恒例のチームプレゼンテーションはプロローグの8.9kmのコースになっている、ロッテルダムのど真ん中にあるエラスムス橋が舞台。「白鳥」の愛称をもつこの橋は、街のシンボル。プロローグのハイライトにもなる。

オランダは自転車の国。生活自転車の利用が普及し、市街は自転車だらけ。自転車道が完璧に整備され、この橋にも自転車レーンがある。トラムも通る。そしてこの橋、船が通るときは端の部分が上がる跳ね橋でもある。お昼に通りがかった際、自転車、トラム、クルマ、歩行者が橋にいるまま踏切が下がり、橋が跳ね上がったのにはさすがびっくりしたが。
エラスムス橋はこのとおり跳ね上がる!エラスムス橋はこのとおり跳ね上がる! (c)Makoto.AYANOロッテルダムは生活自転車と趣味の自転車でいっぱいだロッテルダムは生活自転車と趣味の自転車でいっぱいだ (c)Makoto.AYANO

橋の上からプレゼンを見物した観客たち橋の上からプレゼンを見物した観客たち (c)Makoto.AYANOロッテルダムのエラスムス橋のチームプレゼンテーション会場ロッテルダムのエラスムス橋のチームプレゼンテーション会場


ともかくここで第97回ツール・ド・フランスが始まる。プレゼンテーションは橋の上を走るのが演出だ。
先導役はオランダの名選手ヨープ・ズートメルクとヤン・ヤンセン。ズートメルクは同時代にエディ・メルクス、そしてベルナール・イノーがいたために2位が6度も続き、万年2位の汚名を持つ選手。

1980年のツールではイノーのリタイアもあって10回目の出場にして悲願の総合初優勝を果たしている。2006年までの10年間はラボバンクの監督も務めた。

ヤン・ヤンセンはオランダ人として初めてツールで総合優勝を果たした選手。マイヨジョーヌを着たこの2人のおじいちゃんがパレード走行を先導し、橋の脇の会場へとやってきた。登壇して紹介されるまもなくすぐ素通りで走り去り、2人揃った写真も撮れず....。

最初の登場チームはHTCコロンビア。いきなり話題の人マーク・カヴェンディッシュが最初の登壇者となった。童顔に黒いサングラスと無精ヒゲ。ツール・ド・スイスで引き起こした落車のせいでプロトン内から批判のストライキを喰らい、ちょっと悪役になってしまっているカヴ。去年は6勝したけど、今年は?

「ツールはすぐにやってくるね。ひとつ終えたらまた次のツールを走りたくなる」。
チームHTC・コロンビアはツールに合わせフレンチトリコローレをあしらったジャージを用意。裾に近いところの青・赤・白のストライプに注目。

ヨープ・ズートメルクさんがマイヨジョーヌを着て登壇ヨープ・ズートメルクさんがマイヨジョーヌを着て登壇 (c)Makoto.AYANO新FDJジャージで登場したクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)新FDJジャージで登場したクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー) photo:Makoto Ayano最年少20歳のファビオ・フェリーネ(イタリア、フットオン・セルヴェット)最年少20歳のファビオ・フェリーネ(イタリア、フットオン・セルヴェット) photo:Makoto Ayano

フランセーズデジューはジャージを一新して登場。白と紺からライトブルーが加わってFDJのロゴもシャープな書体になった。エフデジュはいつもツールでのお披露目を大切にする。ただしこれがUCIプロツアーチャンピオンジャージに見えて仕方ない。インパクトがないので集団の中でもあまり目立たない気がする...。

09ツールでフランス人最高位の10位をマークしたクリストフ・ルメヴェル、アタッカーのサンディ・カザールに注目だ。景気の良いチームはスポンサーの複数年継続が発表されたばかり。

フートン・セルヴェットが紹介された。サウニエルデュバル→フジ・セルヴェットを経てメンバーも総入れ替え。チームのツールの参加経験がかすかにあるとも言えるが、このなかにツール経験者っていたっけ?(調べてみます)。間違いなくほぼ全員がツールの新人たちという、ちょっと心配なチームだ。

Bboxブイグテレコムはフランスナショナルチャンピオンのジャージに身を包んだトマ・ヴォクレールに続いて新城幸也が2番目に登壇。日本のチャンピオンジャージを着て並べなかったのは残念!またがるコルナゴのバイクC59は、ブラックとシルバーに蛍光イエローのペイントで、イタリア3色国旗が大きくデザインされる。フランスチームのイメージやチームジャージとの統一感はまったくゼロ!(笑)

