ジロ最終日とブエルタ第1週最終日に重ねて開催されたスーパープレスティージュ第2戦。ドライコンディションの高速レースでエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)が勝利を挙げている。



男子はイゼルビッドとアールツの一騎打ち

勝負の鍵を握った登りのサンドセクション勝負の鍵を握った登りのサンドセクション photo:CorVos
欧州シクロクロス三大シリーズ戦の一つ「スーパープレスティージュ」。ギーテンで行われた開幕戦から2週間をおいて開催された第2戦の舞台は、ロンド・ファン・フラーンデレンの出発地点ブルージュから南に6kmほどのルッデルフォールデ。小さなアップダウンが連続する芝生コースは欧州にしては珍しいドライコンディションとなり、男女共にバイク交換無しのハイスピードレースが展開された。

ドライコンディションの男子レースがスタートドライコンディションの男子レースがスタート photo:CorVos
降車してサンドセクションを駆け上がるエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)たち降車してサンドセクションを駆け上がるエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)たち photo:CorVos
パウェルズサウゼン勢のアタックに対応するトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)	パウェルズサウゼン勢のアタックに対応するトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) photo:CorVos非ベルギー/オランダ勢最上位となる7位を確保したフェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポート)非ベルギー/オランダ勢最上位となる7位を確保したフェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポート) photo:CorVos


1周2860mのコースを全9周回で争われた男子レースは、序盤から大人数の先頭グループが生まれ、その中からアタックが掛かり続ける展開で進む。現在頭1つ抜け出た力を誇るトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)とエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)の2名が常にリードするグループ内には、ベルギー王者ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)や、宇都宮シクロクロスで勝利しているスペイン王者フェリペ・オルツ(テイカ・BH・Gスポート)も入った。

レース中盤を過ぎると初戦表彰台を占めたメンバー、つまりアールツとイゼルビッド、スウェークの3名が抜け出し、さらにラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が合流する。残り2周回に入ると「(チームメイトの)スウィークがハイペースを保ってくれたので、追いかける必要があったアールツと逆に脚を貯めることができた」と言うイゼルビッドが加速した。

開幕戦でアールツに敗れているイゼルビッドの走りは冴え渡っていた。細かいミスを重ねるアールツは徐々に遅れ、9秒差で最終ラップへと突入する。途中降り注いだ小雨で一部スリッピーになったコースを厭わず飛ばしたイゼルビッドが最後までリードを保ち、勝利。2位にはアールツが、3位にはファンデルハールが入り、オルツは非ベルギー/オランダ勢最上位となる7位でフィニッシュしている。

独走でフィニッシュするエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)独走でフィニッシュするエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
スーパープレスティージュ第2戦男子表彰台スーパープレスティージュ第2戦男子表彰台 photo:CorVos
「最後までリードを守り抜くことができてハッピーだ。以前よりももう一段階高いレベルに踏み込むことができている。ここまで少し膝の痛さに苦しんだけれど、今はトップコンディションにあると思う」というイゼルビッドは、ここ2戦で1位&2位を分け合うアールツと同ポイントでスーパープレスティージュ総合ランキング首位に浮上している。



オランダ勢が女子レース上位席巻、アルバラードがSP2連勝

ロードのベルギー王者であり、世界屈指のスプリンターとして名を馳せるロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル)が参加したことで話題を呼んだ女子レースは、序盤からアルカンシエルを着るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)を中心とした強者たちが先頭グループを築いた。

砂区間で転倒したセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とアンマリー・ワースト(オランダ、777)砂区間で転倒したセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とアンマリー・ワースト(オランダ、777) photo:CorVos
トップスプリンターのロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル)が参戦トップスプリンターのロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル)が参戦 photo:CorVos
MTB世界選手権で2位銀メダルを獲得し、自身9年ぶりとなる表彰台を射止めたエヴァ・リヒナー(イタリア、スターカジノCXチーム)がアルバラードやアンマリー・ワースト(オランダ、777)、欧州王者ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)といったオランダ勢に食い下がったが、激しいアタックの応酬にやがて脱落。全6周回中の3周目に入るとアルバラード、ワースト、カステリン、ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)、そしてマノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)というオランダ勢ばかりの5名の先頭グループが生まれた。

アタックと吸収、ペースダウン、そしてアタック。緊張感張り詰めながら進む先頭グループは激しく火花を散らしながら最終周回に入り、先頭ポジションを奪い合うように距離を消化していく。決定的なリードが生まれたのは、フィニッシュ手前のサンドセクションだった。

ロングスパートを成功させたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)ロングスパートを成功させたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
スーパープレスティージュ開幕2連勝を収めたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)スーパープレスティージュ開幕2連勝を収めたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
「ワーストもブラントも前を牽こうとしなかったので、それなら私も前に出ないようにした」と脚を貯めたアルバラードが一気に踏み抜き、2〜3秒のリードを確保する。ワーストとアルバラードの二人は追い上げ届かず、最後まで踏み抜いたアルバラードがスーパープレスティージュ開幕2連覇を成し遂げた。

スーパープレスティージュ第3戦はベルギーのニールにて開催される。
スーパープレスティージュ2020-2021第2戦男子結果
1位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 59:23
2位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 0:15
3位 ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 0:19
4位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:33
5位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:37
6位 ダーン・ソエテ(ベルギー、グループヘンス・マースコンテナーズ) 0:42
7位 フェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポート) 0:49
8位 コルネ・フェンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) 1:00
9位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) 1:07
10位 トム・メーウセン(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 1:15
スーパープレスティージュ2020-2021第2戦女子結果
1位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) 46:37
2位 アンマリー・ワースト(オランダ、777) 0:01
3位 ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)
4位 ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)
5位 マノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)
6位 ラウラ・フェルドンショット(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:31
7位 デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:45
8位 マーガリー・ロシェット(カナダ) 0:51
9位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) 0:58
10位 エヴァ・リヒナー(イタリア、スターカジノCXチーム) 1:00
text:So Isobe

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