2021/05/09(日) - 07:24
2021年5月8日、第104回ジロ・デ・イタリアがかつての首都トリノで開幕。初日の8.6km個人タイムトライアルを制したのは世界チャンピオンジャージを着るフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)だった。地元ピエモンテ出身者のガンナが歴代3位の58.748km/hという猛烈なスピードで2年連続マリアローザを射止めている。
5月8日(土)第1ステージ
トリノ〜トリノ 8.6km(個人TT)★★
今から160年前にイタリア王国が統一された当時の首都トリノで、第104回ジロ・デ・イタリアが開幕した。登場から90周年を迎えるマリアローザの最初の着用者を決めるのはトリノ市内を走る8.6kmの個人タイムトライアル。市街地を走るテクニカルかつパワーを要求するコースを184名の選手たちが駆け抜けた。
空は曇り時々晴れ、気温19度、緩い北東の風が吹く穏やかなコンディション。トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)やレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったTTスペシャリストたちを退け、1時間近くホットシートに座り続けたのは117番手スタートのエドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)。しかし、174番手スタートのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が前半からアッフィニを上回る走りを披露した。
3.8km地点の中間計測ポイントでアッフィニのタイムを1秒74更新したガンナ。ファンに手を振る余裕も見せながら、乗り慣れたTTバイクを倒してコーナーをギリギリ目一杯攻め、直線区間を大きな馬力で踏んでいく。ラスト2kmを平均出力590W、平均スピード60.7km/hで駆け抜けたガンナがアッフィニのタイムを9秒98(リザルト上は10秒)更新。2年連続ジロ開幕個人TT制覇を果たした。
ガンナの平均スピードは58.748km/h。これは、2001年にリック・フェルブリュッヘ(ベルギー)がフラットな7.6kmコースで行われたプロローグでの平均スピード58.874km/h(グランツール歴代最速記録)と、自身が1年前の下り基調開幕個人TTで記録した平均スピード58.831km/hに次ぐ歴代3位の記録である。
キャリア14勝目(そのうち個人TTでの勝利は12回)を飾ったガンナが2年連続でマリアローザを手にした。今シーズン、ガンナはエトワール・ド・べセージュとUAEツアーの個人TTでステージ優勝したものの、ティレーノ〜アドリアティコとツール・ド・ロマンディでは精彩を欠いて3連続個人TT敗退。印象的な走りを見せることができていないでいた。
「調子が悪くて勝負に絡めないんじゃないかという声があったのも事実。もしツール・ド・ロマンディの前にジムでのワークアウトとトラックでのトレーニングを行なっていなければ、(ロマンディの)個人TTで勝てていたと思う。でも金メダル獲得を目標にしている東京五輪の個人TTと団体追い抜きを含め、合計60〜70レースをこなすシーズンの中で、常に勝ち続けるのは不可能なんだ」とコンディショニングの難しさを打ち明ける。
『トップガンナ』のニックネームに恥じない走りを見せたガンナは「これは残された20ステージに向けてのモチベーションにつながる勝利であり、明日からは偉大なキャプテンたちのために働きたい。今年のマリアローザは昨年よりもずっと鮮やかに見える」とコメント。総合1位に立ったことにより、イネオス・グレナディアーズはチームカーのポールポジション(最前列)を得ている。
身長193cmのガンナと身長192cmのアッフィニというイタリアを代表するTTスペシャリストはともに1996年生まれの24歳。ステージ3位に入った元ツール・ド・ラヴニール総合優勝者フォスは23歳で、2020年と同様にトップ3がマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)対象選手という結果に。これに続いたのが、2020年ジロで15日間マリアローザを着るとともに総合4位に入ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。
アルメイダは、9分20秒〜30秒のタイムで初日を終えたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)やエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)をはじめとする他のマリアローザ候補たちから20秒程度のリードを得ている。他にも、8ヶ月ぶりのレース出場で、グランツール初挑戦のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)がステージ7位に。マリアローザ候補としてはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)が好走してステージ11位に入っている。
ステージ97位の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)を含めてこの日は184名の選手たちが怪我を負うことなくフィニッシュしているが、レース後にホテルまで自走で戻る際に落車したクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・スタートアップネイション)が鎖骨を骨折。ステージ108位と出遅れていたダニエル・マーティン(アイルランド)は貴重な山岳アシストを思わぬ形で失う結果となった。
5月8日(土)第1ステージ
トリノ〜トリノ 8.6km(個人TT)★★
今から160年前にイタリア王国が統一された当時の首都トリノで、第104回ジロ・デ・イタリアが開幕した。登場から90周年を迎えるマリアローザの最初の着用者を決めるのはトリノ市内を走る8.6kmの個人タイムトライアル。市街地を走るテクニカルかつパワーを要求するコースを184名の選手たちが駆け抜けた。
空は曇り時々晴れ、気温19度、緩い北東の風が吹く穏やかなコンディション。トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)やレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったTTスペシャリストたちを退け、1時間近くホットシートに座り続けたのは117番手スタートのエドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)。しかし、174番手スタートのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が前半からアッフィニを上回る走りを披露した。
