ユンボ・ヴィスマの手にマイヨロホが再び戻ってきたブエルタ第17ステージ。「今日の走りに深い考えはなかった」と語るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)や、そのきっかけを作ったベルナル、棄権したランダなどのコメントを紹介します。



ステージ1位&マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

今大会ステージ3勝目を飾ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)今大会ステージ3勝目を飾ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
自転車レースにはリスクはつきものだし、何が起きてもおかしくない。だが今日は良いレースができてとても嬉しいよ。(ベルナルのアタックに)ただついて行っただけで、深い考えは何もなかった。ついて行った後に「フィニッシュまで大分距離があるな」とは思ったし、最後は厳しい山岳もあったが、上手く走り良いレースができた。

最後のアタックも出来る限り速く登ろうとしただけで、エガン(ベルナル)突き離そうとしたわけではない。チームによるサポートあったおかげで、今日は楽しんで走ることができた。雨が降らなければもっと良い日になっていただろうが、それでも最高の日になったよ。

再びマイヨロホを手にしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)再びマイヨロホを手にしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
いままでのブエルタで最高のステージになった。最終山岳は沿道にいたファンの声援も力になり、フルスロットルで登った。いつも言っているように「十分なタイム差」なんていうものはない。それに明日はクイーンステージなので、明日の結果次第でどうにでもなるだろう。

明日もまた勝負しなければならず、総合で良い順位につくことができたものの、安心できるタイム差なんてないんだ。最後まで集中を切らさずチーム一丸となって走りたいし、その自信はある。

ステージ3位&総合3位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)

ログリッチを追走するミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)らログリッチを追走するミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)ら photo:Unipublic
ベルナルのアタックも、それに反応するログリッチにも驚きはしなかった。なぜならログリッチが才能に溢れた選手だということは明らかだからね。加速した2人についていこうとしたのだが、無理だった。また単独で行くことも賢明ではないと判断し集団に戻った。自分が40kmも全力で行ける状態にあるのか分からなかったし、明日の方が大切なステージだからね。

タイム差を広げたい前の2人も、それを追う僕たちもフルガスだった。タイム差が一時は2分まで広がり、登り始めのところで1分30秒まで縮まった。登りに入った僕たちはみんな苦しそうにしていたよ。

明日が最も重要なステージで、エンリク(マス)と僕の脚がどうなるかは分からない。だが今日の僕らはメイン集団に残ることができるぐらい調子は良かった。ログリッチは最後まで信じられない走りを見せたが、明日はどうなるだろうね。

ステージ6位&総合2位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

今日という非常に難しいステージを上手く乗り越えることができた。スタートから逃げが形成されない過酷な展開で、最初の1級山岳でようやく大きな先行集団ができた。そこにチームから3名入ることができたが、吸収されユンボ・ヴィスマがどんなアタックも許さないハイスピードで牽引した。

ログリッチのアタックには驚いたよ。そして祝福せざるを得ないぐらい今日の彼は強かった。しかし、僕もミゲル(ロペス)もこの結果には概ね満足している。ログリッチを除く総合上位陣はみな一緒にフィニッシュし、僕たちは総合2位と3位につけている。今日というタフで重要な日を、こういった悪くない結果で終えることができて良かったよ。

ステージ7位&総合6位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

残り60km地点でアタックしたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)残り60km地点でアタックしたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
今日のステージと走る喜びを感じるためにアタックしたんだ。それ以上でもそれ以下でもない。今朝のチームバスでのミーティングでは、楽しもうということだけ考えていた。このブエルタでは苦しむ時間が長く続いたが、今日は脚があった。なるべくレースを厳しいものにしたかったんだ。僕にとってもハードだったが、一瞬一瞬を楽しみながら走ることができた。

ログリッチの勝利に繋がる動きができて嬉しいよ。彼はとても勇敢な選手だ。僕には失うものがない一方で、彼には総合首位という重圧があった。それにもかかわらず僕のアタックについてくるなんて凄いよ。彼は今日最も強かった選手となり、彼の勝利を祝福したい。

ステージ12位&総合9位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

序盤からハードな展開だったが、チームメイトは重要なアタックに反応する素晴らしい動きをしてくれた。登りではイネオスが良いペースを作っていたが、その後は雨で路面が滑りやすくなってしまった。ベン(ツィーホフ)がずっとアシストしてくれ、落車したあとも集団復帰をサポートしてくれた。力を使わなければならなかったが、なんとか重要な登りの直前で集団に復帰することができた。ベストを尽くしたので満足しているし、まだ総合10位以内につけている。

ステージ15位&総合5位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

マイヨロホのチャンスを逃すも総合5位につけたギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)マイヨロホのチャンスを逃すも総合5位につけたギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) photo:CorVos
今日は自分と痛みとの戦いだった。ステージ15位と総合で5位は、落車から一夜明けた今朝には思ってもいない(良い)結果だよ。

マイヨロホを失ったオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)

昨日、「マイヨロホを失ったとしても落ち込むことはない」と言ったが、その気持ちに変化はない。ここまでの2週間は素晴らしく、自分の走りを誇りに思っている。今日までずっと運が僕に味方していた。だが今日は総合勢から遅れる不運に見舞われた。目の前で落車が起こり、僕の前輪も滑ってしまったんだ。この落車がなければ総合でトップ5以内は狙えただけに残念だよ。

でも大きな怪我がなかったのは、まだ運が向いていると言える。もちろん身体は強張っており、明日にならないとその影響のほどはわからないだろう。ルイス(メインチェス)と僕が総合トップ10目前の順位につけている。だから来るステージへの楽しみは残っているよ。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

雨を拭う新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)雨を拭う新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
今日も速かった。3級山岳越えて、80km地点の1級山岳の麓でアベレージスピードは50km/hだった。  驚きというか、またか!だよね。チームはヤン(トラトニック)を逃げに乗せたかったので、登り口で丁度、ヤン乗ってくれて集団の蓋をした。しかし、また集団はペースアップしそこで自分は遅れてしまった。チームは強くて今日もジャックとジーノは総合上位と同集団でゴールし、チーム総合も1位となった。明日からは※赤ゼッケンだね。(※チーム総合1位のチームは赤いゼッケンを着用する。)ランダのリタイアは残念だけど、ブエルタはまだ続きます。今日、お披露目の新型スクルトゥーラVどうですか?

途中リタイアしたミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)

レース序盤でメイン集団から飛び出したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)レース序盤でメイン集団から飛び出したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
この1週間、ベストから程遠い状態だった。またジロで怪我をして以降、レースを走る状態までもっていくまでに長い時間を要した。(総合優勝した)ブルゴスでは調子が良かったものの、グランツールは全く別のレースなんだ。

今日はアタックして逃げに乗ることで感覚を取り戻そうとしたが、調子が戻ってくることはなかった。次の目標に向けて切り替え、良いコンディションに戻したい。ジャック(ヘイグ)やチームメイトは強さを見せながら総合表彰台に向けて戦い続けている。その願いが叶うことを祈っている。

膝の痛みでバイクを降りたケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)

この数ヶ月間の疲労が蓄積した結果、ガソリンタンクは空っぽでエンジンライトは点滅し、開けたボンネットからは黒煙が上がっている。そして膝が悲鳴を上げているんだ。ここまでの3日間は選手ではなく、観客になっていた。休息日に回復というミラクルを期待したが、今日の1級山岳で諦めることになった。明日は家に帰って72時間ぐらい眠る予定だよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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