テクニカルなコースとハイペースが多数の落車を誘発したロード世界選手権U23男子ロードレース。残り5kmでアタックしたフィリッポ・バロンチーニ(イタリア)が追走を振り切り、イタリアに2大会連続の勝利をもたらした。



港湾都市アントワープを出発するプロトン港湾都市アントワープを出発するプロトン photo:CorVos
ベルギー・アントワープからルーヴァンまでの161.1kmで争われたロード世界選手権U23ロードレース。コースはスタートから南に向かう62kmの平坦路を進み、フランドル地方らしい短くも急勾配な石畳の激坂を越え、最後はルーヴァン市内のサーキットを2.5周する。

晴天のなか174人がスタートを切ると、小刻みなアップダウンのと狭いコーナーによって単独、小規模落車が連続して発生。その中には欧州選手権で5位だったレナート・ファンイベルト(ベルギー)や優勝候補筆頭に挙げられていた19歳のフアン・アユソ(スペイン)も。ダメージが大きかったアユソはリタイアに追い込まれた。

レースはドイツ、オランダ、イタリアなどがメイン集団の先頭で人数を固め、ローガン・カリー(ニュージーランド)ら3名による逃げ集団を追う形でレースが展開。しかし残り70kmから登場するフランドリアン・サーキットの石畳の坂で早々に吸収されると、集団は一かたまりへと戻った。

序盤から逃げたローガン・カリー(ニュージーランド)ら3名序盤から逃げたローガン・カリー(ニュージーランド)ら3名 photo:CorVos
レース中盤で落車しレースを去ったレナート・ファン・イベルト(ベルギー)レース中盤で落車しレースを去ったレナート・ファン・イベルト(ベルギー) photo:CorVos
見せ場が作れず6位に終わった優勝候補のティボー・ネイス(ベルギー)見せ場が作れず6位に終わった優勝候補のティボー・ネイス(ベルギー) photo:CorVos
小集団が先行しては吸収される展開のままフィニッシュ地点ルーヴァンの周回コースに入り、最終周回の下りを利用して今年クベカ・ネクストハッシュでプロデビューしたマウロ・シュミット(スイス)が仕掛けた。これにアーサー・クラッカーズ(ルクセンブルク)が合流を果たすも、残り5.6km地点でプロトンに捉えられ、このカウンターで欧州選手権で2位だったフィリッポ・バロンチーニ(イタリア)がアタックした。

一気に8秒差をつけて進むバロンチーニに対し、25名ほどに絞られた追走集団が追うものの、どの国も人数を揃えられず差が縮まらない。各国のエースが1人、また1人と単独で仕掛けてはプロトンからブリッジがかかる展開を尻目に、バロンチーニがテクニカルなコーナーをクリアしてフィニッシュラインに先頭でたどり着いた。

終盤で飛び出したマウロ・シュミット(スイス)終盤で飛び出したマウロ・シュミット(スイス) photo:CorVos
フィニッシュ手前のテクニカルなコースを先頭で駆け抜けるフィリッポ・バロンチーニ(イタリア)フィニッシュ手前のテクニカルなコースを先頭で駆け抜けるフィリッポ・バロンチーニ(イタリア) photo:CorVos
独走で勝利したフィリッポ・バロンチーニ(イタリア)独走で勝利したフィリッポ・バロンチーニ(イタリア) photo:CorVos
迫り来るメイン集団を2秒差で振り切ったバロンチーニは「夢のようだ。1日を通してストレスの多い展開だったが、夢だったここでの勝利を挙げることができた。最後のアタックはレース前に話し合っていた作戦で、全て上手くいった。感動で言葉がないよ」と喜びをコメント。前回の2019年大会を制したサムエーレ・バッティステッラに続き、イタリアが2大会連続のアンダーチャンピオンを生み出した。

バロンチーニの勝利を許したメイン集団による2位争いは、今年ユンボ・ヴィスマの下部チームから昇格したオラフ・コーイ(オランダ)に対してビニアム・ギルマイ(エリトリア)が先着。エリトリア人としては初となるロード世界選手権の表彰台に立った。

アルカンシェルを手にしたフィリッポ・バロンチーニ(イタリア)アルカンシェルを手にしたフィリッポ・バロンチーニ(イタリア) photo:CorVos
ロード世界選手権2021男子U23ロードレース
1位 フィリッポ・バロンチーニ(イタリア) 3:37:36
2位 ビニアム・ギルマイ(エリトリア) 0:02
3位 オラフ・コーイ(オランダ)
4位 ミケル・ガゾッリ(イタリア)
5位 ルイス・アスキー(イギリス)
6位 ティボー・ネイス(ベルギー)
7位 ルーカ・コルナギ(イタリア)
8位 ポール・ペノー(フランス)
9位 ヴィニシウス・ランゲルコスタ
10位 トビアス・バイエル(オーストリア)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos