最後の休息日を前にしたツール第15ステージ。逃げ切りで勝利を飾ったセップ・クス(ユンボ・ヴィスマ)や、2位のバルベルデ、マイヨアポワを奪還したプールスや、総合順位を落としたマルタンなどのコメントを紹介します。



ステージ1位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

アンドラでステージ優勝を飾ったセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)アンドラでステージ優勝を飾ったセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo: ASO Pauline Ballet
素晴らし過ぎて言葉がない。正直このツールは苦しみの連続で、脚にいつものようなスパイスがなかった。だが、今日のフィニッシュが僕の住むアンドラだということもあり、モチベーションも高く調子も良かったんだ。勝つことができて本当に嬉しい。それに今日は彼女とその家族が山頂付近で応援してくれていたんだ。だからいつも遠くから応援してくれているアメリカの家族にも会いたくなったよ。長いこと会えていないからね。

実はこの登りは厳し過ぎてあまり練習では使わないんだ。だけど(最終山岳の)登り始めがタフだと分かっていたので仕掛けた。ワウト(ファンアールト)が谷で先頭を引いてくれ、あんなに凄い選手がアシストしてくれたんだから、勝たなければならないと思ったんだ。

ツールを走り、そしてステージ優勝ができたなんて信じられない。とても素晴らしい気持ちだよ。もうチームには5人しか残っていないこともあり、ステージを狙いたかったんだ。だが総合ではまだヨナス(ヴィンゲゴー)がいるので、明日からは彼のサポートを務めたい。

ステージ2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

クスを単独で追いかけるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)クスを単独で追いかけるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji
2位という結果でも十分嬉しいが、勝利が欲しかった。クスのアタックは強く、15〜20秒の差をつめるのは難しかった。それに彼はベイシャリス峠や下りを熟知しており、完璧な走りだった。下りで攻めすぎていることに気づき、「勝利も大事だが、落車しないことが最優先だ」と自分に言い聞かせた。それは来るレース(五輪)のためではなく、ただ単純に落車をしたくなかっただけだ。今日のような下りは本当に危険だからね。

エンリク(マス)がまだ総合争いをしていて嬉しいよ。まだピレネーも残っているし、僕らチームは良い走りができていると思う。初日にソレルを落車で失う不運もあったが、個人的にここまでの走りに満足している。この後もチーム全体で戦い続け、何よりもファンを喜ばせたい。

ステージ3位&マイヨアポワ(山岳賞) ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)

マイヨアポワを奪取したワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)マイヨアポワを奪取したワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
再びマイヨアポを取り戻すことができ、そして表彰台でフィニッシュすることができて嬉しい。チーム総合のため、逃げ集団にチームから3人も入る理想的な展開になった。ファンアールトとポイントを争うスプリントはハードだったが、最後の山頂では勝つことができ、マイヨアポワを奪還することができた。明日は休み、山岳賞ジャージのために戦い続けるよ。

ステージ4位 ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)

今日のステージがハードかつ長くなることは分かっていた。簡単ではなかったが、なんとか逃げに乗ることができた。グルパマFDJがゴデュのために良いペースで引いていた。最後から2つ目の登りからアタックが起こり、最後の登りでステージ優勝の争いが開始した。全力で踏んだが、4位以上の結果は無理だった。この結果と自分の調子には満足している。最終週もステージ優勝を目指して頑張りたい。

ステージ6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)

ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が1級山岳エンヴァリラ峠でアタックナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が1級山岳エンヴァリラ峠でアタック photo:Makoto AYANO
集団と差をつけようと仕掛け、沿道にいるアルケア・サムシックのファンやたくさんのコロンビア人が応援してくれた。最初のカテゴリー山岳では、チームメイトのアシストを受けるライバルたちにやられてしまった。しかし標高2,000mを超えるベイシャリス峠で、ポイントを獲得するために仕掛けた。この後に待つピレネーの山岳は好きなので、今日の調子を維持できることを願っている。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のマイヨジョーヌは今日も安泰だったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のマイヨジョーヌは今日も安泰だった photo: ASO Pauline Ballet
第2週目の最終日ということもあり、とても厳しいステージになった。アタックは予期していたが、イネオスが思ったよりも早く先頭を引き始めたんだ。だが自分の調子はよく、最後の登りもライバルたちについていくだけで何の心配もなかった。

(集団で孤立しても)調子が良かったので不安はなかった。チームメイトはレース序盤から中盤にかけて僕を守ってくれたし、何よりも冷静さを失わないことが重要だった。水分補給を忘れないとかね。今日は一番暑い日だったのにもかかわらず、(予想に反して)調子が良かった。次のステージが楽しみだよ。明日の休息日はたくさん寝て回復したい。

総合3位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

フィニッシュに向かう下りをこなすヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)らフィニッシュに向かう下りをこなすヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)ら photo:Luca Bettini
孤立していたわけではない。何か問題があったら、先頭にいる2人が待ってくれる作戦だった。だから悪い状況だとは思っていなかったよ。何度か仕掛けたが、みんなの力は拮抗しているようだった。強い選手たちと走ることができて嬉しいし、まだ厳しい山岳ステージが2つ残っている。そこでベストを尽くすまでだ。

(最後の山岳は)とても速く、アタックに次ぐアタックで、ストップ&ゴーの繰り返しだった。ハードだったが、あの場にいることができて嬉しかった。これでチームのステージ2勝目だ。この後も変わらず頑張るよ。

総合9位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

総合2位から9位まで順位を下げたギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)総合2位から9位まで順位を下げたギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) photo:CorVos
昨日の走りの影響から、今日のステージで苦しむことは分かっていた。エンヴァリラ峠はとても厳しく、幸運にも向かい風が集団のペースを落としてくれたが、その時点で限界を迎えていた。下りのコースを良く把握していなかったため、集団から遅れてしまった。困難な1日となったが、ベストを尽くしたので落ち込んではいない。総合で順位を落としてしまったが、これが僕のいまの力だ。明日は休み、どれだけ回復するか見てみよう。

棄権したナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)

落車の影響もあり、もう力が残っていなかった。諦めたくなかったが、早々と遅れ、2人の選手と走りきった昨日のステージが大きく影響したみたいだ。このような形でツールを去るなんて、とても残念だよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos