クラッシュ発生の最終日にへイター2勝目　ロペスが総合優勝で弾み

勝つはずだったインピーとスタナードが落車で沈み、イーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）が今大会2勝目を獲得。危なげない走りでミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、モビスター）が総合優勝を掴んだ。

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最後の3級山岳でペースアップするメイン集団 photo:CorVos
5日間に渡り続いたルタ・デル・ソル（太陽のレース）ことブエルタ・ア・アンダルシア（UCI2.Pro）も最終日。アンダルシアの沿岸部を走るコースは平坦かつ107kmという一見イージーモードだが、フィニッシュ前5kmで頂上を迎える3級山岳（登坂距離3.4km）がミソ。ここでのペースアップによって、予想を遥かに下回る小集団勝負に持ち込まれることとなった。

この日エスケープしたのはアンデル・オカミカ（スペイン、ブルゴスBH）を含む3名。前日勝者アンドレ・グライペル（ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション）や、総合優勝にあと一歩まで迫ったミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア）率いるモビスターがメイン集団のコントロールを担当した。

終始平穏に進んでいたレースが動いたのはやはり最後の3級山岳。逃げメンバーを飲み込むと、イネオス・グレナディアーズ勢の猛チャージによって集団は一列棒状からの木っ端微塵に崩壊してしまう。集団に生き残って頂上を超えたのはロペスやイーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）を含む僅か13名だけだった。

3級山岳でペースアップする集団前方に位置取るミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、モビスター） photo:CorVos
イーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）が先頭でフィニッシュラインを越える photo:CorVos
へイターを引き連れたカルロス・ロドリゲス（スペイン、イネオス・グレナディアーズ）のリードアウトで最終コーナーをクリアし、後続の状況を確認しながらへイターがスプリント。その左側からダリル・インピー（南アフリカ、イスラエル・スタートアップネイション）とロバート・スタナード（オーストラリア、バイクエクスチェンジ）が追い抜きに掛かったものの、下を向いてスプリントしていたインピーがスタナードの進路へ。両者が激しく接触、転倒する中、へイターが手を挙げることなくフィニッシュラインを越えた。

へイターがステージ優勝を挙げ、地面に転がる2人を避けたロペスが総合優勝を決める。幸いスタナードとインピーは幸い重傷を免れ、元チームメイトのインピーに激しく詰め寄ったスタナードも含め、互いに「クラッシュは我々の競技につきものであり、誰が悪いというわけでもない」との声明を出している。

総合表彰台。ミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、モビスター）が優勝を決めた photo:CorVos
「僕たちのチームカラーを示し、このアンダルシアで何かを掴むべく意気込んでレースに臨んだ。先のロマンディで自信を得ていたし、その後のマヨルカでも調子良く走ることができた。今日大きな目標に到達できたので本当に良かった」と語るのは、昨年ジロ・デ・イタリア初日の個人タイムトライアルでの落車でシーズンを終え、コロンビア帰国後に新型コロナウイルスに掛かるなど不運続きだったロペス。約7ヶ月に渡るレース未出走期間を経て、ツール・ド・フランスに向けての弾みをつけた。

「この後はツール前の大きな目標であるドーフィネに向けてフランスに渡る。きっと家で見守ってくれた妻と子供たちにこの勝利を捧げたい。彼らが僕のレースを楽しんでくれたことを願っているよ」と加えている。