2010年6月13日、ツール・ド・スイス(UCIプロツアー)第2ステージが行なわれ、ゴール15km手前の3級山岳で生き残った集団によるスプリントでハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)が勝利。ツール・ド・フランスに向け、怪我からの復活を高らかに宣言した。

1級山岳シンプロン峠を上る逃げグループの選手たち1級山岳シンプロン峠を上る逃げグループの選手たち photo:Cor Vos第2ステージはイタリア国内を通過後、中盤に1級山岳シンプロン峠(標高2005m)を越える。そこから長い平坦区間を経てゴール地点を一度通過し、ゴール13km手前で標高差170mほどの3級山岳をクリア。この最後の3級山岳が勝負の鍵を握った。

レース序盤から逃げを試みたのはマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)、ヨースト・ファンレイエン(オランダ、ヴァカンソレイユ)、アイトール・エルナンデス(スペイン、エウスカルテル)、マティアス・ルス(ドイツ、チームミルラム)、パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)の5名。

サクソバンクが牽引するメイン集団が1級山岳シンプロン峠を進むサクソバンクが牽引するメイン集団が1級山岳シンプロン峠を進む photo:Cor Vosリーダージャージ擁するサクソバンクがコントロールするメイン集団に対し、逃げグループは最大7分のリード。1級山岳シンプロン峠通過時点でタイム差5分。このシンプロン峠の下りで強い雨が降り始め、選手たちは慎重にこのハイスピードダウンヒルをこなした。

やがて雨が止み、晴れ間の覗くスイス南部の平坦区間でチームHTC・コロンビアが集団コントロール開始。逃げグループとのタイム差を徐々に詰め、ゴール地点通過時点(ラスト24km地点)でタイム差は2分30秒に。逃げグループも、メイン集団も、ハイスピードのまま3級山岳に突入した。

スプリントを繰り広げるハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)、パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)、マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)スプリントを繰り広げるハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)、パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)、マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ) photo:Cor Vos勾配のあるこの3級山岳で先頭はブラットとフランクに絞られ、メイン集団からはBMCレーシングチームやヴァカンソレイユが立て続けにアタック。このペースアップによって集団からはスプリンターたちが脱落した。

脱落したのはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)やトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)、そしてアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)。総合優勝候補のマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)や、総合4位につけていたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)も集団から姿を消した。

スプリントを繰り広げるハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)、パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)、マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)スプリントを繰り広げるハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)、パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)、マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ) photo:Cor Vos先頭では3級山岳の下りでブラット&フランクにルスが合流し、70名ほどに縮小したメイン集団から50秒のリードを得たままラスト10km。しかしサクソバンクとラボバンクのダブル銀行チームの猛烈な集団牽引によってタイム差は縮まり、ゴールまで2kmを残して逃げは全て吸収。集団スプリントに持ち込まれた。

集団先頭を完全に牛耳るようなチームは現れず、混戦のまま残り200mでマルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)が発射。これにパブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)が対抗し、遅れてハウッスラーも参戦する。有力候補のオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)は集団内部で進路を塞がれてしまった。

ステージ優勝を飾ったハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)ステージ優勝を飾ったハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム) photo:Cor Vos先行したマルカートとウルタスンをゴール寸前で抜き去り、バイクを投げ込んで先着したのはハウッスラー。10分以上遅れたエーススプリンターのトル・フースホフト(ノルウェー)の代役を勤め上げ、大きな勝利を掴んだ。

昨年ミラノ〜サンレモ2位、ロンド・ファン・フラーンデレン2位、ツール・ド・フランスステージ優勝という好成績を残したハウッスラーは、今シーズン膝の故障によって春のクラシックシーズンを棒に振った。5月にレース復帰したが、早速ツアー・オブ・カリフォルニアで落車リタイア。飲酒運転で警察沙汰にもなった。

リーダージャージを守ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)リーダージャージを守ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) photo:Cor Vos久々の勝利を飾ったハウッスラーは、サーヴェロ・テストチーム公式サイトの中で「この勝利は最高に嬉しい。(膝の故障後)ずっとトレーニングして来たのに、カリフォルニアではリタイア。それでも諦めずにトレーニングを続けたおかげで、今はツールに向けて準備万端な状態だ。僕にとって2010年シーズンは今始まったばかり。ツールに向けて自信を与えてくれる勝利になったよ」と喜びを語っている。

有力スプリンターたちを振るい落とした3級山岳、そしてゴール前の展開についてハウッスラーは「最後の山岳があれほど厳しいとは誰も想像していなかった。クライマーたちが次々にアタックする展開で、集団は縮小。周りを見渡してもチームメイトが一人もおらず、そこから自分一人でポジション争いに加わった。ラスト200mが上り基調になると事前に知っていたけど、向かい風だったから飛び出すタイミングを待ち続けたんだ」とコメント。ハウッスラーは今シーズン初勝利。昨年ステージ優勝を飾ったツールでもう一暴れしれくれそうだ。

総合リーダージャージはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がキープ。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)が1秒遅れ、トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が3秒遅れで追う展開に変更無し。3級山岳でマルティンがアタックするシーンも見られたが、カンチェラーラ率いるサクソバンク勢がすかさず捕まえた。

翌第3ステージもレース中盤に1級山岳が登場。終盤にかけて3級山岳を含むアップダウンの連続で、スプリンターたちは再び手を焼くことになりそう。アタッカーにもチャンスがあるだろう。

選手コメントは各チーム公式サイトより。

ツール・ド・スイス2010第2ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)4h25'16"
2位 パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
4位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
5位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
7位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、フットオン・セルヴェット)
8位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)
9位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
10位 カルロス・バレード(スペイン、クイックステップ)

個人総合成績
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)     4h35'37"
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)          +01"
3位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)       +03"
4位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)      +10"
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)   +11"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)     +12"
7位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)      +13"
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)
9位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル)      +14"
10位 マティアス・ルス(ドイツ、チームミルラム)          +15"

スプリント賞
マティアス・ルス(ドイツ、チームミルラム)

山岳賞
マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)

ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)

チーム総合成績
リクイガス

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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