2022/02/04(金) - 11:53
TVタレントでChapter2ジャパン代表のマイケル・ライスさんが案内する箱根周遊のグランフォンドを走った。小田原を出発、富士山を眺めながらのご機嫌な120kmは獲得標高が約2,900mにのぼる厳しさ。フィニッシュ後には最高のBBQが待っていた。
「マイキー」ことマイケル・ライスさんが小田原に引っ越したのは昨年のこと。チャプター2のバイク試乗ができるデモセンターを兼ねる「Cycling GYPSY CAFE(サイクリングジプシーカフェ)」をオープンさせ、そこを拠点に試乗会やライドイベントなどを開催している。
そんなマイキーさんからお誘いを受けた新年第2週めのロングライド。いつも規格外のお楽しみを提供するマイキーが設定するコースは、箱根を周遊する距離120km・獲得標高2,900mにのぼる難コース。「Cycling GYPSY Granfondo」と名付けられたイベントはFacebookで告知され、基本的には誰でも参加することができる。参加費はなんと無料。その代わりすべて自己責任のミニイベントだ。こうしたグランフォンドを月1回ペースで開催しているという。
この日、難コースと真冬の低気温にひるまずに集まったのは12人。マイキーのパートナーであるグレン・ジプシーさんのつくる美味しいバーガーとミューズリー、淹れたてコーヒーのごきげんなパワーブレックファストをいただき、朝7時半からスタートしていく。参加者同士で話し合って脚力別にグループ分けして、遅い人から早めに走り出していくのだ。
私はチャプター2の新作バイク、TOA(トア)の試乗車を借りて走ることに。サイズが合えば希望のバイクも貸してくれるのだ(無料)。むしろ「一日じゅう試乗して楽しんでもらいたいです!」とマイキー。
コースはStravaのルートで提供される。そのGPXデータを自分のサイコンに読み込んでセルフナビしながら走るのだ。ところがマイキーがうっかりしてるから、配布を忘れることも(笑)。「はぐれたり遅れたりしたら自力でカフェに帰ってきてね」とマイキー。そんな感じのユルい放牧イベントである(笑)。
小田原駅から徒歩5分にあるCycling GYPSY cafeを拠点に、箱根をぐるっと巡る。この日の予想気温は5〜9℃、天気は快晴。真冬で気温は低いが、降水確率がゼロなのは好条件だ。
朝食をとりながら7時半発グループを見送り、我々「速い人班」は8時半に出発。カフェを出発してからはずっと登りっぱなし。みかん畑の裏道を通り、強羅の裏へと細道で登り、芦ノ湖を見渡せる長尾峠へと向かう。「ルート中唯一」というコンビニは序盤の序盤に登場するので、補給ポイントには難儀しそうだと思った。
長尾峠への道はクルマもほとんど通らず、展望が開けて陽当りも良好な気持ちのいい道。2週間前に降った大雪も、この週の晴天率が高かったからすっかり溶けて無くなっていた。眼下には逆光に煌めく芦ノ湖と雄大な山麓の風景が広がる。登り基調だが勾配は緩く、皆でおしゃべりしながら走れる極上の道だ。
長尾峠はトンネルになっていて、くぐって抜ければ富士山が見える側の斜面へと出る。もし苦しくなって先に向かうことを諦めても、このトンネルだけはくぐって富士山を眺めてから引き返したい。
峠からのスピードの出るダウンヒルは路面にところどころ水が流れ、凍結していないかと思いハラハラしたが、スリップすることもなく無事下ることができた。
途中の展望が良いコーナーに狛犬と鳥居があり、富士山がその間から望めるユニークなスポットがある。その後も富士山の展望スポットがあるたびに記念撮影してしまう我々。おかげで進みが遅くなる。
山麓の林間を行く「やまなみ林道」へと進んでいく。この道は一般の地図には載っておらず、かつ入り口も判りにくいためオートバイ乗りにも知られていないような林道だ。車が通ることはなく、自転車の通行は禁止されていないが、秘密の入り口はマイキーのみぞ知る。他にも難ポイントがいくつかあるので初見では苦労するはず。
このマイナー林道、アップダウンが永遠に続くかのようで、「永遠に続く天国」とマイキーは言う(笑)。お店などは当然なく、あるのは途中の湧き水スポットだけ。それでもここでボトルに天然水を満たし、先へと進む。
