JCLプロロードレースツアーの第3戦広島ロードレースが広島県三原市の広島県中央森林公園で開催された。先頭集団に最多の4人を送り込んだキナンサイクリングチームが終盤に効果的な攻撃を見せて上位を独占。優勝した新城雄大が新ツアーリーダーとなった。



広島県での2連戦で3ヶ月ぶりのツアー再開

広島県中央森林公園で開催されたJCLプロロードレースツアーの第3戦広島ロードレース広島県中央森林公園で開催されたJCLプロロードレースツアーの第3戦広島ロードレース photo:Nobumichi Komori
3月に栃木県で開催された開幕2連戦でスタートを切ったJCLプロロードレースツアー。しかし、その後は新型コロナウイルス感染拡大の影響やそれに伴う緊急事態宣言などもあり、予定されていたレースが延期に。今回、広島県で開催される2連戦でおよそ3ヶ月ぶりのツアー再開になった。

初日となる第3戦広島ロードレースは、これまでも数々の名勝負を生んできた広島県中央森林公園サイクリングコース(1周12.3km)を10周する123km。同ツアーに加盟する全9チーム、53人の選手がスタートラインに立った。

序盤に形成されたほとんどのチーム含む逃げ集団に、いきなり勝負が絞られる

2周目に9チーム中7チームの選手を含む17人の逃げ集団が形成される2周目に9チーム中7チームの選手を含む17人の逃げ集団が形成される photo:Nobumichi Komori
マイヨエスポワールを着る本多晴飛(VC福岡)を前方に合流させようとチームメートが集団先頭を引くマイヨエスポワールを着る本多晴飛(VC福岡)を前方に合流させようとチームメートが集団先頭を引く photo:Nobumichi Komori
当初の予定より10分遅れて11時35分にスタートしたレースは、直後からアタック合戦の様相。ホームレースで見せ場を作りたい中村圭佑(ヴィクトワール広島)が単騎で 受け出す場面も見られたが集団に吸収される。その後もアタックと吸収が繰り返される状況が続く。しかし、程なくすると集団から複数の選手がアタックを仕掛けて抜け出し、12人が先行する形で2周目へ。その後、追走に出た数人の選手が追いつき、最終的に17人の逃げ集団が形成された。17人の逃げ集団は以下の通り。

阿部嵩之、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
孫崎大樹、沢田桂太郎、宮崎泰史(スパークルおおいたレーシングチーム)
畑中勇介、山本元喜、新城、山本大喜(キナンサイクリングチーム)
吉岡直哉、宇賀隆貴、石原悠希(チーム右京相模原)
谷順成、西尾憲人、柴田雅之(那須ブラーゼン)
鈴木龍(レバンテフジ静岡)
桂慶浩(ヴィクトワール広島)

快調にペースを刻む先頭集団が三段坂を進む快調にペースを刻む先頭集団が三段坂を進む photo:Nobumichi Komori
出場9チーム中7チームの選手が入った17人の逃げ集団は、その面子も含めて先頭集団と言っても良い状態。一方のメイン集団は逃げに選手を送り込めなかったVC福岡が、マイヨエスポワールを着る本多晴飛のジャージを守るために先頭に立って追走するがタイム差はどんどん開いていく。序盤にして、勝負は先頭集団に絞られることになった。

数的有利を味方につけ、終盤にキナンがレース巧者の走り

その後、レースは協調してペースを刻む17人の先頭集団と、なかなかタイム差を詰めることができない後方集団という展開のまましばらくは進んでいく。この日最後の中間スプリントに設定される7周目を終える頃になると先頭集団でも動きが出始めて活性化。

キナンサイクリング4人と吉岡直哉(チーム右京相模原)、谷順成(那須ブラーゼン)の6人が抜け出すキナンサイクリング4人と吉岡直哉(チーム右京相模原)、谷順成(那須ブラーゼン)の6人が抜け出す photo:Nobumichi Komori
山本元喜(キナンサイクリングチーム)が若干先行する形でレースは最終周に入る山本元喜(キナンサイクリングチーム)が若干先行する形でレースは最終周に入る photo:Nobumichi Komori
谷順成(那須ブラーゼン)が懸命の追走を見せるが、後方にピッタリとキナンサイクリングチームの選手がつく谷順成(那須ブラーゼン)が懸命の追走を見せるが、後方にピッタリとキナンサイクリングチームの選手がつく photo:Nobumichi Komori
8周目にはキナンサイクリングチーム4選手(山本元喜、大喜、畑中、新城)と吉岡、谷という6人が先頭を形成する展開になった。圧倒的に数的有利となったキナンサイクリングチームは波状攻撃を仕掛け、最終周を前に山本元喜がアタックを仕掛けて抜け出すことに成功。その後ろで粘り強く食らいつく谷、吉岡の隙を突いて続けて新城が単独で抜け出すことに。

