イタリアのスキーリゾートであるヴァル・ディ・ソーレで、シクロクロスのワールドカップが開催された。一面雪で覆われトラクションコントロールが難しいコースで、男子エリートはワウト・ファンアールトが、女子エリートはフェム・ファンエンペルが制した。



女子エリート:フォスの猛追をかわしたファンエンペルがW杯初優勝

トレンティーノのスキーリゾート、ヴァル・ディ・ソーレでワールドカップが開催されたトレンティーノのスキーリゾート、ヴァル・ディ・ソーレでワールドカップが開催された (c)CorVos
グリーンシーズンはMTBのレースが開かれることで知られ、今年は世界選手権も開催されたイタリアのヴァル・ディ・ソーレ。ウィンターシーズンを迎えたトレンティーノ北部のスキーリゾートでシクロクロスのワールドカップが行われた。

スタート/フィニッシュのホームストレート以外は圧雪された雪で覆われ、「とてもトリッキーで、いつものシクロクロスとは全く違う。スリッピーだからミスしないように常に集中して走る必要があるし、追い抜くのも簡単じゃない。でも、面白いレースになると思う」とマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ)が言うように、難易度の高いコースに選手たちは挑んだ。

ホールショットを決めたフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)を先頭に、選手たちは後輪を滑らせながらスノーセクションを駆けていく。高低差があるコースでトラクションをシビアにコントロールし、乗り降りを繰り返しながらファンエンペルは、1周目完了時点で一人抜け出した。

トラブルに見舞われるものの猛追したマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)トラブルに見舞われるものの猛追したマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)、ロシェットが先頭を追いかけるが、2周目にフォスとピーテルスはチェーン落ちにトラブルに見舞われた。どちらも直ぐに走り始めたが、順位を落とすことに。

ファンエンペルは着実に、かつクイックに走り、2・3周目で後続とのタイム差を拡大。誰もがスリップダウンする状況で2位はベッツィマとロシェットが争うが、4周目の小山を登るランニングセクションでロシェットが抜け出しに成功。ロシェットはそのままペースアップし、ファンエンペルとの距離を縮め始めた。

ワールドカップ初優勝を遂げたフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)ワールドカップ初優勝を遂げたフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) (c)CorVos
最終周回の5周目に突入時点でファンエンペルとロシェットの差は9秒。ロシェットの7秒後方にいるベッツィマをトラブル後猛追していたフォスとエヴァ・リヒナー(イタリア、トリンクス・ファクトリーチーム)が捉え、フォスはその勢いでロシェットもパス。

残り3つめのコーナーでついにフォスがトップを捉え、ファンエンペルのイン側を攻めたが、その次のコーナーで杭にヒットし落車。ファンエンペルも巻き込まれたが転ぶことなく冷静に対処し、先頭でフィニッシュラインを駆け抜け、初のW杯勝利を手に入れた。3位にはロシェット、4位にはベッツィマを抜くことに成功したリヒナーが入った。



男子エリート:集中力を切らさずに単独で走りきったファンアールトが今季3勝目

轍にタイヤを入れハイスピードで駆け抜けたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)轍にタイヤを入れハイスピードで駆け抜けたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
男子のホールショットをとったのはマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)。先頭のファントーレンハウトはそのままハイペースを刻み、1周回完了時点でエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と共に抜け出した。

ファンアールトが先頭に出ると更にペースアップし、2人を引き離しにかかり徐々にタイム差を広げていく。先頭3名の背後ではトルマンス・サーカスCXチームのクィンティン・ヘルマンス(ベルギー)とコルネ・ファンケッセル(オランダ)、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)らもハイペースで猛追。

ホールショットを決め抜け出すマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)ホールショットを決め抜け出すマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) (c)CorVos
イゼルビットを追い上げて3位表彰台を獲得したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)イゼルビットを追い上げて3位表彰台を獲得したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
ミスがありながらも快調に突き進むファンアールトと追いすがるファントーレンハウトからイゼルビットが離された状態で4周目に突入。イゼルビットは前との差を保ちながら走っていたが、一つのミスでピドコックに捉えられる。一時はピドコックに差をつけられたもののイゼルビットは粘りの走りで、再びピドコックにジョインすることに成功した。この2人はは順位を入れ替えながら一進一退の攻防を繰り広げる。

2周目から先頭に立ち独走状態を築いたファンアールトはミスしながらもハイペースを保ち続け、ファントーレンハウトを寄せ付けることなく今シーズン3勝目を挙げた。「最初は非常に良くて勝利を目指したけど、ワウトがストレートラインで速かった。2位に入れて嬉しい」と語るファントーレンハウトが2位。

圧倒的な速さで優勝したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)圧倒的な速さで優勝したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
3位表彰台を賭けたピドコックとイゼルビットの争いは、ピドコックが先行し、最終7周回に入る直前にイゼルビットがミスでタイムギャップが拡大。イゼルビットは再び迫れたもののミスが重なり、大きなミスをしなかったピドコックに軍配が上がった。

2位マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、優勝ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、3位トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)2位マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、優勝ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、3位トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第10戦 女子結果
1位 フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 51:50
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:06
3位 マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ) +0:11
4位 エヴァ・リヒナー(イタリア、トリンクス・ファクトリーチーム) +0:23
5位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:45
6位 エレーヌ・クラウツェル(フランス、A.S.バイククロスチーム) +2:03
7位 アリーチェマリア・アルツッフィ(イタリア) +2:07
8位 サンヌ・カント(ベルギー) +2:42
9位 パック・ピーテルス(オランダ) +2:54
10位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア) +3:43
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第10戦 男子結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 59:27
2位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:49
3位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +1:28
4位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:44
5位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) +2:15
6位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) +2:16
7位 ケヴィン・クーン(スイス、トルマンス・サーカスCXチーム) +2:29
8位 ダーン・ソエテ(ベルギー、CXチームデスハフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) +2:46
9位 トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +3:36
10位 コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンス・サーカスCXチーム) +3:52

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