マイキーの言う通り、永遠に続くかに思えたやまなみ林道もようやく終点に到着。国道1号線へと出る。ここからは箱根峠への登り返しだ。富士山を背に、広い車道の脇を行く。歩道が側道以上に広くなっているので、そちらを走るのも安全だ(歩行者はほぼ居ない)。
箱根峠(標高846m)からの熱海箱根峠線を十国峠へと続く道は、やや下り基調で、展望もよく開けて気持ちの良い道だ。進行方向に気を取られていると素通りしてしまう絶景スポットで一休み。ここから見た富士山と海岸線へ開けたパノラマは筆舌に尽くしがたい眺めだった。
この箱根峠、十国峠、熱海峠の道はクルマで走ったことはあるが、自転車で通しで走ったのは初めて。夕刻迫る斜陽が絶景を一層引き立たせ、なんとも感動的だった。
熱海峠から熱海へと一気に下る。この細道はあまりにも激坂で、かなりブレーキと神経を使うダウンヒル。ディスクブレーキがギューギューと音を立てて鳴り、煙が上がりそうだ。MOA博物館脇からは熱海市街が眼下に一望できる。
下り終えて海岸線に出て、旧道を北上する。海沿いの幹線道路は渋滞することが多いからだ。もともとは真鶴半島に立ち寄って帰るプランだったが、日没が迫っていたのでパスして、裏道で小田原へ。小田原城で記念撮影すればスタートしたジプシーカフェはすぐそこ。
帰着してみると先発隊がまだ到着していない。どうやら真鶴半島一周もコンプリートしたらしく、僕らウサギさんグループより1時間ほど遅れて日がとっぷり暮れてからフィニッシュした。そのぶん走行距離も長いので、結局はカメさんグループの勝利だ。
ちなみにこの日、撮影にE-bikeで随行したCW編集部員の安岡君は、レンジエクステンダー(補助バッテリー)を2本用意して臨むも、坂の連続とターボアシストモードの多用(撮影は先行/追い着くの繰り返しなのだ)によって、電池切れにてルート完遂はならず。やむなく最後の絶景区間はショートカットして小田原に帰着した。
つまり、低気温というバッテリーには不利な条件ではあったものの、「最高」との評価が高いE-bikeであるスペシャライズドCREOが走りきれない難路を、我々は走りきったことになる。凄いぞ人力、凄いぞペダルバイク。ちなみに登りが厳しいコースの場合、本体バッテリーのみであれば獲得標高1,200mぐらいが目安となるようだ。
戻ってきたらジプシーカフェのバーベキュー。グレンさんの人のつながりで超高品質なお肉が手に入るほか、驚くほどハイレベルな素晴らしいお料理がずらりと並ぶ。いつもライドとセットのこの美味しいBBQはハードワークの後の栄養補給に最高。このChapter2ライドの素晴らしいところは、ライドの参加費は無料で、このBBQ(5,000円)やドリンクのみの料金であること。
そしてライドを完走した人には次回カフェで使える1,000円ぶんのチケットがプレゼントされる。なんとも太っ腹の企画で、一度参加した人は必ずリピーターになってしまうようだ。
バイク試乗とランチ・BBQが楽しめる
ジプシーカフェはそのままChapter2デモセンターとして、試乗車を用意しているので気になったバイクを試すことができる。走力があればそのまま今回のようなロングライドに参加することも可能。定期的にグラベルライド講習会なども開催している。
ジプシーカフェはじつは地元の人にも人気で、普段は近所の方々の憩いの場となっているそう。ただしマイキーもグレンさんも仕事で出かけることが多いので、不定期営業となっていることに注意。マイキーはNHK総合の「Cycle Around Japan」などのレギュラー番組を抱えているし、グレンさんと一緒に営業やサポートで全国のサイクルショップを回っていることも多いとか。連絡はFacebookからメッセージで予約するのが良いとのことだ。なおライドイベントもフェイスブックで告知される。
Cycling GYPSY CAFE
オープン日:金・土・日・月 9:00am-17:00
ただし不定期営業のためフェイスブックからのメッセージ等で予約・確認を
https://www.facebook.com/CyclingGypsyCafe
住所:〒250-0045 神奈川県小田原市城山 1-31-33
TEL:090-9969-0406
営業日:金、土、日、月(不定休なので要確認)
営業時間:9:00~
駐車場:近くにコインパーキングあり
問い合わせ:[email protected]
report : Makoto AYANO