観客の中に日本のファンの姿を見つけ、にこやかに手を振っているユキヤ。アナウンサーの質問はヴォクレールだけにふられたが、隣のユキヤを除けば全員フランス人のチーム。総合を狙える選手がいないため、毎日誰にでもアタックのチャンスが与えられる。どころか、アタックしなければ意味が無いチームとしてユキヤがメンバーに入ったこともうなずける。

新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) photo:Makoto AyanoBboxブイグテレコムBboxブイグテレコム photo:Makoto Ayano


さばさばしたウィギンズ。身体は絞れきっているさばさばしたウィギンズ。身体は絞れきっている (c)Makoto.AYANOツールに初登場のチームスカイ。ウィゴことブラドレー・ウィギンズはまた身体をガリガリに絞ってやってきた。「気分はどう?」「悪くない、悪くないよ」。「何キロ絞った?」「なんで君に教えなきゃいけないんだ」とヒラヒラ交わす。

カチューシャはエースのポジションをカルペツが務めるが、愛想のないロシア人よりマキュアンに質問が集中。ブリュッセルへのステージで勝ちたいと意欲を語る。重い負傷が続き復活できないままでいたが、ツール・ド・スイスでの復活の兆しを、このツールでフィクスしたい。意欲を見せるのはブリュッセルにゴールする第1ステージだ。
ちなみに「カルペツを笑わそう」という謎のプロジェクトがあるそうなので、詳細が分かればお伝えします(分からないかも)。

ランプレはもはやクネゴでなくペタッキとホンドが注目の中心になっている。ベテラン二人が揃えば、昨年ジロでカヴェンディッシュに一泡吹かせた活躍がまた期待できるか? ジロは途中で喘息が悪化して走れなくなり、リタイアしている。雨が降ると体調を崩すペタッキにとって北の第1週が鬼門だ。

地元オランダ期待のラボバンクへの声援はひときわ大きい。インタビューされるのはメンショフでもフレイレでもなく、オランダ期待の若手選手ヘーシンクだ。昨年は落車で総合のチャンスを失ったが、今年はツール・ド・スイスでの山岳ステージの圧勝からマイヨブラン獲得にも期待がかかる。オランダ語のため何を話していたかは一切分からず。

オランダ期待のロバート・ヘーシンクオランダ期待のロバート・ヘーシンク (c)Makoto.AYANOカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム)カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム) photo:Makoto Ayano

サーヴェロ・テストチームは今年もツールは特別ジャージで臨む。ホワイト&グレーの新コスチュームで登壇。サストレには「まだ今年も優勝候補?それとも圏外?」と直球すぎる失礼な質問。「ここにいることが大切」とサラリと交わす人のよいサストレだった。フースホフトはカヴェンディッシュに続くマイヨヴェールの有力候補だ。登りの厳しい今年は、よりチャンスが大きいと言われている。

クイックステップはボーネンとデヴォルデルの欠場で、なんともとらえどころのない寂しいチームになってしまった。しかしそのぶん毎日のステージ優勝を狙ったアタックが期待できる。ユキヤから勝利を奪った(とあえて書いておこう)ジェローム・ピノー、そして復活のシルヴァン・シャバネル、カルロス・バレードらアタッカーがレースを面白くさせてくれるはずだ。スプリントも総合も狙わないぶん、自由に動くクイックステップはある意味脅威だ。

エース、スプリンター不在のクイックステップはいつもと違う自由なチーム?エース、スプリンター不在のクイックステップはいつもと違う自由なチーム? (c)Makoto.AYANO

アルカンシェルジャージで登場したエヴァンス。そして春からレースに出場できない期間が続いたバッランが選ばれ、ここでフルキャストがそろった感のあるBMCレーシングチーム。自転車もウェアも星条旗デザインのキャプテン・アメリカ、ジョージ・ヒンカピーはツール15回目の出場の大記録(ツール最多出場はズートメルクの16回。ヴィアチェスラフ・エキモフ、ルシアン・ヴァンインプが15回出場を記録している)。
アームストロングの7連覇を支えたポスティーズのまとめ役から、昨年までカヴェンディッシュの重要な牽引役として、今年はエヴァンスのボディガードとして、まずパヴェステージで真価を発揮するだろうか。

