イギリスのイネオス・グレナディアーズが2021年シーズンの獲得選手を発表。ツール・ド・フランスを総合3位で終えたリッチー・ポート(オーストラリア)やクリテリウム・デュ・ドーフィネ覇者ダニエル・マルティネス(コロンビア)、ベビージロ覇者トム・ピドコック(イギリス)、強力な山岳アシストのローレンス・デプルス(ベルギー)が新たに加わる。



ツール・ド・フランスを総合3位で終えたリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)ツール・ド・フランスを総合3位で終えたリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
イネオス・グレナディアーズが”最終加入選手”としてアナウンスしたのはリッチー・ポート(オーストラリア、現トレック・セガフレード)とダニエル・マルティネス(コロンビア、現EFプロサイクリング)、トム・ピドコック(イギリス)、そしてローレンス・デプルス(ベルギー、現ユンボ・ヴィズマ)というビッグネーム4名。エガン・ベルナル(コロンビア)や来季加入するアダム・イェーツ(イギリス、現ミッチェルトン・スコット)の大幅なアシスト力強化が図られることとなる。

エースとして臨んだ最後のツール・ド・フランスで表彰台を射止めたポートにとっては、2012〜2015年(チームスカイ時代の2013年にジャパンカップに出場)以来6年ぶりのイギリスチーム復帰。「チームと過ごした4年間のうちに最も幸せな思い出を残すことができていた。様々な選択肢を比較した結果、このファンタスティックなチームでキャリアを終えることに対して大きなモチベーションを得ている」とポートは言う。

「チームの雰囲気は素晴らしく、かつて共に働いた人たちや友人がいる。チームのさらなる勝利に貢献し、世界屈指の選手たちと共にレースを走るやる気に満ち溢れているんだ。まだ自分自身勝ちを狙えることは分かっているが、”山岳ドメスティック”として走ることに意義を感じている」と、キャリア終盤を迎えた35歳のポートは話している。

シクロクロスやロードレースで数々の戦績を残しているトム・ピドコック(イギリス)シクロクロスやロードレースで数々の戦績を残しているトム・ピドコック(イギリス) photo:Nobuhiko.Tanabe
シクロクロスを軸にキャリア(ジュニアとU23で世界選手権優勝)を重ね、ロードレースでも2017年世界選手権ジュニアで個人タイムトライアル&ロード2冠、2019年のU23世界選手権でも3位、2020年はベビージロ総合優勝と輝かしい戦績を残す逸材、ピドコックの加入先もまたイネオス・グレナディアーズだった。

「イギリスの同世代の自転車選手と同じく、このチームで競技活動を行うことを渇望していた」と言うピドコック。ワールドツアーやプロチームではなく、母国イギリスでブラドレー・ウィギンスが運営したコンチネンタルチームで成長を重ねた21歳は、シクロクロスシーズンが終わる3月1日からイネオスのジャージに袖を通す。

昨年のビンクバンク・ツアーで総合優勝に輝いたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)昨年のビンクバンク・ツアーで総合優勝に輝いたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
昨年ツールの山岳ステージでステフェン・クライスヴァイク(オランダ)をアシストしたローレンス・デプルスは、ビンクバンク・ツアーで総合優勝を飾るなど短距離急勾配のクラシックレースにも対応する25歳。「昨年のツールは自分にとってブレイクスルーであり、継続して良いパフォーマンスを披露していきたい。チームに所属する最高のグランツールレーサーたちから学び、今後数年にわたって成長したい。移籍は簡単な決断ではなかったが、イネオスで走ることは長い間夢だった」と語っている。

今年のクリテリウム・デュ・ドーフィネを制したダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)今年のクリテリウム・デュ・ドーフィネを制したダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング) photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネで総合優勝を飾り、ツール第13ステージで独走勝利したダニエル・マルティネスにとってはEFプロサイクリングに続く2つめのワールドチーム。24歳の若きコロンビアンクライマーは1歳年下の同郷ベルナルの心強いサポート役となる。「これまで素晴らしいサポートを得てきたが、イネオスへの移籍はキャリアを引き上げる上で適切なタイミングだと思う。イーガンなど複数のチームメイトと知った仲なので、彼らと共にレースを走るのは素晴らしいこと」と期待を話している。

text:So Isobe