鹿児島県の根占自転車競技場で開催されているインカレ2日目は、男女チームスプリント、男女オムニアム、男子ケイリン、女子500mタイムトライアルの決勝が行われた。チームスプリント男子は中央大学が連覇。3人制で初めて行われた女子チームスプリントは、鹿屋体育大学が優勝した。オムニアム男子は兒島直樹(日本大学)、女子は太郎田水桜(法政大学)が、それぞれ連覇した。



インカレ2日目は時々強く降る雨と晴れ間が交互に繰り返される1日インカレ2日目は時々強く降る雨と晴れ間が交互に繰り返される1日 photo:Satoru Kato
雨中のチームスプリントを中央大が制する

男子チームスプリント スタート時に滑らないように濡れた走路を拭く男子チームスプリント スタート時に滑らないように濡れた走路を拭く photo:Satoru Kato競技の合間に虹が出た瞬間があった競技の合間に虹が出た瞬間があった photo:Satoru Kato

インカレ2日目最初に行われた種目はチームスプリント。競技開始直前から降り始めた雨の影響で、スタートでスリップが続出。半数以上のチームが再スタートすることになるほどの悪コンディションの中でのタイムアタックとなった。

男子チームスプリント優勝 中央大学男子チームスプリント優勝 中央大学 photo:Satoru Kato
男子チームスプリント 表彰式男子チームスプリント 表彰式 photo:Satoru Kato
333m×3で行われた男子の優勝は中央大学。今回のメンバーでは練習でも合わせたことはなく、ぶっつけ本番で臨んでの結果だったと言うから驚きだ。

男子チームスプリント中央大学メンバー 市田龍生都コメント
「コンディションが悪いことをわかっていたことが一番良かった。わかっていたことだから、再スタートになっても慌てることなく、最高の形で終わることが出来た。実は僕がこのメンバーに合流したのは4日前で、ぶっつけ本番でレースだった。直前まで議論してイメージトレーニングして、作戦を練るという点では他の大学に負けていなかったと思う。タイムは悪くなかったと思う。来年は晴れのインカレで1分を切りたい」

女子チームスプリント優勝 鹿屋体育大学女子チームスプリント優勝 鹿屋体育大学 photo:Satoru Kato
インカレでは初めて333×3で行われた女子のチームスプリントは、鹿屋体育大学が1/1000秒差で日本体育大学を退けて優勝。333×2で行われた昨年に続き連覇を達成した。

女子チームスプリント 表彰式女子チームスプリント 表彰式 photo:Satoru Kato
中西美央コメント
「昨年に続き連覇を達成出来て嬉しい。4年の(成海)綾香さんを最後に優勝させたかったので、本当に良かった。個人種目がふたつ残っているので、表彰台に立てるように頑張りたい」

成海綾香コメント
「3人でのチームスプリントは難しかったが、後輩2人が頼もしくて実力もあるので、良い形で3走の私にバトンを繋いでくれて、失速することなく走り続けられた。個人パーシュートで3位入賞はしたけれど個人種目で優勝が無いので、残りの種目で優勝したい」

年見穂風コメント
「昨年優勝していることは知っていたので、2連覇に自分が貢献出来て、綾香さんを勝たせることが出来て良かった。残りの個人種目でベストを尽くしたい」
チームスプリント 結果(333×3)
男子
1位 中央大学(福田、市田、大橋) 1分1秒355
2位 鹿屋体育大学(高良、伊澤、小谷) 1分2秒529
3位 日本大学(三神、三浦、伊藤) 1分2秒841
女子
1位 鹿屋体育大学(成海、中西、年見) 1分11秒045(学連新・大会新)
2位 日本体育大学(岩元、川口、大野) 1分11秒046(学連新・大会新)
3位 法政大学(野寺、太郎田、阿部) 1分14秒115


オムニアム 男子は兒島直樹が逆転優勝 女子は太郎田水桜が連覇

男子オムニアム・スクラッチ フィニッシュはハンドルの投げ合いに男子オムニアム・スクラッチ フィニッシュはハンドルの投げ合いに photo:Satoru Kato男子オムニアム・エリミネイション 谷内健太(京都産業大学)が1位男子オムニアム・エリミネイション 谷内健太(京都産業大学)が1位 photo:Satoru Kato