エヴァンスはアナウンサーにはアルカンシェルを着ると翌年には大きく成績を落とすという「アルカンシエルの呪い」について突っ込まれるが、エヴァンスは昨年との違いは?と聞かれ、「チームを変わっただけだよ」と応える。

アルカンシェルを着て登場のカデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム)アルカンシェルを着て登場のカデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム) (c)Makoto.AYANOBMCレーシングチームBMCレーシングチーム photo:Makoto Ayano

レディオシャックはブライコヴィッチ以外全員がツール経験者で、もっとも平均年齢が高いチームとして初登場だ。エラスムス橋を走るアームストロングを迎えるステージに大音量で流れる曲はダフト・パンクの「ワン・モア・タイム」。この選曲は偶然か、狙ったのか。モチロン狙ったんでしょう。

数日前には得意のtwitterで、これが最後のツールになることを宣言しているアームストロング。「もう一度だけ」のワン・モア・タイムか、それとも「もう1勝」のワン・モア・タイムか。

登壇したアームストロングへの声援は今までの選手へのそれとは段違い。やはりランスは今でも特別な存在として君臨する。しかしtwitterの最後宣言は信じなくてもいいと思う。レディオシャックとアームストロングは記者会見を開かないことになっているので、このアナウンサーとのやりとりが貴重になっている。

最後のツールに登場したアームストロング最後のツールに登場したアームストロング (c)Makoto.AYANOアームストロングのバイクはSRAM YELLOW搭載!?アームストロングのバイクはSRAM YELLOW搭載!? (c)Makoto.AYANO
ヨハン・ブリュイネールとアラン・ギャロパン監督ヨハン・ブリュイネールとアラン・ギャロパン監督 (c)Makoto.AYANO

そしてコンタドールが登壇。ヴィノクロフと肩を並べ、登壇。ジロを落車リタイアした山岳アシストのパオロ・ティラロンゴも復活した。昨年一緒に並んだ選手は全員レディオシャックに行ってしまったけど、顔ぶれを見る限り山岳ならなんとかアシストできる体制だ。でも平坦路は厳しそうだ。ツールでコンタドールをアシストするために移籍したはずのペレイロはいない。

オランダとベルギーでの石畳ステージについて訊かれると「難しい日になるだろうね。僕にとってベストでーじゃないけど、それがレース。前にいることが大切だよ」と答える。英語での質問にちょっとたどたどしい英語で応える真摯な姿勢に好感度高し。

コンタドールは英語の質問に苦戦中コンタドールは英語の質問に苦戦中 (c)Makoto.AYANOスキンヘッドのMC2人のせいか、いつもよりちょっと漢な感じで進んだチームプレゼン。テンポも速すぎて選手紹介としては物足りなかった感じが残った。

シクロワイアードで通年欧州のレース写真の配給を受けているCorVos(コル・ボス)もオランダのフォトエージェンシーだ。横に並んだチーフカメラマンのウィッセルさんと雑談しながらのプレゼン撮影だった。

二人してこの日のボヤキは「ツールっぽいいつものエレガントさがないよねぇ。選手の紹介もおざなりで、盛り上がりに欠けるよねぇ」と、昨年のモナコでのプレゼンが華やかだっただけに、そのギャップが大きかった。選手紹介はやっぱりダニエル・マンジャスさんじゃないと。

プレゼン終了後にオランダ在住のママさん選手、荻島美香さんに会った。遠方からロッテルダムを目指す「ツール・ド・デパールト」という120kmの自転車レースを走ってここまできたそうで、おじさんたちと一緒にメイン会場のすぐ脇で観覧できたとのことで満足気だった。


出揃った各国ナショナルチャンピオンジャージ

ツール直前に行われる各国選手権でチャンピオンになった選手たちが、ツールでそのナショナルジャージ姿をお披露目する。特急でジャージ製作を間に合わせたその苦労に敬意を表し、全員ではないけどその目新しいジャージ姿を紹介しましょう! ここで着ていない選手は多分製作が間に合わなかったと思われるので、第1ステージ以降でまた紹介します。

フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシング)ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシング) photo:Makoto Ayano


ニキ・テルプストラ(オランダ、チームミルラム)ニキ・テルプストラ(オランダ、チームミルラム) photo:Makoto Ayanoクリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム)クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム) photo:Makoto Ayanoアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)アレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ) photo:Makoto Ayano

アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ) photo:Makoto Ayanoマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル) photo:Makoto Ayanoトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Makoto Ayano


text&photo:Makoto.AYANO
photo:CorVos
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