「とても難しいステージだったが、是が非でも勝ちたかった」と、がん研究に対する基金設立をアピールすべく、積極的に勝利を目指したとタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は言う。今ツールの山岳初日、第7ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝&マイヨジョーヌ&マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

ステージ2連勝を挙げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)ステージ2連勝を挙げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
とても難しいステージだった。最終盤で仕掛けたヨナス(ヴィンゲゴー)は本当に強かったね。でも自分に「僕の仲間は1日中仕事をしてくれたんだ。フィニッシュラインまで全力で行け」と言い聞かせて踏み込んだ。また山頂にはガールフレンドが、麓には家族が来てくれていたので力になった。

実は今日、がん研究のための基金を立ち上げたんだ。そのために今日限定のスペシャルシューズを履いて臨んだ。だからこのコースが決まった時からここでの勝利を狙っていた。そんな日にラ・プランシュ・デ・ベルフィーユで勝利出来たなんて本当に嬉しいよ。

基金設立を記念したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のスペシャルペイントが施されたシューズ基金設立を記念したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のスペシャルペイントが施されたシューズ photo:CorVos
ヨナスは世界最強のクライマーの1人、いや、彼こそが世界トップのクライマーだろう。それに彼にはとても強いチームメイトがいる。自転車ロードレースではタイム差がどれだけ拡がろうが、決して安心できないよ。

区間2位&総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

ポガチャルにフィニッシュ直前で抜かれたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)ポガチャルにフィニッシュ直前で抜かれたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ワクワクするほど登りで脚に力を感じていた。だがラスト数メートルで捉えられたのは残念。だが今日はチームから2人表彰台に上がることができた。つまり僕らの調子が良いという証明であり、この調子のまま山岳ステージに突入したい。2位という結果に決して落胆していない。プリモシュと僕の好調は(ポガチャルに対し)優位に立てる要素だろう。

区間3位&総合13位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

ステージ3位でフィニッシュするプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)ステージ3位でフィニッシュするプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
シッティングでペダルを回すと、一踏み一踏みごとにナイフで背中を刺されるような痛みが走る。目下の目標はステージを乗り越えながら回復することだ。

今日の結果は満足と言える。一昨日の落車で痛めた怪我は言い訳にはならないし、決して諦めるなんてことはしない。何が起ころうと僕は戦い続ける。回復の度合いは日に日に良くなっていくだろう。最後の数百メートルは非常に厳しかったものの、何とか山頂までたどり着くことができた。チームとして良い走りができたよ。

区間4位 レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)

フィニッシュ手前でヴィンゲゴーとポガチャルに抜かれたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)フィニッシュ手前でヴィンゲゴーとポガチャルに抜かれたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto AYANO
とても残念だが、あれ以上僕にできることはなかった。フィニッシュまで全力を尽くし、あそこから1秒でも早くフィニッシュすることなんてできなかった。メイン集団がなかなか大きなリードを許してくれないなか、僕たちは懸命にタイム差を稼ごうと努力した。しかし僕たちはファンを楽しませ、チームとしての存在感を表すことができた。

区間5位&総合3位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

個人TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がメイン集団を牽引個人TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がメイン集団を牽引 photo:CorVos
自分にどんな走りができるか分からぬまま今日を迎え、コンディションは悪くなかった。皆は僕を全盛期を過ぎ、髪も薄くなってきた老人だと揶揄するが、調子は良く、自分のペースで登った。彼ら(ポガチャルたち)から遅れなかったことに自分でも少し驚いたよ。

ヴィンゲゴーが仕掛けたのでログリッチを抜き追いかけたけど、最後のスプリントで逆にかわされてしまった。だが何より大事なのことは集団内でフィニッシュできたことだ。

僕とイエーツ、マルティネスの関係性は流動的だ。一見(協力し合わず)自己中心的に聞こえるかもしれないが、時にはイエーツ、時にはマルティネスで勝負をする。(ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユの麓でガンナの後ろについたのは)集団の流れに身を任せた結果だ。その後はUAEの後ろにつき、最後の数分間は自分が地獄に脚を踏み入れたかと思うほど辛かった。

あれほど急勾配な登りだと、たった200m進むのに40秒ほどかかる。トラックで考えると40秒はとてつもなく長い秒数だからね。僕ら3人に加え、トム(ピドコック)も総合上位につけている。この人数をどこかで賢く活用できたらいいね。

バイクを押してフィニッシュしたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
僕にとってツール3度目のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ。有力選手に食らいつくことができたものの、ラスト100mでディレイラーが落車モードに入ってしまったんだ。恐らく未舗装路の石が当たったのだろう。だが脚の調子は良かったので前向きに捉えている。この調子が続けば、良い結果に繋がるはずだ。

ポガチャルの最終アシストを務めたラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)

間違いを犯してしまった。フィニッシュラインが左コーナーのすぐ先にあると思っていた。まさかその後コースが200m、それも激坂が続くなんて知らなかった。だがタデイが勝ってよかったよ。もう誰にも「UAEのアシストは役立たず」なんて言わせない。

text:Sotaro.Arakawa

最新ニュース(全ジャンル)