イタリアを代表するクラシックハンター、ジャンニ・モスコンが今季限りで6年間過ごしたイネオス・グレナディアーズを離れアスタナに移籍する。期間は2023年までの2年間。「キャリアの中でも最も重要なステップ」と話している。



ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) (c)Josef Vaishar/Vitesse
「1チームで6年間を過ごし、僕はキャリアの中でも最も重要なステップを踏む。これは僕にとって一つのチャレンジであり、成長し続けるためのモチベーションであり、そしてその新しいチャレンジは成功するという確信を得ている。何年にも渡って積み重ねてきた経験を、これからは新しいチームと新しい環境の中で発揮したいと思う」と、アスタナ・プレミアテックから発表されたリリースの中でモスコンは語っている。

2016年にチームスカイでプロデビューを果たしたジャンニ・モスコン(現イネオス・グレナディアーズ)は、爆発力やスピードを武器にタフなクラシックレースで成績を挙げてきた27歳。2018年のツアー・オブ・ガンジー総合優勝を筆頭に2019年世界選手権4位、2017年パリ〜ルーベ5位&イル・ロンバルディア3位、個人タイムトライアルイタリアチャンピオン2冠といった実績を誇る一方、”モニュメント”と呼ばれるビッグレースでの優勝経験は未だ無い。

人種差別発言やレース中の暴力行為などで失格や出場停止処分を受けるといった事件を何度も起こしてきたが、持ち前のポテンシャルで重要レースで重宝され、世界選手権など重要レースでイタリア代表メンバー入り多数。ここ数年はやや精彩を欠いていたものの、2021年は3勝と息を吹き返した。

2019年の世界選手権。ジャンニ・モスコン(イタリア)は世界選手権自身最高の4位に2019年の世界選手権。ジャンニ・モスコン(イタリア)は世界選手権自身最高の4位に (c)CorVos
「アスタナとの初年度で望むことはできる限りチームの役に立つこと。そしてもちろん僕自身の成功を得ること。最高峰のレースで最大限のパフォーマンスを発揮したいと思っている。新しいチームやヴィノクロフGM、コーチ陣や監督陣と一緒に新しいカレンダーについて議論しなくてはならない。たくさんの重要かつ大きなレースがたくさんある中で自分自身を証明するとともに重要なリザルトを残したい」と、モスコンはビッグレースでの勝利を目指して新天地へと渡る。

アスタナからは現在共同スポンサーを務めるカナダ企業プレミアテックのスポンサー早期降板が決まっているものの、アレクサンドル・ヴィノクロフ氏がゼネラルマネージャーに復帰し、2013〜2016年に所属したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)が復帰、さらにモスコンを加えるなど再びカザフスタン&イタリア色が濃くなる予定。ヴィノクロフ氏は「まだ27歳と若いモスコンのポテンシャルを最大限花開かせたい。彼の加入はワンデーレース、そしてグランツールの両方でチームに大きな力をもたらしてくれるはず」と期待を寄せている。

text:So Isobe