2年ぶりの全日本選手権が、10月22日から24日の3日間に渡り、広島県中央森林公園で開催される。3日間のスケジュールと、ロードレースと個人タイムトライアルで逆周回となるコースについてプレビューする。



来場者全員にPCR検査を義務付けての無観客開催

全日本選手権の会場となる広島県中央森林公園(写真は今年7月に開催されたJプロツアー西日本ロードクラシック)全日本選手権の会場となる広島県中央森林公園(写真は今年7月に開催されたJプロツアー西日本ロードクラシック) photo:Satoru Kato
2019年富士スピードウェイ以来、2年と4ヶ月ぶりの全日本選手権。当初は6月に予定されていたが、広島県に出されていた緊急事態宣言により会場となる広島県中央森林公園が使用できなかったことから、10月まで延期されてようやく開催となった。

コースの残り1km付近にある「用倉大橋」(写真は2020年Jプロツアー)コースの残り1km付近にある「用倉大橋」(写真は2020年Jプロツアー) photo:Satoru Kato
一時は10月の開催さえも危ぶまれたが、新型コロナウィルスの感染拡大が10月に入って急減速したことは幸いだ。しかし、大会期間中は事前に届出をした選手とその関係者、取材申請をした報道関係者以外の入場が制限され、無観客での開催となる。来場者は全員PCR検査を受けることが義務付けられているので、くれぐれも観戦目的での来場は控えるようお願いしたい。



初日は個人TT ロードレースは男女共にエリート、U23、マスターズのみ

3日間のタイムスケジュールは以下の通り。10月22日は個人タイムトライアル、23日、24日にロードレースが行われる。
全日本選手権ロードレース パラサイクリング選手権 日程
10月22日(金)
8:00〜 男子U23 個人タイムトライアル(24km)
10:00〜 女子エリート+女子U23 個人タイムトライアル(24km)
11:00〜 パラサイクリング 個人タイムトライアル(24km、12km)
13:00〜 男子エリート 個人タイムトライアル(36km)
終了後 表彰式
10月23日(土)
8:00〜11:00 男子U23 個人ロードレース(123km)
11:10 表彰式
11:30〜14:00 女子エリート+女子U23 個人ロードレース(98.4km)
14:10 表彰式
10月24日(日)
8:00〜 男子マスターズ(30〜39+40〜49) 個人ロードレース(86.1km)
8:03〜 男子マスターズ(50〜59+60〜69)、女子マスターズ 個人ロードレース(61.5km)
10:30 表彰式
11:00〜 男子エリート 個人ロードレース(184.5km)
15:40〜 表彰式
今回は、男女共にエリートとU23、マスターズ、パラサイクリングのみの開催となる。ジュニア以下のクラスは「全国ジュニア自転車競技大会(四日市ジュニア)」での併催が予定されていたが、大会中止が決定したため、残念ながら今年は開催されないことになった。



ロードレースは小集団での勝負となるか 個人TTは逆周回

ロードレース コースプロフィールロードレース コースプロフィール ©️JCF 大会要項より抜粋
残り3km付近の3連トンネルは勝負どころでもある(写真は2020年Jプロツアー)残り3km付近の3連トンネルは勝負どころでもある(写真は2020年Jプロツアー) photo:Satoru Kato広島名物フェンストンネル(写真は2020年Jプロツアー)広島名物フェンストンネル(写真は2020年Jプロツアー) photo:Satoru Kato

広島県中央森林公園での全日本選手権は2010年以来11年ぶり。1周12.3kmのコースは、広島空港の滑走路をぐるっと囲むように周回する。

2003年全日本ロードレースを制した福島晋一(ブリヂストンアンカー)2003年全日本ロードレースを制した福島晋一(ブリヂストンアンカー) (c)Makoto.AYANO今年は西日本チャレンジやJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)、JCL(ジャパンサイクルリーグ)の大会が開催されており、多くの選手にとっては勝手知ったるコース。残り4km付近から始まる登り・・・3連トンネルから展望台までの登り区間は最大の勝負所だ。

カーブが連続して直線区間が短いため、集団のペースが上がりづらいことも勝負を分けるポイント。少人数の逃げ集団でも4分以上の差をつけると、集団の意思がまとまらない限り捕まえることは難しくなる。2003年の全日本選手権では、序盤に形成された5名の集団が逃げ切り、福島晋一(当時ブリヂストンアンカー)が優勝している。

個人タイムトライアル コースマップ個人タイムトライアル コースマップ ©️JCF 大会要項より抜粋
ハイスピードで下りカーブを流れていく集団ハイスピードで下りカーブを流れていく集団 photo:Satoru Kato一方、個人タイムトライアルは通常と逆方向の周回(左回り)となり、コースが一部変更されて300m短い1周12kmとなる。ロードレースでの勝負所が長い下り区間となるが、後半はカーブとアップダウンが連続することになるため、DHバーやホイールなどの機材選択に悩む声がチームや選手から聞かれている。

逆周回でのレースは、広島県自転車競技連盟主催の「もみじサイクルロードレース」で行われていた事があるようだが、多くの選手にとっては未知のコースとなるはず。試走は当日のみとなるので、あるいは予想外の結果となるか?



中根英登や五輪代表、パラ金メダリストもエントリー

発表された選手リストには、今年EFエデュケーションNIPPOに加入した中根英登や、東京五輪ロードレースに出場した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、金子広美(イナーメ信濃山形)、パラサイクリングには金メダリストの杉浦佳子(VC福岡)の名前が載る。次回は注目選手をプレビューする。


text:Satoru Kato