ツアー・オブ・ジ・アルプス2日目をバーレーン・ヴィクトリアスが支配した。精鋭グループのスプリントをペリョ・ビルバオ(スペイン)が制し、総合優勝に向けて弾みをつけている。



荘厳なイタリアアルプスを駆け抜ける荘厳なイタリアアルプスを駆け抜ける photo:Tour of the Alps
「登って下って登って下る」。イタリアアルプスを駆け巡るツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)2日目は、そんな表現がぴったりと当てはまる獲得標高3,200m超のコースで争われた。

スタート直後からいきなり獲得標高1,000mの2級山岳を越え、長い下りと平坦区間を経て、すぐに1級山岳メンドラ峠を駆け上がる。さらに短い下りとノンカテゴリーの10km峠を越えてフィニッシュまで一気に下るこの日、ビッグネームが多数入った逃げグループが生まれた。

パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)らを含む強力な逃げグループが先行するパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)らを含む強力な逃げグループが先行する photo:Tour of the Alps
逃げグループに入ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)逃げグループに入ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ・カザフスタン) photo:Tour of the Alps
逃げたのは国籍をフランスに移したパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)やミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)、ヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)、ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)といった7名。順調にリズムを刻む7名を1分半差で追いかける集団は登りのたびに人数が減り、1級山岳メンドラ峠に差し掛かる頃には20名ほどとなっていた。

メンドラ峠では逃げメンバーを置き去りにしてシヴァコフが飛び出して先頭通過(山岳賞を確保)し、1分差まで追い上げてきたメイン集団ではバーレーン・ヴィクトリアスの牽引がスタート。続く10km登坂でバーレーンはペーンシュタイナーを先頭グループから降ろし、ペリョ・ビルバオ(スペイン)のアシスト役に回す判断を下している。

ビルバオのためにバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団を絞り込むビルバオのためにバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団を絞り込む photo:Tour of the Alps
緩斜面スプリントで先行するペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)緩斜面スプリントで先行するペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Tour of the Alps
バーレーンは徹底的なペースメイクでアタックを防ぎ、シヴァコフから1分遅れで山頂を通過した。ここからのテクニカルダウンヒルでビルバオとミケル・ランダ(スペイン)が飛ばしに飛ばし、その結果前日に劇的なプロ初勝利を挙げた総合首位ジョフレ・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)を脱落させ、逃げていたシヴァコフたちをキャッチ。そのままなだれ込んだ緩斜面登坂の登りスプリントで、絶好のリードアウトを受けたビルバオが狙い通り勝ちきった。

総合首位に立ったペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)総合首位に立ったペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Tour of the Alps
「今日はチームが全ての仕事を担ってくれた。僕は最後の100mをもがき、その仕上げをしただけ。今日僕たちは、ロードレースがチームスポーツだということを披露できたよ」とバスク1周3日目に続く今季2勝目を挙げ、総合首位に浮上したビルバオは言う。「何度も惜しいレースをしてきたので今年は総合優勝にこだわる必要がある。ミケル(ランダ)とサンティアゴ(ブイトラゴ)も控えているし、ここ2日間クレイジーなレース展開となっているので数で勝負できるのはとても重要だ」と、総合優勝狙いを公言している。

ツアー・オブ・ジ・アルプス2022第2ステージ結果
1位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:56:04
2位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)
3位 アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ)
4位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)
5位 エディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)
6位 パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
7位 エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)
10位 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)
個人総合成績
1位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 8:08:15
2位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) +0:06
3位 アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ) +0:12
4位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) +0:16
5位 パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
6位 リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)
7位 エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 エディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)
9位 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)
10位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
その他の特別賞
山岳賞 パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:So Isobe
photo:CorVos