コロナ感染によってユンボ・ヴィスマとチームDSMがレースから去ったバレンシアナ4日目。アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)らを退けたマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)が2年振りの復活勝利を挙げた。



補給を取る新城幸也らバーレーン・ヴィクトリアスの選手たち補給を取る新城幸也らバーレーン・ヴィクトリアスの選手たち photo:CorVos
前日にクイーンステージを終え、ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナの残す2日はいずれも平坦基調のスプリントステージ。オリウェラを出発して地中海と2つの湖に囲まれたトレビエハを目指す193kmは、中盤に3級山岳が登場するもののスプリンターを退けるには至らない。その後は平坦路がフィニッシュ地点まで続くため、今大会2度目の集団スプリントが予想された。

前日のバイクエクスチェンジ・ジェイコに続き、ユンボ・ヴィスマとチームDSMからもコロナ陽性者が出たためレースから撤退し、合計3チームが姿を消すととなった。また第2ステージで落車したジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)も"状態が100%でない"ため棄権を選んでいる。

逃げるマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナカザクスタン)ら5名逃げるマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナカザクスタン)ら5名 photo:CorVos
チームメイトたちに守られるリーダージャージのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)チームメイトたちに守られるリーダージャージのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ワールドチームから唯一マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナカザクスタン)が入った5名が逃げ集団を形成。しかし集団スプリントでの勝利を欲するアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオやイネオス・グレナディアーズがコントロールするプロトンが、残り20km地点で逃げグループを吸収した。

トレビエハに向かう幹線道路を各チームのトレインが横に広がり進むプロトン。市街地に入った残り3kmからはファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)のために総合2位でヤングライダージャージを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー)がフィニッシュ手前500mまで牽引した。

先頭がアンドレア・パスクアロン(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)に代わり、最終ストレートに突入する。リードアウトからアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)が飛び出すと、その右からフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、左からマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)が迫る。そしてフィニッシュ手前50mでクリストフをパスしたモスケッティが、2年振りとなる勝利に雄叫びを上げた。

リードアウトから加速したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)リードアウトから加速したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
2年振りの勝利を挙げたマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)2年振りの勝利を挙げたマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
「この勝利は特別だ。勝利を欲する心とは違い身体の調子は良くなかった。2020年の落車からここまでは困難の連続だったが、それも今日の勝利によって過去のものにすることができた」と語るのは、2020年エトワール・ド・ベセージュで落車し、骨盤や肩甲骨などの骨折から復活したモスケッティ。同年8月にレース復帰を果たしたものの、ここまで2年間勝利から遠ざかっていた。

翌日の最終日第5ステージも平坦基調のスプリントステージ。僅か92kmの戦いによってスペインのステージレース開幕戦が締めくくられる。

チームメイトと復活の勝利を喜ぶマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)チームメイトと復活の勝利を喜ぶマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2022第4ステージ結果
1位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) 4:32:17
2位 マヌエル・ペニャルベル(スペイン、ブルゴスBH)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
5位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)
6位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)
7位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
8位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)
9位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ルーカ・モッツァート(イタリア、B&Bホテルズ KTM)
87位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) 17:00:56
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:32
3位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) 0:36
4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) 0:50
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 1:02
6位 ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) 1:05
7位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 1:14
8位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 2:00
9位 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ) 2:05
10位 ダビ・デラクルス(スペイン、アスタナカザクスタン) 2:28
その他の特別賞
山岳賞 ベンジャミン・キング(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)
ポイント賞 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos