日本学生自転車競技連盟(学連)が主催する「明治神宮外苑クリテリウム」が、2月27日(日)に開催された。男子大学生の最上位カテゴリーは、中央大学の中村龍吉が優勝。女子は、残り1周を逃げ切った日本体育大学の川口うららが優勝した。



絵画館前をスタートしていくグループ1絵画館前をスタートしていくグループ1 photo:Satoru Kato
今年16回目の開催となる「明治神宮外苑クリテリウム」(以下神宮クリテリウム )は、大会名の通り、新宿や表参道もほど近い東京の都心を舞台に行われるクリテリウム。昨年開催された東京五輪・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場や、プロ野球ヤクルトスワローズのホームである神宮球場など、日本を代表するスポーツ施設が建ち並ぶエリアだ。

国立競技場前のヘアピンコーナーをクリアしていく集団国立競技場前のヘアピンコーナーをクリアしていく集団 photo:Satoru Kato
神宮クリテリウムは、過去に雪による中止はあったものの、昨年、一昨年と、コロナ禍でも中止とならず開催が続けられてきた。特に昨年は、東京都に緊急事態宣言が出されている状況ではあったが、感染拡大リスクの低い屋外イベントである利点を活かし、出走人数を減らすなどの感染防止対策を施した上で開催にこぎつけた。

今年も新型コロナウィルス感染症まん延防止等重点措置が出される中、昨年同様の開催となってしまったものの、ロードレースカップシリーズ(RCS)の最終戦として開催。2020年度は全てのレースが中止になってしまったが、2021年度は、群馬サイクルスポーツセンターや長野県の白馬村と王滝村、伊豆大島などでシリーズ戦が開催され、神宮クリテリウムは第8戦として行われた。

明治神宮外苑の銀杏並木を長く伸びた集団が進む明治神宮外苑の銀杏並木を長く伸びた集団が進む photo:Satoru Kato当日は風が強い1日 コースに隣接するグラウンドから砂埃が舞い上がるほど当日は風が強い1日 コースに隣接するグラウンドから砂埃が舞い上がるほど photo:Satoru Kato

当日の東京都内は18℃まで気温が上がったところもあったようだが、明治神宮外苑では、コースに隣接するグラウンドから舞い上がる砂埃が視界を遮るほどの強い風が吹き続ける1日。温度計の数字ほど暖かさを感じない中でのレースとなった。



女子クリテリウム 川口うららが最終周回を独走逃げ切り

スタートラインに揃った女子出場選手スタートラインに揃った女子出場選手 photo:Satoru Kato
女子 レース中盤、川口うらら(日本体育大学)がとび出す女子 レース中盤、川口うらら(日本体育大学)がとび出す photo:Satoru Kato女子 レース終盤 渡部春雅(明治大学)のアタックに集団が反応する女子 レース終盤 渡部春雅(明治大学)のアタックに集団が反応する photo:Satoru Kato

1周1.5kmのコースを8周で行われた女子クリテリウムは、大学生以外でも出場できるオープンクラスとして開催された。

序盤から渡部春雅(明治大学)が集団前方で動きを見せ、人数を絞っていく。レース中盤には川口うらら(日本体育大学)が単独で飛び出し、後半に入ると石田唯(早稲田大学)と成海綾香(鹿屋体育大学)、小林あか里(信州大学)らが抜け出しを図る。しかし、いずれの動きも勝負を決定づけるものにはならない。

女子 最終周回の打鐘を聞きながらアタックする川口うらら(日本体育大学)女子 最終周回の打鐘を聞きながらアタックする川口うらら(日本体育大学) photo:Satoru Kato
最終周回の打鐘が鳴らされる中、ホームストレートで川口が再アタック。牽制気味の集団をよそに差を一気に開いていく。残り100m、はるか後方に集団を置き去りにした川口が姿を現し、そのままフィニッシュラインを越え優勝。2位には岩元杏奈が入り、日本体育大学がワン・ツーフィニッシュ。3位には高校生の中島瞳(川越工業高校)が入る健闘を見せた。

