白地に赤い水玉模様のマイヨアポワをかけたクライマーのバトル。2020年ツールはポガチャルが総合優勝と共に獲得した山岳賞の栄冠を、今年は誰が掴み取るのか。ポイントシステムと有力選手を紹介します。



水玉ジャージで走るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)水玉ジャージで走るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto.AYANO
プロトンの中でも一際目立つマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)は山岳最強クライマーの証。山岳賞が始まったのは1933年だが、特徴的な白地に赤の水玉模様が採用されたのは1975年のことで、ジャージスポンサーはフランスの大手スーパーチェーンのルクレール社から、2年振りに同じく大手スーパーチェーンのカルフールに戻ってきた。

カテゴリー山岳に到達した順に加算されるポイントで争われる山岳賞だが、4級山岳をトップ通過してもわずか1ポイントしか得られないため、1級や超級山岳でいかにポイントを積み重ねるかが重要になってくる。特に今年のツールは超級山岳の2倍のポイントが獲得できる山岳が3つ(第11、17、18ステージ)が設定されているため、昨年以上に総合上位の選手たちが山岳賞争いに絡んでくるだろう。


カテゴリー山岳のポイント配分
モンヴァントゥー(2度目の登坂)、サンラリ=スラン/ポルテ峠、リュズ・アルディダン
 40pts, 30pts, 24pts, 20pts, 16pts, 12pts, 8pts, 4pts
超級山岳
 20pts, 15pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
1級山岳
 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳
 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
3級山岳
 2pts, 1pt
4級山岳
 1pt


総合優勝者か、それともピュアクライマーか

第17ステージに登場する超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠第17ステージに登場する超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠 photo:Kei Tsuji
例年であれば総合争いから脱落したオールラウンダーや、その山岳アシストたちが狙いを変えることが多いマイヨアポワだが、2020年ツールは総合優勝者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がマイヨアポワを獲得。2015年のクリストファー・フルーム(イギリス、当時チームスカイ)以来となるこの事態に、山岳ポイントを順調に加算していたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が第20ステージの個人タイムトライアルで優勝したポガチャルに逆転され辛酸を嘗めた。

今年はポイントが2倍の超級山岳が3度登場することから、再びポガチャルやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)といった総合優勝を争う選手が、そのまま山岳賞を獲得することが濃厚と見られる。

過去に受賞した選手では、2017年のワレン・バルギル(フランス、チーム アルケア・サムシック)と2018年のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がともに出場。バルギルの第一使命はナイロ・キンタナ(コロンビア)のアシストだが、展開によっては自由な動きが許されるかもしれず、アラフィリップは大会前半にマイヨジョーヌを狙い、本格的な山岳ステージに入る後半からマイヨアポワに目標を切り替えることも考えられる。

2020年ツールは第20ステージでマイヨアポワを手放したリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)2020年ツールは第20ステージでマイヨアポワを手放したリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:Kei Tsuji
ステージ狙いを宣言したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)ステージ狙いを宣言したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) (c)Josef Vaishar/Vitesseジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Makoto AYANO

有力なクライマーの中で総合順位ではなくステージ優勝狙いを宣言しているサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)も候補の1人だ。総合3位に入ったジロ・デ・イタリアからの連戦で、チームの総合エースであるルーカス・ハミルトン(オーストラリア)のアシスト業務をしながら、自身の勝利を目指し山岳ポイントを量産するかもしれない。

またセカンドエースと見られるエスデバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)やエンリク・マス(スペイン、モビスター)といったピュアクライマーの他、「逃げ屋」のトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)も山岳賞に参戦しても不思議ではない。
歴代のマイヨアポワ受賞者
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
2019年 ロマン・バルデ(フランス)
2018年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファウ・マイカ(ポーランド)
2015年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2014年 ラファウ・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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