9月5日にイギリス最大のステージレース「ツアー・オブ・ブリテン」が開幕。丘陵ステージの初日はワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が登りスプリントを制し、ツール・ド・フランス最終日以来となる勝利を挙げた。



マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめ豪華なメンバーが揃ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめ豪華なメンバーが揃った photo:CorVosツアー・オブ・ブリテン2021コースプロフィールツアー・オブ・ブリテン2021コースプロフィール photo::www.tourofbritain.co.uk
今年で17回目を迎えるツアー・オブ・ブリテン(2.Pro)は1987年より行われるイギリス最大かつ最古のステージレース。1999年に一旦休止したものの、2004年に復活して以降は8ステージまで拡大して現在に至る。コロナ禍で中止された昨年から2年振りの開催には、地元イネオス・グレナディアーズを含む7のワールドチームとアルペシン・フェニックスやアルケア・サムシックなど強力なプロチームなど全18チームが揃った。

出場選手の中で注目を二分するのは2018年大会の覇者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)と、規格外の走りでファンを魅了するワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)。世界選手権を狙う2人は、強度の高いこの大会を調整の場として選んだ。その他にも復活を遂げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)に加え、今年限りで現役引退を表明したダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)も出場した。

今大会は開催を断念した昨年のコースをそのまま使用し、イングランド南部からスコットランドに向かい北上していく全8ステージで争われる。初日はイングランド西南に位置するペンザンスからボドミンまでの丘陵ステージで、3つの2級山岳を越え、フィニッシュ手前1kmから勾配のある丘フィニッシュが選手たちを迎える。

山岳ポイントを巡るアタックが繰り広げたニコラス・ドラミニ(南アフリカ、クベカ・ネクストハッシュ)を含む逃げ集団山岳ポイントを巡るアタックが繰り広げたニコラス・ドラミニ(南アフリカ、クベカ・ネクストハッシュ)を含む逃げ集団 photo:CorVos
メイン集団はユンボ・ヴィスマとドゥクーニンク・クイックステップが中心にコントロールメイン集団はユンボ・ヴィスマとドゥクーニンク・クイックステップが中心にコントロール photo:CorVos今季限りでの引退を発表したダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)今季限りでの引退を発表したダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos

ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、クベカ・ネクストハッシュ)がキャニオンDHBサンゴッドなど地元のコンチネンタルチームら5名と逃げグループを形成したものの、脚のフレッシュなユンボ・ヴィスマやドゥクーニンク・クイックステップといったチームがタイム差の拡大を阻止。最大3分差から徐々にタイムを詰めながら、木々が生い茂るコースを進んでいった。

激しい山岳ポイント争いをジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)が制した逃げグループは、残り23km地点で吸収される。フィニッシュのボドミンまで狭くアップダウンが連続するコースでアルペシン・フェニックスがペースを作ると、救済措置が適応されない残り8kmでジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)を含む3名の落車が発生した。

終盤に激しいペースアップで人数を絞ったドゥクーニンク・クイックステップ終盤に激しいペースアップで人数を絞ったドゥクーニンク・クイックステップ photo:CorVos
落車に巻き込まれた選手たちが追走を断念するハイスピードで集団の牽引したのは、登りフィニッシュに勝機がないカヴェンディッシュ。人数が絞られ一列棒状になったメイン集団を、先頭を代わったダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がフラムルージュ(残り1km)まで届けると、登りで主導権を奪ったミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)の番手からアラフィリップがスプリントを開始する。

しかしその速度を維持することができないアラフィリップを、後方で脚を溜めていたファンアールトが追い抜く。食い下がるニルス・エーコフ(オランダ、チームDSM)やセラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター)を寄せ付けることなく、そのままファンアールトがフィニッシュラインに到達した。

圧倒的なスプリントでライバルを蹴散らしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)圧倒的なスプリントでライバルを蹴散らしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ツール・ド・フランス最終日以来となる勝利を挙げたファンアールトは「アップダウンを繰り返すタフなステージだった。フィニッシュに向かうコースは狭く難しかった。アラフィリップは予想通りの走りで、彼の近くにいることが重要だったので躊躇なく彼の後ろについたんだ」とコメント。「明日はより厳しいステージだが、最後は平坦なので僕に向いてはいないかな」とリーダージャージに袖を通したベルギーチャンピオンは語った。

ユニオンジャック色のリーダージャージに袖を通したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)ユニオンジャック色のリーダージャージに袖を通したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
翌日の第2ステージはシェフォードからエクセターまでの184km。3つ2級山岳からフィニッシュまで続く平坦という初日と似たレイアウトながら、獲得標高が3500mとピュアスプリンターが勝負に絡むのは厳しそうだ。
ツアー・オブ・ブリテン2021第1ステージ結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 4:33:36
2位 ニルス・エーコフ(オランダ、チームDSM)
3位 セラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター)
4位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
5位 ロリー・タウンセンド(アイルランド、キャニオンDHBサンゴッド) 0:02
6位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)
7位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)
8位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
9位 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
10位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス)
個人総合成績
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 4:33:26
2位 ニルス・エーコフ(オランダ、チームDSM) 0:04
3位 セラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター) 0:06
4位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:10
5位 ロリー・タウンセンド(アイルランド、キャニオンDHBサンゴッド)
6位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) 0:12
7位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)
8位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
9位 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
10位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス)
その他の特別賞
ポイント賞 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
山岳賞 ジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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