ジロ・デ・イタリア最初の丘陵ステージは逃げ切りで決着。トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)のアシストを受けたクーン・ボウマン(オランダ)が7日目の勝者に輝き、平穏に終わった総合上位陣ではフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)がマリアローザを保持している。



引退を発表したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン)への感謝と、スカルポーニへの思いを伝える地元サポーター引退を発表したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン)への感謝と、スカルポーニへの思いを伝える地元サポーター photo:CorVosYoutubeでも高い人気を誇るアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・プレミアテック)Youtubeでも高い人気を誇るアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

シトロンで有名なディアマンテの街を出発する選手たちシトロンで有名なディアマンテの街を出発する選手たち photo:CorVos
5月13日(金)第7ステージ ディアマンテ〜ポテンツァ 196km5月13日(金)第7ステージ ディアマンテ〜ポテンツァ 196km image:RCS Sport今大会最初の丘陵ステージは、2日連続の平坦路で緩んだ選手たちとって険しく厳しいものに。ジロ7日目はティレニア海に面するディアマンテから内陸のポテンツァを目指し北へ。その道中には1級山岳を含む4つのカテゴリー山岳が設定され、獲得標高差は4,700mにも及ぶ。

196kmコースはまず脚慣らしの3級山岳を越え、次に1級山岳モンテ・シリノ(距離24.4km/平均3.8%)を登る。レース後半からは2級山岳モンテ・グラン・ディ・ヴィッジャーノ(距離6.6km/平均9.1%)と3級山岳ラ・セラータ(距離7.8km/平均5.9%)を立て続けにクリアし、その頂上から約24kmの平坦基調の道がフィニッシュまで続いていく。昨日、一昨日と躍動したスプリンターたちの気配は消え、逃げ切り向きのレイアウトであることから、総合に関係のない選手たちによる激しいアタック合戦で幕開けた。

序盤から積極的に仕掛け、逃げ形成のキッカケを作ったワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)序盤から積極的に仕掛け、逃げ形成のキッカケを作ったワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
1時間半に渡る攻防の末、逃げグループを形成した7名1時間半に渡る攻防の末、逃げグループを形成した7名 photo:CorVos
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)のリードアウト役であるミケル・モルコフ(デンマーク)が発熱のためレースを去ったこの日、序盤からワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)が積極に動いた。

プールスの飛び出しにダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らが追従すると、途中リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)もマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)と共にメイン集団から飛び出すシーンも。しかしいずれも決まることはなく、1級山岳モンテ・シリノに入ると総合から遅れたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)を含む7名が、1時間半に渡る攻防の末に逃げ切りの切符を掴んだ。

逃げグループを形成した7名
クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)総合5分30秒遅れ
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)総合5分49秒遅れ
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、コフィディス)総合6分39秒遅れ
トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)総合8分20秒遅れ
ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
ディエゴ・カマルゴ(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)

総合でそこまで驚異となる選手がいないため、メイン集団はリーダージャージのトレック・セガフレードを先頭に淡々としたペースを刻む。途中プロトンの中で走るドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)の故郷ポリコーロをかすめながら、逃げ集団とのタイム差は6分を下回る程度で推移した。

マリアローザを着て走るフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)マリアローザを着て走るフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos
最終山岳で先頭はデュムラン、モレマ、フォルモロ、ボウマンの4名に最終山岳で先頭はデュムラン、モレマ、フォルモロ、ボウマンの4名に photo:RCS Sport
最大40ポイントが与えられる1級山岳モンテ・シリノをクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が鋭い飛び出しでトップ通過すると、ボウマンは続く2級山岳モンテ・グラン・ディ・ヴィッジャーノも先頭で通過。山岳ポイントを荒稼ぎし、更にスプリント力をライバルたちに見せつけたボウマンはマリアアッズーラ獲得に成功している。

逃げのキッカケを作ったプールスが遅れ、モンテ・グラン・ディ・ヴィッジャーノの下りコーナーで落車したヴィレッラが15kmの単独走に末に合流を果たす。3分45秒のリードで逃げる先頭集団は、最終3級山岳ラ・セラータ(距離7.8km/平均5.9%)に突入。ここからステージ優勝に向けたセレクションがスタートした。

活発に動いたのは逃げに2人を送り込んだユンボ・ヴィスマのデュムランで、勾配に苦しむカマルゴの姿を確認するとスピードアップ。フォルモロやモレマが反応する一方で、カマルゴはもちろんヴィレッラも遅れ、レース先頭は4名(デュムラン、フォルモロ、モレマ、ボウマン)に絞り込まれた。

3級山岳ラ・セラータで2度に渡りアタックしたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)3級山岳ラ・セラータで2度に渡りアタックしたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ボウマンのスプリント力を警戒したフォルモロとモレマがアタックするものの、違いを作れないまま最終の3級山岳ラ・セラータを通過。フィニッシュまで続く下りと平坦区間へ。レース先頭の激しさとは対極に動きのないメイン集団は、イネオス・グレナディアーズが先頭で牽引を始めると、3分半遅れで最終山岳の頂上をクリアした。

逃げ切りが確定させた先頭4名は、残り300mから勾配13%の登坂が待つフィニッシュに向けデュムランを先頭に突き進む。ポテンツァの市街地に入った残り8kmから2度に渡りモレマが仕掛けるものの、ボウマンとフォルモロを引き離すことはできない。

牽制状態に入った3人に一時遅れたデュムランが合流し、4名のままフラムルージュ(残り1km)を通過。アシストに徹するデュムランを除く3名のスプリント勝負に持ち込まれ、ボウマンがこの日幾度となく披露したそのスプリント力で、自身初のグランツール区間優勝を掴み取った。

プロ2勝目を飾ったクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)プロ2勝目を飾ったクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:RCS Sport
アシストに徹したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)に感謝を伝えるクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)アシストに徹したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)に感謝を伝えるクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:RCS Sport
区間優勝と共にマリアアッズーラを獲得したクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)区間優勝と共にマリアアッズーラを獲得したクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
2017年から3年連続でジャパンカップに出場していることから、日本のファンにもお馴染みのボウマン。「信じられないよ。とてもハードな展開だったものの、トム(デュムラン)が僕のために素晴らしいアシストをしてくれた。最後の山岳では遅れたが追いつき、最後のスプリントには自信があった。本当に嬉しいよ」と、2017年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第3ステージ以来となるプロ2勝目を喜んだ。「トムが(第4ステージで)タイムを失ってから僕らは目標をステージ優勝に切り替えた。その直後にこうやって勝利できるなんて言葉にならないよ」とも。

マリアローザのフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)を含むメイン集団は2分59秒遅れでフィニッシュしたため総合順位に変化はなかった。翌日のジロ第8ステージは再びティレニア海に戻りナポリへ。高い山岳はないものの細かなアップダウンが連続するコースで、2日連続の逃げ切り勝利が見られるだろうか。

ジロ・デ・イタリア2022第7ステージ結果
1位クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)5:12:30
2位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)+0:02
3位ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)+0:19
5位ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、コフィディス)+2:25
6位レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)+2:59
7位ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ)
8位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
9位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
10位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
マリアローザ 個人総合成績
1位フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)28:39:05
2位レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)+0:38
3位レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)+0:58
4位サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)+1:42
5位マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)+1:47
6位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)+1:55
7位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)+1:55
8位ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)+2:00
9位リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)+2:04
10位ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)+2:06
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)147pts
2位ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)94pts
3位マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)78pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)68pts
2位レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)43pts
3位ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)27pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)28:39:05
2位マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)+1:47
3位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)+1:58
チーム総合成績
1位トレック・セガフレード86:00:38
2位ボーラ・ハンスグローエ+0:10
3位ユンボ・ヴィスマ+1:10
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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