「ツールで優勝するという夢が叶った」と語るのは、ツール第12ステージを制したニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。2位のエルビティや昨日のレースを振り返るヴィンゲゴー、膝の負傷のためレースを去ったペテル・サガンなどのコメントを紹介します。



ステージ1位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)

独走でフィニッシュに飛び込むニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)独走でフィニッシュに飛び込むニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Luca Bettini
信じられない。ツール・ド・フランスのステージ優勝は夢だった。スタート前にペテル(サガン)が膝痛のためレースを去らなければならず、作戦が変わったんだ。スタート直後からは横風が吹き、大きい逃げグループができた。ここ数日は良い調子がつづいていたので、力の限りを尽くしたんだ。その結果がツールでの勝利なんて信じられない。

逃げ集団にはスプリンターや速い選手たちがいたので、レース展開を厳しくして、早い段階で仕掛ける必要があった。最初のアタックで4人に絞ることができ、監督に「ラストチャンスだから全力で行け」と言われたので、もう一度踏み込んだんだ。その結果後ろとのタイム差が20秒、30秒まで開き、1人でフィニッシュにたどり着く信じられない勝利になった。

ステージ優勝とステージ敢闘賞を獲得したニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ステージ優勝とステージ敢闘賞を獲得したニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
フィニッシュラインを越える瞬間は、ここまでの努力が実を結んだと思い嬉しかったよ。ロードレースは僕の情熱だ。だがその一方で、合宿やレースで家族と離れなければならない犠牲もあった。しかし、そのおかげで最大のレースであるツールで勝利を掴むことができたんだ。

ステージ2位 イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)

2位でフィニッシュしたイマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)2位でフィニッシュしたイマノル・エルビティ(スペイン、モビスター) photo:Makoto AYANO
悲しさと満足感の2つを同時に感じている。僕のようなアシスト選手がツールでステージ優勝を争うチャンスは滅多にない。素晴らしいステージだったが、勝利まであと一歩だったので悔しいよ。今日はエンリク(マス)を守ろうと思っていただけで、逃げに乗るつもりはなかった。13人の逃げ集団ができた後も、後ろに戻って彼をサポートしようと考えていたぐらいだ。

先頭集団が4人になり、キュングが遅れてからは全力だった。緩やかな登りを越えればスプリントで勝てると思っていた。ポリッツがアタックしてからは、どれだけ脚が残しているかの勝負だった。僕はもう限界だったし、スウェニーも同じだっただろう。勝者が最も強い者ということなので、この結果に何の文句もない。明日からは再びチームのために働くよ。そのためにここに来たし、エンリクがより良い順位が得られるよう最大限の走り続ける。

ステージ3位 ハリー・スウェニー(オーストラリア、ロット・スーダル)

ポリッツに先行を許したイマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)らポリッツに先行を許したイマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)ら photo:Luca Bettini
正直、自分がツールでステージ優勝を争っている状況が信じられなかった。ツールに出場できるとは、ましてやこのレベルで戦えるとは思っていなかった。逃げには乗れるとは思っていたが、勝利を争うこととは別の話だ。

最終局面でいくつかミスを犯してしまったかもしれないが、この結果に落ち込むことはない。最後は戦略の勝負となり、僕は少し力を使いすぎてしまったようだ。それをポリッツに見られ、有効に使われたのだろう。だが、僕はプロになったまだ6カ月しか経っていない。この3位という結果に満足しているよ。

ステージ4位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)

終盤の逃げグループから脱落したシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が4位フィニッシュ終盤の逃げグループから脱落したシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が4位フィニッシュ photo:Makoto AYANO
残り30kmでもう力が残っていなかった。おそらくみんなも同じぐらいだったと思う。集団に残りできる限りのことをしたのだが、優勝を争えるほどエネルギーが残っていなかった。途中から脚がつりはじめ、身体は疲れ切っていた。あれ以上できることはなく、自分の身体には限界があるんだと思い知らされたよ。

ステージ6位 アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)

アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)やニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を含む逃げグループアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)やニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を含む逃げグループ photo:Luca Bettini
横風の吹くとてもナーバスな序盤だった。小さな丘を全力で越え、風でプロトンが分断した。逃げ集団には強い選手が揃い、良い協調体制がとれた。キュングが早めに仕掛るとわかっていたのだが、彼についていくべきかどうかわからなかった。(元チームメイトである)ニルス(ポリッツ)の勝利は嬉しい。なぜなら彼が毎日トレインを組む姿を見ていたからね。それに彼とは良い友だちなんだ。もちろん逃げ集団でのスプリントで勝ちたかったが、そのための脚がなかった。

マイヨヴェール(ポイント賞) マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

メイン集団の先頭でフィニッシュするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)メイン集団の先頭でフィニッシュするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Luca Bettini
僕たちにとって良い逃げだった。ワールドクラスの選手であるジュリアン(アラフィリップ)が入っていたし、マイヨヴェールのライバルもいなかった。だからスタートから高速で進む、良いシナリオのステージだったよ。また1つステージを消化することができた。明日からも一日一日集中して走りたい。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

マイヨジョーヌと黄色いライオンを受け取ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)マイヨジョーヌと黄色いライオンを受け取ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji
昨日フルガスで走った割に、今日の脚の状態は良かった。明日のレースが待ち遠しいぐらいだよ。今日の序盤は横風が吹くクレイジーな展開だったけど、僕らは集団先頭で位置取ることができた。その後も先頭を引きチームメイトは消耗はしたけど、全体的には良い日になった。

昨日のレースで良い選手がたくさんいることがわかった。ピレネーが暑くなれば、僕は苦しむことになるだろう。だが走ってみないとわからないし、総合2位とのタイム差は十分にあるのでそれほど心配はしていない。

昨日のレースを振り返る総合3位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

プリモシュ(ログリッチ)を失い、頭を切り替えなければならなかった。そしていま自分の成績を追い求めることができている。毎日ベストを尽くすだけだ。

(昨日は)クレイジーだったよ。ポガチャルは世界最高の選手の1人で、その彼を相手にあんな走りができるなんて信じられなかった。それにあれは計画に則ったアタックではなく、2度目のモンヴァントゥーで思いついたものだった。彼らについていこうというのが作戦で、調子がよかったのでアタックしたんだ。今後も脚の状態次第だ。だがもし良かったらまた仕掛けるかもしれない。そうでなければ彼らについていくだけだよ。

膝痛のためレースを去ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

スタート地点でリタイアを告げるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)スタート地点でリタイアを告げるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
レースを去るのは決していい気分ではない。第3ステージの落車で痛めた膝は日に日に良くなっていったのだが、第10ステージのスプリントでハンドルバーにぶつけてしまい、腫れて曲げられなくなってしまった。スタートからフルスロットルで進むこのステージを走るのは、難しいと判断した。休んで回復する以外、何もできることはない。とても悲しいし、特にウィルコ・ケルデルマンを横風から守らなければならない今日のステージで力になれないのは残念だ。しっかりと休み、回復を願いながならオリンピックのために準備を進めるよ。

text:Sotaro.Arakawa

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