国内ロードレースの新リーグが始動する。地域創生をキーワードにした「ジャパンサイクルリーグ」に宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、ヴィクトワール広島、レバンテ静岡、VC福岡、さいたまディレーブ、右京、キナンなど地域密着型の計9チームが参戦することが発表された。



2021シーズンより国内に新たなサイクルロードレースリーグがスタートする。地域密着型チームが中心となって構成する新リーグは「ジャパンサイクルリーグ(略称JCL)」と名付けられ、地域創生をキーワードにサイクルロードレースで地域活性化を進めるという。主な加盟チームはホームタウンを持つ地域密着型チームを中心に、UCI加盟の国内コンチネンタルチームで構成される。

地域密着型9チームが参戦する「ジャパンサイクルリーグ」地域密着型9チームが参戦する「ジャパンサイクルリーグ」
ジャパンサイクルリーグ  ロゴジャパンサイクルリーグ ロゴ 加盟が発表されたチームは宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、ヴィクトワール広島、レバンテ静岡、VC福岡、さいたまディレーブ、チーム右京、キナンサイクリングチーム、そして九州に来季誕生する新チームの合計9チーム。いずれも地域密着型の活動が特色のチームだ。新リーグではそれらホームチーム、自治体、JCLの3者連携によって全国各地に魅力あるサイクルロードレース開催を目指すという。

「ジャパンサイクルリーグ」の運営会社は東京都に拠点を置く「株式会社ジャパンサイクルリーグ」。チェアマンは片山右京氏、代表取締役社長は廣瀬佳正氏がつとめる。同社は事業内容として「国際ロードレースチーム運営」「プロサイクルロードレースリーグ運営」「バンクリーグ企画運営」「バーチャルレース企画運営」「市民レース企画運営」を挙げている。以下、資料より。

JCLチェアマン 片山右京氏のメッセージ

ジャパンサイクルリーグは、「自転車を通じた地方活性化促進」を合言葉に 2021年3月JCLロードレースリーグを設立いたします。 リーグは加盟プロチームのもと「ホームタウン制」を取りリーグ・チーム・ 地域が密着して活動し、自転車を通じた地域活性化を促進いたします。「日本のロードレースを変える、世界へ挑戦する」を最大ミッションとし日 本ロードレース界の発展のため、プロ選手、プロ的興行を作り上げ、世界へ 挑戦しうる環境を作り上げて参ります。 日本ロードレース界の発展に寄与して参りますので、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますように、宜しくお願い申し上げます。

片山右京氏片山右京氏 photo:Satoru Kato廣瀬佳正氏(写真は2019年JBCFカンファレンスより)廣瀬佳正氏(写真は2019年JBCFカンファレンスより) photo:Satoru Kato


加盟チーム 代表コメント 

TEAM UKYO相模原 ゼネラルマネージャー 桑原忠彦氏

この度、Team UKYOは来年から初めて発足された日本の最高峰のロードレースリーグJCLに参戦することに決めました。2012年のチーム発足以来Team UKYOは国内外のUCIレースや日本国内の実業団レースで戦ってきました。 2021年からはJCLという質の高いレベルのレースが開催されることによって世界で通用する選手が多く生まれることを期待しており ます。 チームも来期からは地元地域と連携して自転車、ロードレースの魅力を伝えて社会に貢献できるように幅広く活動していきます。皆様からの温かい応援を宜しくお願い致します。

宇都宮ブリッツェン サイクルスポーツマネージメント株式会社代表取締役社長 柿沼章氏

宇都宮ブリッツェンはチーム設立当初より日本ロードレース界の発展を常に意識しながら活動をして参りました。 日本ロードレースに携わってくださる皆様への感謝と共に、新たなステージへの飛躍は必然と考えております。 ロードレースの魅力と可能性を更に社会に認めて頂く為にも、宇都宮ブリッツェンはJCLと共に活動して参ります。JCL理念にある “世界基準”と“地域というワードの通り、私たち宇都宮ブリッツェンも地域の夢の対象となり、そして世界基準を目指していきます。

那須ブラーゼン NASPO株式会社 代表取締役社長 若杉厚仁氏

地域密着型という形式で運用されている我々の成り立ちを考えると、プロリーグの発足と船出は待望でした。 プロスポーツチームとして、ファン・スポンサー・サプライヤー関係各所から多くの支持を得て、その支持が地域の活性にまで波 及することが地域密着型チームの果たす役割であり、この役割を全うするためには、リーグという“大きな傘”が必要です。その傘を支える骨組みはまさに各チームが担うこととなります。那須ブラーゼンはこの骨組みを担い、大きな傘を広げて、JCLと共に前進していきたいと考えています。

さいたまディレーブ 株式会社オリエンタルスポーツ代表取締役 長沼隆行氏

今回、新リーグの発足にあたり、JCLの考えるプロスポーツチームが地域密着であることの意味や意義、理念等を深く感 じ取り、同じ方向を向き大きな夢を目指していけると思い、さいたまディレーブは参入させて頂く運びとなりました。今 後日本において自転車文化を更に幅広く分布させていくために、レース活動は勿論の事、地域密着型チームが出来る事、魅せれる事などを更に深く試行錯誤しながら、JCLと共にしっかりとさいたまディレーブが理念を追及していけるように新たな世界に向かっていきたいと思っております。

