UCI(国際自転車競技連合)がリリースを発表し、4月1日よりトップチューブに乗るスーパータック(クラウチング)や、集団走行時にボトルを捨てる行為などを危険行為として禁止する決定をした。またフェンス設置に関しても基準が設けられる。



"スーパータック"ポジションが禁止に photo:Tim de Waele
「UCI運営委員会は、道路や集団内でボトルを投げる(後続選手に危険が及ぶ可能性がある)行為や、自転車の上で危険な姿勢(特にトップチューブの上に座る行為)など、選手による危険行為について規定を強化することを決定しました」

UCIは2月5日、発表したレースの安全性向上に関する施策をまとめたリリースを発表した。

その中でも注目されるのが、下りで空気抵抗を減らすためにトップチューブに乗るスーパータック(クラウチングポジション)の禁止について。これはクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が2016年のツール・ド・フランス第8ステージで逃げ切り勝利した際に披露し、それ以来プロ選手を中心に普及した走法だ。

しかし、このUCIの決定に対し多くの選手がSNS上で反対意見を投稿。現在エトワール・ド・ベッセージュに出場中のミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)は、「今日のレースの路上に浮かんでいた油など、UCIには本当のリスクが何であるかを考えてほしい。落車の原因が僕らにあると責めないでほしい。(スーパータックを禁止する以外にも)安全性を高める方法や、主催者がするべきことはたくさんある」と批判している。

観客にボトルを投げるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)観客にボトルを投げるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
これら危険行為へのペナルティは2021年4月1日から施行され、その他にも昨年のジロ・デ・イタリアでゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車した原因にもなった集団走行中にボトルを捨てる行為も、予め定められた区間以外では禁止となった。

また同リリースでは、フィニッシュ付近に設置されるフェンスについてUCIがレース主催者と協議し、専門家とともにフェンスの重りや位置などに関して基準を設け、規則化すると説明。2022年シーズンより導入される。

集団スプリントが想定されるフィニッシュ付近の安全性については、昨年8月5日のツール・ド・ポローニュ開幕初日にファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が斜行したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)と接触し、一時は人工的昏睡状態に置かれる怪我を負う事故以来、UCIに対するフェンス設置等のルール化が期待されていた。

text:Sotaro.Arakawa

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