男子オムニアム・テンポレース 単独先行する兒島直樹(日本大学)男子オムニアム・テンポレース 単独先行する兒島直樹(日本大学) photo:Satoru Kato
4種目の合計成績を争うオムニアム。男子は前日に行われたポイントレースの予選を勝ち上がった18名が出走。昨年優勝の兒島直樹(日本大学)が強さを見せた。スクラッチ、テンポレース、エリミネイションの3種目を終えて首位の山本大智(朝日大学)に6ポイント差の4位で最後のポイントレースをスタートすると、序盤から積極的な動きを見せてレース中盤にラップに成功。終盤にはさらにもう1回ラップして見せ、他を圧倒する強さで連覇を達成した。

兒島直樹コメント
「全日本選手権から連戦で、自分はベストと思っていたけれど走ってみたら疲労が溜まっていて、その中でどう立ち回るかを考えながら走っていた。みんなインカレに合わせてきただけあって強くて、ビビりながら走った。3種目終わったところで4位だったが、自分の好きなポイントレースで大量得点して逆転しようと考えていた」

男子オムニアム 表彰式男子オムニアム 表彰式 photo:Satoru Kato
「みんなにマークされてきつい展開だったが、レースが進行するにつれてみんなの疲労が見えてきて、そこを見逃さず独走に持ち込めたのが大きいと思う。2回目のラップは、ナショナルチームのメンバーとしてここで負けるわけにはいかないし、意地もあった。日大としては流れが良くなくなっていたので、僕の優勝で流れを取り戻せればと思う」

女子オムニアム・スクラッチ お互いの出方を見合って牽制女子オムニアム・スクラッチ お互いの出方を見合って牽制 photo:Satoru Kato女子オムニアム・ポイントレース 渡部春雅(明治大学)の飛び出しをきっかけに上位勢4名が先行女子オムニアム・ポイントレース 渡部春雅(明治大学)の飛び出しをきっかけに上位勢4名が先行 photo:Satoru Kato

女子オムニアム・ポイントレース レース終盤にラップし、さらに飛び出す渡部春雅(明治大学)女子オムニアム・ポイントレース レース終盤にラップし、さらに飛び出す渡部春雅(明治大学) photo:Satoru Kato
女子オムニアムは、3種目を終えて昨年優勝の太郎田水桜(法政大学)が総合首位。渡部春雅(明治大学)、岩元杏奈(日本体育大学)、大倉こころ(早稲田大学)、成海綾香(鹿屋体育大学)が12ポイント差以内で続き、最終種目のポイントレースへ。

前半は岩元、大倉、成海らがポイントを加算する一方、逃げるチャンスをうかがっていた渡部が後半に抜け出す。この動きに太郎田、大倉、成海が追従し、4名が先行。そこから渡部がさらにアタックして単独先行し、ラップに成功する。この時点で渡部が総合トップになるものの、遅れて追従していた太郎田、大倉、成海らも終盤にラップし、太郎田が再逆転して逃げ切った。

女子オムニアム 表彰式女子オムニアム 表彰式 photo:Satoru Kato
太郎田水桜コメント
「オムニアムは得意な種目なので絶対優勝したいと思っていた。これまではテンポレースとエリミネイションで点差をつけて、ポイントレースで逃げ切る勝ち方だったが、エリミネイションでしか1位になれず、ポイントレースはドキドキしながら走っていた。大倉選手や岩元選手は私よりスプリント力があるし、逃げると強い渡部選手もいてどう展開するか迷ったが、行ける時にポイント取りに行くことにした。

コロナ禍で部全体が練習もあまり出来ず不安もあったが、最後のインカレで優勝出来て良かった。明日のマディソンも出来れば優勝したい」
オムニアム 結果
男子 女子
1位 兒島直樹(日本大学) 165p 太郎田水桜(法政大学) 159p
2位 谷内健太(京都産業大学) 147p 大蔵こころ(早稲田大学) 153p
3位 山本大智(朝日大学) 135p 渡部春雅(明治大学) 147p
4位 古谷田貴斗(鹿屋体育大学) 126p 成海綾香(鹿屋体育大学) 135p
5位 北村翔太(日本体育大学) 119p 岩元杏奈(日本体育大学) 123p
6位 宇田川塁(法政大学) 98p 川本莉子(鹿屋体育大学) 95p


男子ケイリン 市田龍生都が僅差の勝負を制して2冠達成

男子ケイリン決勝男子ケイリン決勝 photo:Satoru Kato
男子ケイリン決勝 市田龍生都(中央大学)と森田一郎(朝日大学)がハンドルを投げ合う男子ケイリン決勝 市田龍生都(中央大学)と森田一郎(朝日大学)がハンドルを投げ合う photo:Satoru Kato
予選から勝ち上がった6名による決勝が行われた男子ケイリン。余裕のある強さで勝ち上がってきた市田龍生都(中央大学)が決勝も確実と思われたが、森田一郎(朝日大学)との僅差のハンドルの投げ合いに。判定の結果、市田の先着が確定し、チームスプリントとあわせて2冠を達成した。

男子ケイリン 優勝した市田龍生都(中央大学)と2位の森田一郎(朝日大学)がノーサイドの握手男子ケイリン 優勝した市田龍生都(中央大学)と2位の森田一郎(朝日大学)がノーサイドの握手 photo:Satoru Kato男子ケイリン 表彰式男子ケイリン 表彰式 photo:Satoru Kato

市田龍生都コメント
「ライバル視していた森田さんが隣に来て、フィニッシュでは正直負けたと思った。でも放送で勝ったと聞いて本当に嬉しかった。京都産業大の小堀さんが先行するのはわかっていたので、そこから森田さんと競り勝つかちぎるかというイメージだった。でも森田さんが僕の想像の2、3枚上を行っていた。この勝ち方ではまだまだなので、もっと精進したい」
男子ケイリン決勝 結果
1位 市田龍生都(中央大学) 10秒33
2位 森田一郎(朝日大学)
3位 小堀敢太(京都産業大学)
4位 野中龍之介(明治大学)
5位 横溝貫太(法政大学)
6位 池田倫之(順天堂大学)


500mタイムトライアル 大野風貴芽がインカレ初優勝

女子500mタイムトライアル優勝 大野風貴芽(日本体育大学)女子500mタイムトライアル優勝 大野風貴芽(日本体育大学) photo:Satoru Kato
2日目最後に行われた女子の500mタイムトライアルは、前週の全日本選手権でジュニアチャンピオンになったばかりの大野風貴芽(日本体育大学)がトップタイムとなり、念願のインカレ初優勝を飾った。

女子500mタイムトライアル 表彰式女子500mタイムトライアル 表彰式 photo:Satoru Kato
大野風貴芽コメント
「目標としていたタイムには届かなかったが、風と雨の中走ったことを考えれば良かったと思う。最後の向かい風でフラつかなければ36秒台が出たかなと思う。インカレで勝つこが目標だったが、実際に勝って想像以上に嬉しい。全日本のあと移動などで疲れもあったが、サポートの皆さんが私のことを気にかけてくれたので絶好調で臨めた。明日のスプリントも勝ちたい」
女子500mタイムトライアル 結果
1位 大野風貴芽(日本体育大学) 37秒040
2位 中西美央(鹿屋体育大学) 37秒648
3位 年見穂風(鹿屋体育大学) 37秒674
4位 小原乃亜(八戸学院大学) 37秒818
5位 沢登香里(順天堂大学) 38秒882
6位 池上あかり(早稲田大学) 39秒114


インカレトラック最終日は、スプリント種目の決勝と男女マディソンの決勝が行われ、トラック競技の大学対抗総合成績が決まる。男子も女子も上位争いは僅差となっており、明日の種目の結果次第で順位が入れ替わることもありそうだ。


text&photo:Satoru Kato
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