ツール・ド・フランスの第2ステージで勝利を掴み、マイヨジョーヌをアルプス初日まで着続けたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のAEROAD CFRをピックアップしよう。



マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のAEROAD CFRマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のAEROAD CFR photo:Makoto AYANO
シクロクロス世界王者でありながら、MTBクロスカントリー、そしてロードレースとマルチに活躍するスーパースター、MvdPことマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)。第2ステージで祖父の故レイモン・プリドール氏の悲願であったマイヨジョーヌを獲得し、そのドラマティックかつ力強い走りでツールを序盤戦を盛り上げた。

そんなファンデルプールが駆るのはキャニオンのAEROAD CFR。昨年の10月にデビューしたばかりの最新バイクであり、アルペシン・フェニックスのメインバイクでもあるエアロロードだ。

第1、第2ステージで使用したブルーのバイク。ホイールには山岳ステージ用の新型モデルが装着されている第1、第2ステージで使用したブルーのバイク。ホイールには山岳ステージ用の新型モデルが装着されている photo:Makoto AYANO
ル・サミン以来となるケーブルフル内装のコックピット。分割式ではないシンプルな仕様だと思われるル・サミン以来となるケーブルフル内装のコックピット。分割式ではないシンプルな仕様だと思われる photo:Makoto AYANO
画期的な分割式ハンドルを採用することで注目を集めたAEROAD CFRだが、3月に行われたセミクラシックレース、ル・サミンの最終盤でハンドルが折れるというアクシデントが発生。キャニオンはトラブルの起きたCP0018エアロハンドルの使用を停止し、ケーブル外装仕様に改造したAEROAD CFRをサポートチームに供給してきた。

しかし、今ツールでキャニオンは新たなステム一体型エアロハンドルをファンデルプールを含めたエース級選手に用意して最終テストを行った。キャニオンによれば分割式はそのまま継続され、ドロップ部分を再設計して安全性を担保しているという。AEROAD CFRはフル内装仕様のエアロバイクとして理想的な性能を取り戻した。

第2ステージにおいてボーナスポイントを利用したクレバーかつ力強い走りを見せ、マイヨジョーヌをアラフィリップから奪取したファンデルプール。それまではシーズン序盤から使っている水色のバイクに乗っていたが、翌第3ステージで黄色にペイントされたスペシャルバイクに跨り、ヘルメットやアイウェアまでイエローで揃えてきた姿からは、マイヨジョーヌ獲得の確信があったことが窺える。

アルプスを登るマチュー・ファンデルプール この日はC60ではなく新型と思しきホイールを使用していたアルプスを登るマチュー・ファンデルプール この日はC60ではなく新型と思しきホイールを使用していた photo:Makoto AYANO
コンポーネントはシマノの電動DURA-ACEで、ブレーキローターはMTB用であるXTRグレードのRT-MT900を組み合わせるという、プロトンの中でもスタンダードとなってきた仕様。ホイールもシマノのWH-R9170-C60-TUを主に使用しており、第7ステージでの3分35秒のタイム差をつける大逃げの際にもその走りを支えてきた。一方、山岳ステージでは昨年からプロトンで見かける50mmハイトのプロトモデルを使用していた。パワーメーターもシマノ純正モデルを使用しており、足回りを含めたドライブトレインは手堅い構成となっている。

タイヤには定評あるヴィットリアのCORSAを使用、サドルはセッレイタリアのロングセラーモデルのショートノーズバージョンであるFLITE BOOST。バーテープもセッレイタリアで揃えられている。サイクルコンピューターはワフーのELEMNT BOLT、ボトルケージはエリートのVICO CARBONだ。

text:Naoki Yasuoka
photo:Makoto AYANO