3.8km地点の中間計測ポイントでアッフィニのタイムを1秒74更新したガンナ。ファンに手を振る余裕も見せながら、乗り慣れたTTバイクを倒してコーナーをギリギリ目一杯攻め、直線区間を大きな馬力で踏んでいく。ラスト2kmを平均出力590W、平均スピード60.7km/hで駆け抜けたガンナがアッフィニのタイムを9秒98(リザルト上は10秒)更新。2年連続ジロ開幕個人TT制覇を果たした。
ガンナの平均スピードは58.748km/h。これは、2001年にリック・フェルブリュッヘ(ベルギー)がフラットな7.6kmコースで行われたプロローグでの平均スピード58.874km/h(グランツール歴代最速記録)と、自身が1年前の下り基調開幕個人TTで記録した平均スピード58.831km/hに次ぐ歴代3位の記録である。
キャリア14勝目(そのうち個人TTでの勝利は12回)を飾ったガンナが2年連続でマリアローザを手にした。今シーズン、ガンナはエトワール・ド・べセージュとUAEツアーの個人TTでステージ優勝したものの、ティレーノ〜アドリアティコとツール・ド・ロマンディでは精彩を欠いて3連続個人TT敗退。印象的な走りを見せることができていないでいた。
「調子が悪くて勝負に絡めないんじゃないかという声があったのも事実。もしツール・ド・ロマンディの前にジムでのワークアウトとトラックでのトレーニングを行なっていなければ、(ロマンディの)個人TTで勝てていたと思う。でも金メダル獲得を目標にしている東京五輪の個人TTと団体追い抜きを含め、合計60〜70レースをこなすシーズンの中で、常に勝ち続けるのは不可能なんだ」とコンディショニングの難しさを打ち明ける。
『トップガンナ』のニックネームに恥じない走りを見せたガンナは「これは残された20ステージに向けてのモチベーションにつながる勝利であり、明日からは偉大なキャプテンたちのために働きたい。今年のマリアローザは昨年よりもずっと鮮やかに見える」とコメント。総合1位に立ったことにより、イネオス・グレナディアーズはチームカーのポールポジション(最前列)を得ている。
身長193cmのガンナと身長192cmのアッフィニというイタリアを代表するTTスペシャリストはともに1996年生まれの24歳。ステージ3位に入った元ツール・ド・ラヴニール総合優勝者フォスは23歳で、2020年と同様にトップ3がマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)対象選手という結果に。これに続いたのが、2020年ジロで15日間マリアローザを着るとともに総合4位に入ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。
アルメイダは、9分20秒〜30秒のタイムで初日を終えたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)やエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)をはじめとする他のマリアローザ候補たちから20秒程度のリードを得ている。他にも、8ヶ月ぶりのレース出場で、グランツール初挑戦のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)がステージ7位に。マリアローザ候補としてはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)が好走してステージ11位に入っている。
ステージ97位の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)を含めてこの日は184名の選手たちが怪我を負うことなくフィニッシュしているが、レース後にホテルまで自走で戻る際に落車したクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・スタートアップネイション)が鎖骨を骨折。ステージ108位と出遅れていたダニエル・マーティン(アイルランド)は貴重な山岳アシストを思わぬ形で失う結果となった。
ジロ・デ・イタリア2021第1ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:08:47 |
2位 | エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:10 |
3位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:13 |
4位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:17 |
5位 | レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:18 |
6位 | ヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
7位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:19 |
8位 | マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、キュベカ・アソス) | |
9位 | マティアス・ブランドル(オーストリア、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:00:22 |
10位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:23 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 15pts |
2位 | エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ) | 12pts |
3位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 9pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
設定なし |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:08:47 |
2位 | エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:10 |
3位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:13 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:27:02 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | 0:00:09 |
3位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:00:13 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp