Jプロツアー第10戦「古殿ロードレース」は、最終周回を独走で逃げ切ったトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が優勝。2位に山本大喜が入ってキナンレーシングチームがワン・ツーフィニッシュを決め、前日に続き2連勝とした。完走率10%未満となったレースをレポート。



古殿町の山間部を走るコース古殿町の山間部を走るコース photo:Satoru Kato
Jプロツアー福島3連戦の最後は、「石川ロードレース」の石川町の東に隣接する古殿町が舞台。2019年まで市民レースとして開催されてきた「古殿ロードレース」が、今回はJプロツアーを含むJBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)主催大会として、3年ぶりに開催された。

古殿町は、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)の出身地でもあり、過去にもソウル五輪代表の鈴木光弘氏や、シマノの坂東晃氏など自転車競技の名選手を輩出してきた地でもある。ちなみに、大会実行委員会の会長は、窪木の父である窪木茂氏が務める。

樹齢400年と言われる「越代のサクラ」樹齢400年と言われる「越代のサクラ」 photo:Satoru Kato朝から晴れて暑い1日。補給所で水をかける場面も朝から晴れて暑い1日。補給所で水をかける場面も photo:Satoru Kato

1周12.2kmのコースは、平坦部分が少なく、長い下りと登りが繰り返されるハードなコース。前半には群馬サイクルスポーツセンターの下りヘアピンを4、5回連続するようなつづら折れの下りが続き、その直後からはコースの1/3を占める4kmに渡る長い登りが控える。周回するだけで集団が自然淘汰されるほどで、Jプロツアー以外のカテゴリーでは1周で集団が粉砕されるほどだ。

スタートスタート photo:Satoru Kato
序盤、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)らの先頭集団が形成される序盤、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)らの先頭集団が形成される photo:Satoru Kato
朝から強い日差しが照りつけていたものの、午後には雲が広がって若干暑さが和らいだところで9周109.8kmのレースがスタート。1周目からアタックと吸収が何度か繰り返されながらも、集団の人数は徐々に減っていく。5周目に入ったところで全ての逃げを吸収した集団は一旦落ち着きを取り戻したが、この時点でおよそ半数以下まで絞られた。

5周目 逃げを全て吸収して一旦落ち着く集団5周目 逃げを全て吸収して一旦落ち着く集団 photo:Satoru Kato
5周目 7名の集団が先行5周目 7名の集団が先行 photo:Satoru Kato
5周目の登りに入ると、再びアタック合戦が再開される。この動きで集団はバラバラになり、7名の集団が先行する。雨が降り始める中、6周目に入ると7名の中からリーダージャージを着る小林海(マトリックスパワータグ)、トマ・ルバ、山本大喜(以上キナンレーシングチーム)ら3名が先行。後続との差を大きく広げて7周目に入っていく。

残り2周 小林海(マトリックスパワータグ)がアタック残り2周 小林海(マトリックスパワータグ)がアタック photo:Satoru Kato
最終周回 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が小林海(マトリックスパワータグ)との差を広げる最終周回 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が小林海(マトリックスパワータグ)との差を広げる photo:Satoru Kato
残り2周となる8周目、つづら折れの下りを利用して小林がアタック。しかし直後の登りでルバと山本大喜が追走して吸収する。最終周回に入る直前、今度はルバがアタック。小林との差は徐々に広がっていく。

トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が1周を逃げ切って優勝トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が1周を逃げ切って優勝 photo:Satoru Kato
山本大喜(キナンレーシングチーム)が2位山本大喜(キナンレーシングチーム)が2位 photo:Satoru Kato地元賞盛り沢山の表彰式地元賞盛り沢山の表彰式 photo:Satoru Kato

ルバは最終周回を独走で逃げ切ってフィニッシュ。2位には小林を振り切った山本大喜が入り、キナンレーシングチームがワン・ツーフィニッシュ。前日の石川ロードでの山本大喜の優勝に続きJプロツアー2連勝。前週のJCL広島とあわせ4連勝とした。

ルバは「良いレースが出来たけれどとても疲れた。こんなに疲れたのは2、3年ぶりかな」と、完走8名となったサバイバルレースを振り返る。

「残り距離があるところでアタックして勝てたのは僕にとって良い形になった。このコースは平坦部分が1mも無くてアップダウンが繰り返されるので、1周目でとてもハードだと感じた。でもそれは他の選手も同じだったと思うし、僕にとってはとても良いコースだ。来年も開催されるならまた走りたいね」

3日間総合順位表彰 1位トマ・ルバ、2位山本大喜(以上キナンレーシングチーム)、3位入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)3日間総合順位表彰 1位トマ・ルバ、2位山本大喜(以上キナンレーシングチーム)、3位入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru Kato
「先週のJCLでは(山本)元喜の勝利のために動き、昨日は(山本)大喜のために動き、今日は僕のために大喜が動いてくれた。チームは良い雰囲気で、それが結果にも繋がっている。次のレースはJCL大分になるが、僕の次の目標となるツール・ド・北海道に向けて準備していきたい」と、語った。

福島3連戦のタイムの合計による3日間総合順位でも、ルバが1位。2位は山本大喜、3位は入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)となった。
Jプロツアー第10戦 古殿ロードレース 結果(109.8km)
スプリント賞
1回目 該当者なし
2回目 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)

敢闘賞 佐藤光(稲城FIETS クラスアクト)

Jプロツアーリーダー 小林 海(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)



女子 大堀博美が今季初勝利

女子 先頭交代しながら進む植竹海貴(Y's Road)と大堀博美( MOPS)女子 先頭交代しながら進む植竹海貴(Y's Road)と大堀博美( MOPS) photo:Satoru Kato
女子 最終周回に入ったところで植竹海貴(Y's Road)が遅れる女子 最終周回に入ったところで植竹海貴(Y's Road)が遅れる photo:Satoru Kato
女子のJフェミニンツアーは3周36.6km。1周目を終えた時点でリーダージャージを着る植竹海貴(Y's Road)と大堀博美(MOPS)の2名に絞られる。最終周回に入った直後、植竹が遅れて大堀が先行。大堀は独走でフィニッシュまで逃げ切り、今シーズン初勝利を挙げた。

女子 大堀博美(MOPS)が優勝女子 大堀博美(MOPS)が優勝 photo:Satoru Kato
女子 表彰式女子 表彰式 photo:Satoru Kato
大堀博美コメント
「このコースは登りがすごく長いので、昨日の石川ロードのコースよりも自分向きだと感じていたので、今日のレースにかけていた。下りは安全第一で走って、登り勝負と考えていた。全日本選手権が無くなってしまって悲しかったり悔しかっりという気持ちがあったが、切り替えて挑めたことが良かったと思う。次は南魚沼のレース(女子チャンピオンシップ)に出る予定なので、またしっかり走れるようにして臨みたい」
女子 結果(36.6km)
1位 大堀博美(MOPS) 1時間17分11秒
2位 植竹海貴(Y's Road) +2分58秒
OPN 大關奏音(会津工業高校 ※オープン) +4分55秒
3位 阿部花梨(High Ambition) +5分44秒
※表彰対象はオープン参加を除く上位3名



E1優勝 寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)E1優勝 寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム) photo:Satoru KatoE2/E3優勝 齊藤伸吾(エクストリームつくば) E2/E3優勝 齊藤伸吾(エクストリームつくば)  photo:Satoru Kato

ジュニア(U19)優勝 岡崎一輝(Yamanakako Cycling Team)ジュニア(U19)優勝 岡崎一輝(Yamanakako Cycling Team) photo:Satoru KatoY1 3周のレースほぼ全周回を逃げ切った中尾涼介(VC AVANZARE)Y1 3周のレースほぼ全周回を逃げ切った中尾涼介(VC AVANZARE) photo:Satoru Kato



text&photo:Satoru Kato