集団スプリントで決着したグラン・ピエモンテ。イル・ロンバルディアに向けた最後の前哨戦をイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が制し、ワールドチームからの降格危機を脱しつつあるチームに移籍後初勝利をもたらした。



来シーズン以降の所属チームが決まっていないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)来シーズン以降の所属チームが決まっていないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
シーズン最後のワールドツアーレース「イル・ロンバルディア」が開催される2日前、同じイタリアのピエモンテ州でグラン・ピエモンテ(UCI.Pro)が行われた。舞台となったのはオメーニャからベイナスコまでの198km。コース中盤にイル・ピオネット(距離3.3km/平均8%)が設定されているものの、それ以外は平坦路が続くスプリンターレースだ。

そのためスタート地点にはオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)らトップスプリンターたちが集結。その他にもマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)などイル・ロンバルディアを見据える選手たちが出場した。

オルタ湖に面したオメーニャを出発する選手たちオルタ湖に面したオメーニャを出発する選手たち photo:CorVos
序盤に逃げを打ったマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)序盤に逃げを打ったマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) photo:CorVos
レース序盤から逃げ集団を形成したのはワールドチーム降格圏からひとまず脱し、現在13位につけるモビスターのマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)を含む4名。一方のメイン集団はトレック・セガフレードらワールドチームが中心に牽引する形でレースは進行し、残り距離を消化していった。

残り62km地点から始まるイル・ピオネット(距離3.3km/平均8%)に入ると、メイン集団ではピュアスプリンターであるコーイが遅れを喫する。一方でミラノ〜サンレモに続く今年2つ目のモニュメント勝利を狙うモホリッチが自らペースアップ。登りで人数が絞られたプロトンが逃げグループを飲み込みながら、フィニッシュラインの引かれたベイナスコに突入した。

残り25mでトップに躍り出たイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)残り25mでトップに躍り出たイバン・ガルシア(スペイン、モビスター) photo:CorVos
モビスターに移籍後初勝利をもたらしたイバン・ガルシア(スペイン)モビスターに移籍後初勝利をもたらしたイバン・ガルシア(スペイン) photo:CorVos
優勝候補の1人であったヒルシが落車により脱落するなか、残り5kmでピーター・セリー(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)がアタック。これをトレーニー(研修生)で19歳のマディス・ミケルス(エストニア)をエースに据えるアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオが引き戻し、勝負は集団スプリントへ。

アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)がロングスプリントを仕掛け、その背後についたモホリッチとアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が残り100mで先頭へ。更にその後方から一気にポジションを上げたイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が、2人を追い抜き勝利した。

プロ3勝目を挙げたイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)プロ3勝目を挙げたイバン・ガルシア(スペイン、モビスター) photo:CorVos
「モビスターに移籍してようやく掴んだ勝利。最高にハッピーだよ。調子の悪い時期にあっても、諦めることなく戦い続けてきた。これによりUCIポイントを積み上げることができた」とガルシアは喜びを語った。

ガルシアはスペイン北部のヒホン出身の26歳。2016年にエティックス・クイックステップ(当時)でプロデビューを果たした後、バーレーン・マクラーレン(当時)を経由し2021年にモビスターに加入した。ガルシアにとってこれが自身2年ぶりとなるプロ3勝目かつ、モビスター移籍後初勝利となった。
グラン・ピエモンテ2022結果
1位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) 4:21:44
2位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー)
4位 エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 マディス・ミケルス(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
7位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
8位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)
9位 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
10位 フレデリク・ワンダール(デンマーク、ボーラ・ハンスグローエ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos