雨に濡れた重い砂浜で繰り広げられた戦い。シクロクロス世界選手権の第一レース、男子U23でピム・ロンハールがオランダに今大会1つ目の金メダルをもたらした。



第一コーナーに殺到するU23の選手たち第一コーナーに殺到するU23の選手たち photo:Nobuhiko Tanabe
ベルギー最西端に位置する海沿いの街、オステンドにてシクロクロス世界選手権が開幕した。2日間用意された試走日と異なり、U23レースと女子エリートレースが行われる土曜日の天気は雨。たっぷり水分を含んだ砂浜は深いままに重さを増し、選手たちのライン取りとパワー、そしてランニング力を問うた。

スタート直後から、レースの主導権を握ったのはオランダとベルギーだった。両国がそれぞれ複数人を先頭グループに送り込みむ中、唯一対抗した優勝候補の一人トーマス・メイン(イギリス)はフライオーバーの階段で足を滑らせて転倒。ベン・ターナー(イギリス)も徐々に遅れ、2周目にはオランダ4名、ベルギー5名がレース先頭に立った。

向かい風の砂浜区間。ベルギーとオランダが隊列を組んで進む向かい風の砂浜区間。ベルギーとオランダが隊列を組んで進む photo:Nobuhiko Tanabe
雨で湿った重たい砂を駆け抜ける雨で湿った重たい砂を駆け抜ける photo:Nobuhiko Tanabe先頭でサンドセクションを駆けるピム・ロンハール(オランダ)先頭でサンドセクションを駆けるピム・ロンハール(オランダ) photo:Nobuhiko Tanabe

締まった砂のラインを探して走る選手たち締まった砂のラインを探して走る選手たち photo:Nobuhiko Tanabe
実力が拮抗した2カ国は、吹き晒しの向かい風区間で他国を置き去りにしながらハイペースを維持したまま突き進む。その均衡が崩れたのは3周目。元ジュニア欧州王者のピム・ロンハール(オランダ)がするすると抜け出し、数秒リードで独走体制に持ち込んだ。

「アタックしたわけではなく、自分のペースで走っていたら5,6秒開いた」と言うロンハールが、ファステストラップを叩き出して快走。追走グループを組んだベルギーの二人、ティモ・キーリッヒとトーン・ファンデボシュとの差は徐々に、しかし確実に拡大していった。

砂と泥、そして滑りやすい階段と、ワンミスが命取りになるテクニカルコースでU23カテゴリー2年目、19歳のキーリッヒが独走を守り抜き、勝利。世界選手権初日の第一レースで、早くもオランダに一枚目のアルカンシエルをもたらした。

アルカンシエルを目指し独走するピム・ロンハール(オランダ)アルカンシエルを目指し独走するピム・ロンハール(オランダ) photo:Nobuhiko Tanabe
2周回半を独走したピム・ロンハール(オランダ)が優勝2周回半を独走したピム・ロンハール(オランダ)が優勝 photo:Nobuhiko Tanabe
「アメージングだ。2周目までは6,7人が入り乱れて走る混沌とした状況だったけれど、自分自身今日は脚があると感じていた。急勾配のフライオーバーを越えて砂区間に入るときは毎週1,2番手で入れていたんだ。芝生区間ではイージーに、砂区間ではパワーをかけて走っていたよ」と、自身初のアルカンシエルを射止めたロンハールはレースを振り返っている。

2番手グループには全5周回中の4周目にライアン・カンプ(オランダ)が追いつき、最終周回後半にベルギー勢を置き去りに。追走に力を使っていたベルギーの2人は、オランダのワンツー体制構築を防ぐことができなかった。

2位カンプ、1位ロンハール、3位キーリッヒ2位カンプ、1位ロンハール、3位キーリッヒ photo:Nobuhiko Tanabe
ロンハールとカンプが表彰台の上位2ポジションを獲得し、食い下がったキーリッヒが3位となってベルギーにメダルを確保。以降オランダ、ベルギー勢が続々とフィニッシュし、他国勢最上位はベン・ターナー(イギリス)の9位だった。
シクロクロス世界選手権2021 男子U23結果

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