その後、畑中、山本大喜も谷と吉岡を退け、最初に新城と山本元喜のペア、続いて畑中と山本大喜のペアが歓喜のガッツポーズでフィニッシュ。完璧なレース運びを見せたキナンサイクリングチームが1位から4位を独占する結果でレースを終えた。

新城雄大(キナンサイクリングチーム)が3人目のJCLプロロードレースツアー勝者になった新城雄大(キナンサイクリングチーム)が3人目のJCLプロロードレースツアー勝者になった photo:Nobumichi Komori
山本大喜と畑中勇介(ともにキナンサイクリングチーム)が3位、4位でフィニッシュ山本大喜と畑中勇介(ともにキナンサイクリングチーム)が3位、4位でフィニッシュ photo:Nobumichi Komori連携がガッチリ噛み合っての勝利を喜ぶキナンサイクリングチームの選手たち連携がガッチリ噛み合っての勝利を喜ぶキナンサイクリングチームの選手たち photo:Nobumichi Komori


チームとしての完璧な勝利に、石田哲也監督は「今日は特段誰かの調子が良いという状態ではなくて数で勝負したいと思っていたので、1人でも多く前に残そうというのが最初のプランでした。そこで、残したい4人がしっかりと残ってくれたのが一番のポイントだったかなと思います」とレースを振り返る。終盤の動きに関しても「あれだけスプリンターがいる集団だったのでスプリントにはしたくないという思いがあって、その中でしっかりとふるいにかけて、やらなければいけないことを順序立ててできた結果かなと思います」とコメントした。

この結果、優勝した新城は個人ランキングとポイントランキングでトップに立ち、イエロージャージのマイヨブリヤン(総合)とグリーンジャージのマイヨラファール(ポイント賞)を獲得。また、このレースから登場した山岳ポイントトップの選手が着用するレッドジャージのマイヨフイユルージュは山本元喜が、マイヨエスポワールは宇賀が獲得。チームランキングは2勝を挙げている宇都宮ブリッツェンが首位をキープしている。

左から2位の山本元喜、優勝した新城雄大、3位の山本大喜(すべてキナンサイクリングチーム)左から2位の山本元喜、優勝した新城雄大、3位の山本大喜(すべてキナンサイクリングチーム) photo:Nobumichi Komori
優勝した新城雄大(キナンサイクリングチーム)が個人成績でもトップに立ち、マイヨブリヤンを獲得した優勝した新城雄大(キナンサイクリングチーム)が個人成績でもトップに立ち、マイヨブリヤンを獲得した photo:Nobumichi Komoriマイヨエスポワールは宇賀隆貴(チーム右京相模原)が獲得マイヨエスポワールは宇賀隆貴(チーム右京相模原)が獲得 photo:Nobumichi Komori
JCLプロロードレースツアー2021 第3戦広島トヨタ広島ロードレース 123km 結果
1位 新城雄大(キナンサイクリングチーム) 3時間5分25秒
2位 山本元喜(キナンサイクリングチーム)
3位 山本大喜(キナンサイクリングチーム) +16秒
4位 畑中勇介(キナンサイクリングチーム)
5位 吉岡直哉(チーム右京相模原) +35秒
6位 谷順成(那須ブラーゼン) +1分26秒
中間スプリント賞
沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)
孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
敢闘賞
谷順成(那須ブラーゼン)
総合成績
マイヨブリヤン(個人総合) 新城雄大(キナンサイクリングチーム)
マイヨラファール(ポイント賞) 新城雄大(キナンサイクリングチーム)
マイヨフイユルージュ(山岳賞) 山本元喜(キナンサイクリングチーム)
マイヨエスポワール(新人賞) 宇賀隆貴(チーム右京相模原)
text&photo:Nobumichi Komori