「子どもの頃から夢見ていたツール優勝が叶った」と喜びを表したポガチャル。「これ以上の脚はなかった」と落胆するログリッチ。そして「本当に信じられない」と自身初となるツール表彰台を掴んだポート。ツール第20ステージの個人TTを終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝&マイヨジョーヌ、山岳賞、新人賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

圧倒的な走りでマイヨジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)圧倒的な走りでマイヨジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
僕は夢を見ているんだ。このジャージをとても誇りに思っている。このマイヨジョーヌへの最後の驚異的な追い上げは、チームによる全ての努力があったおかげだ。子どもの頃から夢見ていたツール優勝がいま叶ったんだ。

この名誉は僕だけのものではなく、UAEチームエミレーツの全てのメンバー、そしてスポンサーや僕らを支えてくれる人たちのおかげだ。このタイムトライアル(のコースに)は試走に来ていたので、何をすればよいか分っていたし、どこで加速し、どこで力を使えばいいのかも分っていた。だから今日は最初から最後までペダルを踏むことだけを考えていた。

走りながらペダルを踏めていると感じていて、それが僕をさらに加速させてくれた。自転車選手としての僕の夢はツール・ド・フランスに出場することだった。優勝は間違いなくその先のにあるものだった。

ステージ5位&総合2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

精彩を欠いたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はステージ5位に終わり、首位を明け渡す精彩を欠いたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はステージ5位に終わり、首位を明け渡す photo:Makoto.AYANO
今日はこれ以上速く走れる脚がなかった。これ以上強くペダルを回すことができなかった。ベストを尽くしたが、タデイ(ポガチャル)があまりにも強すぎた。タデイのタイムは知っていた。でもそれを見越してどうにかできる脚はなかったので、最終的にそれはどうでもよくなってしまった。

この落胆があったとしても、僕たちはチームとしてこのツールをとても力強く走れたと思っている。この3週間、チームが僕のためにしてくれたこと全てに感謝したい。チームとして僕たちが走ったこのレースを誇りに思うし、今後のためにこのレースからポジティブなことを見つけなければならない。

ステージ3位&総合3位 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)

ステージ3位に入り、総合3位に浮上したリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)ステージ3位に入り、総合3位に浮上したリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
夢のようだ。地球の反対側からツールを見て育ち、ロビー・マキュアンやカデル・エヴァンス、ブラドリー・マクギーのような選手たちを見てきた。ついにここの表彰台に上がれることが本当に信じられない。この感情に慣れるまで少し時間がかかるだろう。皆、僕がこれまで経験してきた戦いや物語を知っていると思う。ここまで本当に長い旅路だった。

キム・アンダーソン(監督)からタイムの報告を受け始め、無線で「残り3kmだリッチー。夢が叶うぞ!」と言われた。それは甘美な瞬間だったよ。

どんなレースを勝ってきたかなんて関係ない。選手(の価値)を測られるのはツールなんだ。僕は妻に、引退する時に欲しい写真はパリの表彰台がいいと言ったんだ。

新型コロナウイルスによりツールが延期になり、娘の誕生(に立ち会う機会)を逃してしまった。それが僕の運ということなのだろう。僕は妻のゲムナに「ツールに行きなさい。あなたの仕事をしてきなさい」と言われてきた。彼女には考えがあったんだろうね。彼女にはもう一つ言葉をかけられた。「もしTVをつけてプロトンの最後尾にいるようなことがあったら怒るからね」ってね。

ステージ2位 トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

TTバイクのまま登ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は2位のタイムTTバイクのまま登ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は2位のタイム photo:Makoto.AYANO
とても残念だ。ポガチャルは僕らとレベルが違っていた。今朝のプリモシュ(ログリッチ)は調子が良かったし、良いタイムトライアルをしなければらないと分っていた。彼の走りは過去最高ではなかったが、だからといって最低でもなかった。強いポガチャルにやられてしまった。ツールの優勝が我々の手からこぼれ落ちていった。とても残念だ。僕自身はかなり良いタイムトライアルだった。ラ・プランシュ(デ・ベル・フィーユ)ではあまり速く走れなかったが、その前に良いペースを刻めていた。でもそんなことはどうでもいい。それはステージ優勝でも、総合優勝のためでもなかった。こんなことになるなんて、予想もしていなかった。

ステージ4位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

4位のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)4位のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto.AYANO
全くのサプライズだ。プリモシュは調子が良いと言っていた。彼の不調を示すものは何もなかった。だが彼の走りを見て、いつもの走りとは違っているのが分かった。このためにみんなで頑張ってきた。この3週間、全力を尽くしてきた。それが上手くいかずとても残念だ。自分のタイムトライアルには満足している。これは僕にとって最高の成果だったと思う。

ステージ14位&総合4位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)

ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)は14位のタイムミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)は14位のタイム photo:Makoto.AYANO
良いツールの締めくくりになった。落車のあった悪いスタートで、チームメイトを1人失い、何人かはいたる所に痛みを感じていた。でも一緒に協力し、結びつきが強い良いチームができた。日に日に良くなっていき、最後には(総合)4位に入れた。ダミアーノ(カルーゾ)も10位だ。チームとしてとても強く、TTバイクもチームと協力し向上したと思う。更に良い状態でここに帰ってきたい。

ステージ9位&総合5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

9位のタイムのエンリク・マス(スペイン、モビスター)9位のタイムのエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:Makoto.AYANO
最後は少し混乱していた。ミケル(ランダ)のタイムしか気にしておらず、フィニッシュで待っていたら、彼が僕より9秒早いタイムだということが分かった。だからトップ5入りが叶わなかったと思っていた。だけど最終的には開幕前に望んでいた順位を取り戻すことができた。ミケルと僕が4位と5位というのはスペインの自転車界にとって素晴らしい結果だと思うし、誇りに思っている。

ステージ45位&総合6位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

ステージ45位に終わったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は総合3位から6位にダウンステージ45位に終わったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は総合3位から6位にダウン photo:Makoto.AYANO
厳しい日になったが、できる限りを尽くした。でも悪い日だったということを認めなければならない。常に敗者はいて、それが今日は僕だったということだ。仕方がないことだ。最高の選手たちと一緒に走り、ポディウムを目指してこの3週間走ってきたので良いレースができた。今日は表彰台を目指したが、うまくいかなかった。目標まであと一日だったのに。でも初めてのツール・ド・フランスで最後まで辿り着くことができて嬉しく思う。明日はパリでこの素晴らしいレースを終えたいと思う。

text:Sotaro.Arakawa
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