photo : Naoki Yasuoka
「マイキー」ことマイケル・ライスさんが小田原に引っ越したのは昨年のこと。チャプター2のバイク試乗ができるデモセンターを兼ねる「Cycling GYPSY CAFE(サイクリングジプシーカフェ)」をオープンさせ、そこを拠点に試乗会やライドイベントなどを開催している。
そんなマイキーさんからお誘いを受けた新年第2週めのロングライド。いつも規格外のお楽しみを提供するマイキーが設定するコースは、箱根を周遊する距離120km・獲得標高2,900mにのぼる難コース。「Cycling GYPSY Granfondo」と名付けられたイベントはFacebookで告知され、基本的には誰でも参加することができる。参加費はなんと無料。その代わりすべて自己責任のミニイベントだ。こうしたグランフォンドを月1回ペースで開催しているという。
この日、難コースと真冬の低気温にひるまずに集まったのは12人。マイキーのパートナーであるグレン・ジプシーさんのつくる美味しいバーガーとミューズリー、淹れたてコーヒーのごきげんなパワーブレックファストをいただき、朝7時半からスタートしていく。参加者同士で話し合って脚力別にグループ分けして、遅い人から早めに走り出していくのだ。
私はチャプター2の新作バイク、TOA(トア)の試乗車を借りて走ることに。サイズが合えば希望のバイクも貸してくれるのだ(無料)。むしろ「一日じゅう試乗して楽しんでもらいたいです!」とマイキー。
コースはStravaのルートで提供される。そのGPXデータを自分のサイコンに読み込んでセルフナビしながら走るのだ。ところがマイキーがうっかりしてるから、配布を忘れることも(笑)。「はぐれたり遅れたりしたら自力でカフェに帰ってきてね」とマイキー。そんな感じのユルい放牧イベントである(笑)。
小田原駅から徒歩5分にあるCycling GYPSY cafeを拠点に、箱根をぐるっと巡る。この日の予想気温は5〜9℃、天気は快晴。真冬で気温は低いが、降水確率がゼロなのは好条件だ。
朝食をとりながら7時半発グループを見送り、我々「速い人班」は8時半に出発。カフェを出発してからはずっと登りっぱなし。みかん畑の裏道を通り、強羅の裏へと細道で登り、芦ノ湖を見渡せる長尾峠へと向かう。「ルート中唯一」というコンビニは序盤の序盤に登場するので、補給ポイントには難儀しそうだと思った。
長尾峠への道はクルマもほとんど通らず、展望が開けて陽当りも良好な気持ちのいい道。2週間前に降った大雪も、この週の晴天率が高かったからすっかり溶けて無くなっていた。眼下には逆光に煌めく芦ノ湖と雄大な山麓の風景が広がる。登り基調だが勾配は緩く、皆でおしゃべりしながら走れる極上の道だ。
長尾峠はトンネルになっていて、くぐって抜ければ富士山が見える側の斜面へと出る。もし苦しくなって先に向かうことを諦めても、このトンネルだけはくぐって富士山を眺めてから引き返したい。
峠からのスピードの出るダウンヒルは路面にところどころ水が流れ、凍結していないかと思いハラハラしたが、スリップすることもなく無事下ることができた。
途中の展望が良いコーナーに狛犬と鳥居があり、富士山がその間から望めるユニークなスポットがある。その後も富士山の展望スポットがあるたびに記念撮影してしまう我々。おかげで進みが遅くなる。
山麓の林間を行く「やまなみ林道」へと進んでいく。この道は一般の地図には載っておらず、かつ入り口も判りにくいためオートバイ乗りにも知られていないような林道だ。車が通ることはなく、自転車の通行は禁止されていないが、秘密の入り口はマイキーのみぞ知る。他にも難ポイントがいくつかあるので初見では苦労するはず。
このマイナー林道、アップダウンが永遠に続くかのようで、「永遠に続く天国」とマイキーは言う(笑)。お店などは当然なく、あるのは途中の湧き水スポットだけ。それでもここでボトルに天然水を満たし、先へと進む。
マイキーの言う通り、永遠に続くかに思えたやまなみ林道もようやく終点に到着。国道1号線へと出る。ここからは箱根峠への登り返しだ。富士山を背に、広い車道の脇を行く。歩道が側道以上に広くなっているので、そちらを走るのも安全だ(歩行者はほぼ居ない)。
箱根峠(標高846m)からの熱海箱根峠線を十国峠へと続く道は、やや下り基調で、展望もよく開けて気持ちの良い道だ。進行方向に気を取られていると素通りしてしまう絶景スポットで一休み。ここから見た富士山と海岸線へ開けたパノラマは筆舌に尽くしがたい眺めだった。
この箱根峠、十国峠、熱海峠の道はクルマで走ったことはあるが、自転車で通しで走ったのは初めて。夕刻迫る斜陽が絶景を一層引き立たせ、なんとも感動的だった。
熱海峠から熱海へと一気に下る。この細道はあまりにも激坂で、かなりブレーキと神経を使うダウンヒル。ディスクブレーキがギューギューと音を立てて鳴り、煙が上がりそうだ。MOA博物館脇からは熱海市街が眼下に一望できる。
下り終えて海岸線に出て、旧道を北上する。海沿いの幹線道路は渋滞することが多いからだ。もともとは真鶴半島に立ち寄って帰るプランだったが、日没が迫っていたのでパスして、裏道で小田原へ。小田原城で記念撮影すればスタートしたジプシーカフェはすぐそこ。
帰着してみると先発隊がまだ到着していない。どうやら真鶴半島一周もコンプリートしたらしく、僕らウサギさんグループより1時間ほど遅れて日がとっぷり暮れてからフィニッシュした。そのぶん走行距離も長いので、結局はカメさんグループの勝利だ。
ちなみにこの日、撮影にE-bikeで随行したCW編集部員の安岡君は、レンジエクステンダー(補助バッテリー)を2本用意して臨むも、坂の連続とターボアシストモードの多用(撮影は先行/追い着くの繰り返しなのだ)によって、電池切れにてルート完遂はならず。やむなく最後の絶景区間はショートカットして小田原に帰着した。
つまり、低気温というバッテリーには不利な条件ではあったものの、「最高」との評価が高いE-bikeであるスペシャライズドCREOが走りきれない難路を、我々は走りきったことになる。凄いぞ人力、凄いぞペダルバイク。ちなみに登りが厳しいコースの場合、本体バッテリーのみであれば獲得標高1,200mぐらいが目安となるようだ。
戻ってきたらジプシーカフェのバーベキュー。グレンさんの人のつながりで超高品質なお肉が手に入るほか、驚くほどハイレベルな素晴らしいお料理がずらりと並ぶ。いつもライドとセットのこの美味しいBBQはハードワークの後の栄養補給に最高。このChapter2ライドの素晴らしいところは、ライドの参加費は無料で、このBBQ(5,000円)やドリンクのみの料金であること。
そしてライドを完走した人には次回カフェで使える1,000円ぶんのチケットがプレゼントされる。なんとも太っ腹の企画で、一度参加した人は必ずリピーターになってしまうようだ。
バイク試乗とランチ・BBQが楽しめる
チャプター2デモセンター&サイクリング・ジプシーカフェ
ジプシーカフェはそのままChapter2デモセンターとして、試乗車を用意しているので気になったバイクを試すことができる。走力があればそのまま今回のようなロングライドに参加することも可能。定期的にグラベルライド講習会なども開催している。
ジプシーカフェはじつは地元の人にも人気で、普段は近所の方々の憩いの場となっているそう。ただしマイキーもグレンさんも仕事で出かけることが多いので、不定期営業となっていることに注意。マイキーはNHK総合の「Cycle Around Japan」などのレギュラー番組を抱えているし、グレンさんと一緒に営業やサポートで全国のサイクルショップを回っていることも多いとか。連絡はFacebookからメッセージで予約するのが良いとのことだ。なおライドイベントもフェイスブックで告知される。
Cycling GYPSY CAFE
オープン日:金・土・日・月 9:00am-17:00
ただし不定期営業のためフェイスブックからのメッセージ等で予約・確認を
https://www.facebook.com/CyclingGypsyCafe
住所:〒250-0045 神奈川県小田原市城山 1-31-33
TEL:090-9969-0406
営業日:金、土、日、月(不定休なので要確認)
営業時間:9:00~
駐車場:近くにコインパーキングあり
問い合わせ:[email protected]
report : Makoto AYANO
photo : Naoki Yasuoka
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