シクロクロス世界選手権本戦の第1種目となった女子ジュニアレースをゾーイ・バックステッド(イギリス)が圧倒。父親譲りのパワフルな走りで、ロードに続く2枚目のアルカンシエルを掴み取った。



レース序盤、2番手でアタックの時を待つゾーイ・バックステッド(イギリス)レース序盤、2番手でアタックの時を待つゾーイ・バックステッド(イギリス) photo:CorVos
前日にテスト開催されたチームリレーを終え、アメリカ・アーカンソー州ファイエットビルのセンテニアル・パークでシクロクロス世界選手権のメインイベントが始まった。アメリカでの世界選手権は2013年以来9年ぶり2度目であり、カウベル鳴り響く会場で世界一を決めるにふさわしい戦いが繰り広げられた。

新型コロナウイルスの感染拡大により2年ぶり、合計2回目開催(初開催は2020年)となった女子ジュニアレースに参戦したのは9カ国から集った24名。その中で1周目からリードを奪ったのは、今季圧倒的な成績をひっさげて乗り込んだ優勝候補筆頭のゾーイ・バックステッド(イギリス)だった。

パワフルな走りでリードを築くゾーイ・バックステッド(イギリス)パワフルな走りでリードを築くゾーイ・バックステッド(イギリス) photo:CorVos
単独でバックステッドを追うレオニー・ベントフェルド(オランダ)単独でバックステッドを追うレオニー・ベントフェルド(オランダ) photo:CorVosアバ・ホルムグレン(カナダ)ら3位グループアバ・ホルムグレン(カナダ)ら3位グループ photo:CorVos


「レース前にコーチと話して、調子が良ければ最初の登坂区間で仕掛けようと決めていた」と振り返るバックステッドは、宣言通り1周目の登坂区間で踏み込み、抜きん出たパワーを武器に頂上までの僅かな間に9秒ものリードを確保する。混戦の2番手グループからはやがてレオニー・ベントフェルド(オランダ)が単独追走を試みたものの、バックステッドの独走態勢が脅かされることはなかった。

2021年の女子ジュニア個人TT世界選手権で2位銀メダルを獲得し、勢いそのままに3日後のロードレースで世界チャンピオンに輝くなど同カテゴリーを席巻。シクロクロスシーズン開幕後も出場した全女子ジュニアレースで勝っていたバックステッドは、1月に入ってから新型コロナウイルスに感染しレースを離れていたものの、その影響は僅かだった模様。30秒近いリードを維持したまま最終周回をパワフルな走りで走り切った。

アタックして以降、一度も追いつかれることなく独走勝利したゾーイ・バックステッド(イギリス)アタックして以降、一度も追いつかれることなく独走勝利したゾーイ・バックステッド(イギリス) photo:CorVos
父マグヌスがパリ〜ルーベを制した2004年に生まれたバックステッドが、観客を沸かせながらフィニッシュラインへ。僅か4ヶ月前のロードレースに続く2枚目のアルカンシエルを射止め、その才能を今一度輝かせた。

「今年は素晴らしいロードとクロスシーズンを過ごすことができた。コロナ感染でナショナル選手権とワールドカップを逃したものの、幸運にも世界選手権に影響を及ぼさず、むしろ強くなることができた。レース中はチームスタッフから後ろとのタイム差を聞くことができて冷静に走れたし、落車もしなかった。全てが予定通りだった」とバックステッドは話している。

シクロクロス世界選手権2022女子ジュニア表彰台:2位ベントフェルド、1位バックステッド、3位モレングラーフシクロクロス世界選手権2022女子ジュニア表彰台:2位ベントフェルド、1位バックステッド、3位モレングラーフ photo:CorVos
アルカンシエルにサインを入れるゾーイ・バックステッド(イギリス)アルカンシエルにサインを入れるゾーイ・バックステッド(イギリス) photo:CorVos
一時バックステッドを変わらないラップタイムで追走したベントフェルドが2位、ローレン・モレングラーフ(オランダ)が3位に入り、オランダが表彰台を2箇所抑えることに成功した。


シクロクロス世界選手権2022女子ジュニア結果
1位 ゾーイ・バックステッド(イギリス) 41:16
2位 レオニー・ベントフェルド(オランダ) +0:32
3位 ローレン・モレングラーフ(オランダ) +0:57
4位 エラ・マクリーンホーウェル(イギリス) +1:06
5位 フェデリカ・ヴェントゥレッリ(イタリア) +1:09
6位 リル・ファブレグ(フランス) +1:09
7位 アバ・ホルムグレン(カナダ) +1:38
8位 イザベラ・ホルムグレン(カナダ) +1:49
9位 アルマ・ヨハンソン(スウェーデン) +1:57
10位 ジュリア・コペッキー(チェコ) +2:03
text:So Isobe
photo:CorVos