女子 残り1周を逃げ切った川口うらら(日本体育大学)が優勝女子 残り1周を逃げ切った川口うらら(日本体育大学)が優勝 photo:Satoru Kato

女子 表彰式女子 表彰式 photo:Satoru Kato女子優勝・川口うらら コメント

チームメイトの(岩元)杏奈ちゃんが集団の中で待機してくれていたので、スプリントは任せようと思い、レース中はアタックを繰り返していました。疲労がきていたけれど最終周回に思い切って行ったら、思っていたよりも差が開いたので、絶対これで勝ってやる!と思って死ぬ気でもがきました。

レース中、他の選手がアタックしても追いかける脚はあったし、余裕をもって自分のペースでレースを展開出来たこと、冷静に状況を見られたことも良かったと思います。クリテリウムは初めて走りましたが、神宮クリテリウムは都心開催で盛り上がる大会なので、勝ちたいと思っていました。

4月から大学4年になりますが、メインはMTBの海外レースで結果を残すことが一番の目標です。国内レースでもトップを走り続けられるようになりたいと思っています」
女子クリテリウム 結果(12km)
1位 川口うらら(日本体育大学) 21分36秒
2位 岩元杏奈(日本体育大学) +7秒
3位 中島 瞳(川越工業高校)
4位 渡部春雅(明治大学)
5位 石田 唯(早稲田大学)
6位 小林あか里(信州大学)


男子グループ1 ロングスプリントを決めた中村龍吉が優勝

明治神宮外苑の銀杏並木明治神宮外苑の銀杏並木 photo:Satoru Kato
前年優勝の川野碧己(慶應義塾大学)も集団前方でレースを進める前年優勝の川野碧己(慶應義塾大学)も集団前方でレースを進める photo:Satoru KatoRCSリーダージャージを着る中島渉(立教大学)RCSリーダージャージを着る中島渉(立教大学) photo:Satoru Kato

最終レースとして行われた男子最上位カテゴリーのグループ1は、20周30kmのレース。序盤から、U23全日本チャンピオンの兒島直樹(日本大学)、昨年の神宮クリテリウム 優勝の川野碧己(慶應義塾大学)、RCSリーダージャージを着る中島渉(立教大学)、インカレロード優勝の谷内健太(京都産業大学)らが集団前方でレースを作っていく。

レース中盤 単独で飛び出す中村龍吉(中央大学)レース中盤 単独で飛び出す中村龍吉(中央大学) photo:Satoru Kato強力な集団牽引を見せた兒島直樹(日本大学)強力な集団牽引を見せた兒島直樹(日本大学) photo:Kensaku SAKAI

レース終盤 最後の勝負を見据えて蛇行する集団レース終盤 最後の勝負を見据えて蛇行する集団 photo:Satoru Kato
レース中盤、中村龍吉(中央大学)が、2周に渡る単独先行を見せるも、兒島の強力な集団牽引もあって吸収。ハイスピードで進行したレースは、レース終盤に差し掛かると最後の勝負を意識してか若干ペースが落ち着く。最終周回に入っても勝負を決定づけるような飛び出しはなく、ヘアピンをクリアしてのスプリントへ。

中村龍吉(中央大学)がフィニッシュラインに突き進む中村龍吉(中央大学)がフィニッシュラインに突き進む photo:Satoru Kato
中村龍吉(中央大学)が優勝中村龍吉(中央大学)が優勝 photo:Satoru Kato
ホームストレートに先頭で姿を現したのは、中村。直後に川野が追いすがるも、横に並ぶまでには至らず、中村がガッツポーズと共に優勝を決めた。

グループ1 表彰式グループ1 表彰式 photo:Kensaku SAKAIグループ1優勝・中村龍吉 コメント

「ラスト5周までは個人プレーでレースをする作戦で、集団に岩田(聖矢)や馬越(裕之)がいるし、僕以外でも勝てると思っていたので、レース中盤の逃げは自信をもって行きました。

最後は岩田の後ろについてホームストレートの中間あたりで発射される予定だったのですが、最終コーナーを3番手で通過して、ここからなら(フィニッシュまで)持つだろうと思い、最後は1人で行きました。ロングスプリントが得意なので、最終コーナーが少し奥にずれて若干距離が伸びたのも、自分に有利になったと思います。

今年4年になりますが、中央大学でインカレ総合優勝を経験してるのが僕らの代が最後になるので、後輩達を引っ張ってもう一回総合優勝したいです。個人ではマディソンで連覇が目標です」

グループ1 大学対抗は慶應義塾大学が優勝グループ1 大学対抗は慶應義塾大学が優勝 photo:Kensaku SAKAIRCS総合優勝 中島渉(立教大学)RCS総合優勝 中島渉(立教大学) photo:Satoru Kato

RCS総合優勝は、立教大学の中島渉。神宮クリテリウムの2週間前に開催された第7戦で優勝し、総合首位に浮上。最終戦もリーダージャージを守り切った。

RCS総合優勝・中島渉 コメント

「今までRCSで総合優勝してきた人達はみんな強い選手ばかりなので、自分が優勝できたことはとても光栄です。弱虫ペダルサイクリングチームと並行して活動しているので、RCSは狙っていたわけではないが総合優勝出来て嬉しいです。4月から2年で、あと3回チャンスがあるので、次は狙って行けるようにしたいです」
グループ1 結果(30km)
1位 中村龍吉(中央大学) 48分44秒
2位 川野碧己(慶應義塾大学) +0秒
3位 兒島直樹(日本大学) +2秒
4位 園田大智(順天堂大学)
5位 谷内健太(京都産業大学)
6位 山田壮太郎(慶應義塾大学)


マスターズクリテリウム は森栄明彦が優勝

小学生タイムトライアル 表彰式小学生タイムトライアル 表彰式 photo:Satoru Katoハンドサイクルでタイムトライアルを走る官野一彦ハンドサイクルでタイムトライアルを走る官野一彦 photo:Satoru Kato

マスターズクリテリウム 森栄晃彦(パラティアムTOKYO Fusion Systems)が優勝マスターズクリテリウム 森栄晃彦(パラティアムTOKYO Fusion Systems)が優勝 photo:Satoru Kato
神宮クリテリウムは小中学生のタイムトライアルやパラサイクリング、マスターズのタイムトライアルとクリテリウムも併催される。8周で行われたマスターズクリテリウムは、雑賀大輔(湾岸サイクリングユナイテッド)や、高岡亮寛(Roppongi Express)らベテラン強豪選手が動かし、スプリントに持ち込まれた勝負を森栄晃彦(パラティアムTOKYO Fusion Systems)が制して優勝した。
マスターズ・クリテリウム (12km)
1位 森栄晃彦(パラティアムTOKYO Fusion Systems) 19分14秒
2位 石橋利晃(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +0秒
3位 半澤雄高(Roppongi Express)
4位 山崎 諭(TRAILBLAZER)
5位 遠藤 優(Roppongi Express)
6位 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +2秒


その他レース結果

(表彰式の写真などは記事最下部のリンクからフォトギャラリーへ)
グループ2 結果(12km)
2A
1位 小池陽斗(明治大学) 19分43秒
2位 新垣慶晃(鹿屋体育大学) +0秒
3位 黒川祐次郎(法政大学)
4位 津石康平(中央大学)
5位 中嶋力斗(駒澤大学)
6位 梶塚力斗(大阪産業大学)
2B
1位 加藤 遼(東京工業大学) 19分33秒
2位 佐藤 岳(慶應義塾大学) +0秒
3位 吉川敬介(日本大学)
4位 吉房暖人(明治大学)
5位 馬場慎也(鹿屋体育大学) +2秒
6位 髙原令伍(法政大学)
グループ3 結果(6km)
3A
1位 高澤惇弥(成蹊大学) 9分44秒
2位 志田拓也(東海大学) +0秒
3位 岩田祥眞(大阪工業大学) +6秒
3B
1位 吉田英生(東京工業大学) 9分45秒
2位 山本和瑳(日本体育大学) +0秒
3位 永井笙太(関西大学)
3C
1位 齋藤祥樹(東海大学) 9分46秒
2位 内田崇志(東京工業大学) +2秒
3位 稲田雄星(愛知大学) +5秒

text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, Kensaku SAKAI

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