レバンテフジ静岡 BCクリエイト合同会社 チーム代表社員 二戸康寛氏

この度、地域密着型というコンセプトのもと発足する新リーグに参画できる事は、地域密着型プロサイクリングチームを 掲げるレバンテフジ静岡として大変光栄です。地域密着チームの使命は、「競技振興」と「地域振興」、自転車と同様に 両輪がバランスよく回ることで、チームにとっても、地域にとっても、更にはチームを支えるファンにとっても、大きな波及効果を生み出します。参画する各チームの地元から発信される波紋が、少しずつ広がりをもち、延いては日本全国に、 そして世界に誇る新たな自転車文化の構築を期待して、リーグの一翼を担うチームを目指してまいります。レバンテフジ静岡は、富士の麓から自転車の風を巻き起こします! 地元活性化を担う地域密着型チームの活躍をご期待ください!

キナンサイクリング 監督 石田哲也氏

我々がこれまで長く携わってきたサイクルスポーツから、いよいよプロリーグがスタートするという事に大きな期待を持って来期の準備を進めております。マイナースポーツからの脱却、そしてメジャースポーツへと成長し、多くの方の日常に関わりが持てるような強力なリーグを皆さまと共に作り上げていきたいと強く感じています。 リーグの成長が選手層 の拡大、競技力の向上、更に本場ヨーロッパへ数多くの日本人選手輩出が現実的になると考えています。チームでは、選手の育成や地域に根付いた社会貢献をはじめ様々な取り組みを更に進めていく事で、これまで支えてくださったファンの方々、スポンサー、サプライヤー企業関係者の皆さまへの恩返しができると感じております。新リーグJCLの発展と共に チームの成長を応援していただけるような魅力あるチーム作りを進めてまいります、応援よろしくお願い致します。

ヴィクトワール広島 CYCLE LIFE株式会社 代表取締役 中山卓士氏

JCL構想を初めて聞いたときに各チームが地域密着型の条件で進むことを聞き参入を決めました。 日本ではロードレー ス(自転車競技)はマイナー競技です。 ヴィクトワール広島は競技や選手の魅力を知ってもらい、価値を高める必要が 何としてもあると考えています。 JCLでは各チームが地域貢献などを条件に進むこともありますので各チームがロード レースの価値を高めていく今までにない素晴らしいことだと思います。 各チームの地域ファンがレース会場で一喜一憂 することをイメージしたらワクワクします。 スポンサー様やファンの皆様が満足をしてもらえるようヴィクトワール広島は精進してまいります。引き続きご声援宜しくお願い致します。

VC福岡 株式会社VCドリームス 代表取締役 佐藤信哉氏

私自身がプロレースに初めて興味を持ったのは、2010年福岡市内で行なわれたツールド福岡でした。 猛スピードの隊列が観客の目の前を駆け抜けるスピードに衝撃を受け、そんなレースに参戦できるチームを福岡に作ることを目標としてき ました。こうした人々を魅了するようなレースがホームアンドアウェイ方式で各チームの地元でも実現される、そんな将来像に向け、各チーム同士も対話を重ねてきました。近い将来、地元福岡でもそれが実現し、サイクルロードレースファンで埋め尽くされる中、その先頭をVC福岡選手が疾走する姿をお見せできるよう精進して参りたいと思います。

【育成方針】
JCL加盟チームは3年以内にジュニアチーム、ジュニアユース、U23、女子チームいずれかの下部育成チーム の保有を義務付けております。下部組織チームの活動する場所におきましては、公益財団法人日本自転車競技 連盟(JCF)の加盟団体である各都道府県車連様、全日本実業団自転車競技連盟様の大会へ参加する事を予定 しており、JCFを中心とする日本の自転車競技の発展に積極的に参画してまいります。一人でも多くの若手選 手が日本で発掘・育成され、JCLや世界のトップシーンで活躍することを望んでおります。

【オープン戦】
JCLでは、年数回JCLオープンロードレースとして、JCL加盟チーム以外のチームも参加可能なレースを開催い たします。対象レースに関しましては、12月中に発表させていただきます。

【加盟枠】
JCLトップカテゴリー最大枠は20チーム ※2022シーズンの新規チーム加盟募集に関しては、2021年4月よりスタートします。

今後のスケジュール
2020年12月中 :レースカレンダー発表予定
2021年1月上旬 :オフィシャルホームページ公開予定
2021年2月下旬 :JCLシーズンプレゼーション開催予定
2021年3月27日 :JCL2021シーズン開幕戦予定



なおジャパンサイクルリーグの公式ウェブサイトも暫定でオープンしている。片山右京、廣瀬佳正の両氏が離脱した全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)との関係性や、加盟チームの両団体のレースへの参戦制限、あるいは加盟しなかった国内トップチームの参戦可否等の扱いについては発表資料では触れられていないが、方向性としては2019年3月に開催されたJBCFカンファレンスにおいて発表された「新リーグ構想」を踏襲したものと思われ、JCLはJBCFとはあくまで別の枠組みのレースとしての成立を目指すことになりそうだ。