イネオス・グレナディアーズがエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)の獲得を発表。自身の勝利だけではなく若手の育成にも携わりながら、トラックで2024年のパリ五輪を目指すと語っている。



エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス) photo:LaPresse
「このチームを離れたその日から頭のどこかで”いつか戻ってこれたら”と思っていた。チームに戻ることができてこれ以上幸せなことはない」と、11月1日にイネオス・グレナディアーズが発表したリリースの中でヴィヴィアーニは語った。

「離れていた数年の間もデイブ(ブレイルスフォード)やロッド(エリングワース)、チームにいるイタリア人選手やコーチたちとの関わりを失うことはなかった。特にデイブとはレースや自転車競技について、所属するチーム、シーズン、そしてイネオスについて会話を重ねてきた。僕にとって家族の元に帰ってきた気持ちがするよ」。

2015〜17年の3年間所属したイネオス(当時チームスカイ)時代にジロ・デ・イタリアのステージ優勝を含む17勝をもたらしたヴィヴィアーニ。その後はドゥクーニンク・クイックステップに移籍すると、2018年ジロで区間4勝とポイント賞を獲得し、2019年は欧州選手権を制するなどキャリアハイとなる成績を上げた。2019年からはコフィディスに活躍の場を変え、一時は低迷するものの、今年はシーズン後半に復調し7勝する活躍を見せた。

2020年シーズンは欧州選手権王者ジャージを着て走ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)2020年シーズンは欧州選手権王者ジャージを着て走ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)
10月24日のトラック世界選手権男子エリミネーションを制したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)10月24日のトラック世界選手権男子エリミネーションを制したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) photo:CorVos
来年の2月で33歳を迎えるヴィヴィアーニはイネオスでの役割について「来年の目標はスプリンターの使命である”出来る限り多くのレースで勝利を掴む”ことだ。だが同時に若い選手たちに僕の経験を伝えたい。才能溢れる選手たちのなかでベテラン選手として良い手本になりたい」と、昨年今年とイネオスが多く獲得した若手選手への指導に意欲を語った。

エーススプリンターの5年振りに復帰について「チーム全体が喜びに溢れている」とコメントしたのは、現場を離れたデイブ・ブレイルスフォードに代わりGMに就任したロッド・エリングワース。「我々はエリアを経験豊富で勝てる選手だけではなく、人格者として見ている。彼はどんな集団にも良い影響をもたらしてくれ、高みを目指す選手たちを刺激し、牽引し、教育してくれることを期待している。もちろん彼はレーサーなのでグレナディアーズとして勝利を挙げる姿を見たい」。

2016年リオ五輪で金メダルを獲得するなどトラックでも活躍するヴィヴィアーニは、連覇を目指した東京五輪こそ銅メダルに終わったものの、10月24日に行われたトラック世界選手権の男子エリミネーションを初制覇。目下の目標は3年後に控えるパリ五輪だという。「契約はパリ五輪が開催される2024年までだ。イネオスはそこに向けたサポートをしてくれるチームだ。フィリッポ・ガンナがロードや東京のトラックで見せた走りは素晴らしく、僕にとって五輪がどれほど重要かを自覚する年になった。僕が次のステージに上がるためにこのチームはふさわしいと思ったんだ」。

text:Sotaro.Arakawa