チームの顔であったペテル・サガン(スロバキア)が、5シーズンを過ごしたボーラ・ハンスグローエと2022年以降の契約を結ばず、2021年限りで退団することを発表した。またチームはエーススプリンターの1人でもあるパスカル・アッカーマン(ドイツ)の退団も明らかにしている。



2019年ツール・ド・フランスで自身7度目のマイヨヴェールを獲得したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)2019年ツール・ド・フランスで自身7度目のマイヨヴェールを獲得したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
「本日、自分のキャリアに一区切りをつけ、ボーラ・ハンスグローエと2022年以降の契約を結ばないことを発表する。この5シーズンを支えてくれ、苦しい時をともに乗り越え、数々の成果を挙げてきたチーム関係者に感謝する。彼らとはチームというよりもむしろ家族と呼ぶにふさわしい存在だった」と、サガンは自身のSNSとチームの公式リリースで語った。

2017年にティンコフより加入したサガンは、移籍初年度に世界選手権を優勝し3連覇を達成すると、2018年にパリ〜ルーベ優勝、2018、19年のツール・ド・フランスではマイヨヴェール(ポイント賞)を獲得し、大会最多記録を樹立した。

そんな数々の栄光をともにしたチームを離れる理由についてサガンは、「自分のマネジメントやボーラ・ハンスグローエと意見交換を行った結果、チームとの関係に一区切りをつけ、新しいキャリアをスタートさせることが最善だと判断した。変化は人生の一部であり、また成長にも繋がるプロセスだ」と説明。「ボーラ・ハンスグローエが引き続き成功を重ねていくことは明らかであり、来るシーズンでの幸運を祈っている」と締めくくった。

2019年ジロ・デ・イタリアでマリアチクラミーノを獲得したパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)2019年ジロ・デ・イタリアでマリアチクラミーノを獲得したパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
また、ボーラ・ハンスグローエはサガンに並ぶスプリントエースのパスカル・アッカーマン(ドイツ)の退団も発表。リリースの中でアッカーマンは、「このチームと素晴らしい時を過ごすことができ、若いプロ選手からのキャリアを形成してもらった。特に自分をスプリントエースとして起用してくれたことには大きな感謝を伝えたい。マリアチクラミーノを獲得した2019年のジロ・デ・イタリアやエッシュボルン・フランクフルトでの勝利は忘れることのできない思い出だ」とコメント。

「しかしプロで走れる期間は限られており、さらなる経験と継続的な成長のために、チームと道を分かつことを決めた。チーム全体に、特に僕を常に信頼してくれたチームメイトに感謝したい」と、アッカーマンは退団の理由を語った。

サガンは一時ドゥクーニンク・クイックステップへの移籍も噂されたが、現在はフランス籍のプロチームであるトタル・ディレクトエネルジーへの移籍が濃厚と見られ、アッカーマンはUAEチームエミレーツが有力視されている。

UCI(国際自転車競技連盟)が定める情報解禁日は8月1日。世界を代表するスプリンター2人の行方に注目が集まる。

text:Sotaro.Arakawa