると、メイン集団内ではパニックが起こった。ラスト15km地点で横風が吹き始めていたので『OK、そろそろ行こうか』とチームメイトに声をかけたんだ。するとチームの猛烈なペースアップが始まった。集団を破壊するのが目的ではなくて、ゴールの街に至る下り基調でトリッキーなコースでトラブルに巻き込まれるのを避けたかったんだ」

「今日はエネルギーを浪費しなくても良いイージーなステージだった。チームメイトは常に周囲に位置してくれていたし、最後まで危険から僕を守ってくれた。明日は急勾配の上りが最後に待っている。集団先頭に立って、ライバルたちからリードを奪いたい。ステージ優勝のチャンスがあるなら、狙わない手はない」

「明日の上りではコンタドールがアタックすると予想している。そこで彼と対等に闘えると信じているよ。モルジヌ・アヴォリアズのステージと同じような闘いを想定していて、タイム差がつく可能性は高い。明日のステージを狙っているんだ。勾配の厳しいマンドは好きな上りの一つ。数日前のようなパンチ力のある走りをしたい。タイムを失うかも知れないし、リードを広げるかも知れない。もしくはステージ優勝が手に入るかも知れない。マイヨジョーヌ?それは手放すわけにはいかない。そこに選択肢はない」

ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)マイヨアポワキープ
マイヨアポワのジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)マイヨアポワのジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ) photo:Makoto Ayano「今日は平穏な一日とは言えなかった。マイヨアポワを守るためにカブル峠で1ポイントを獲得する必要があったので、チームメイトの力を借りて飛び出し、全力で頂上を目指した。タフなスプリントになったけど、このチャンスを逃すわけにはいかなかったんだ。アントニー・シャルトーとの闘いは明日も続く。ようやく100ポイント近くまでポイントを伸ばしたけど、まだ誰が最終的にマイヨアポワを獲得するのか分からない。少なくとも140ポイントは必要だと思っている。山岳賞に輝くためには、ピレネーまでにあと一日踏み出さないと」

選手コメントは現地取材、レース公式サイト、ならびにチーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji

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