クリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が再びオンラインインタビューに応え、総合争いから脱落したベルナルや盤石なチーム力を見せるユンボ・ヴィズマなど、ツール・ド・フランスの2週目を総括した。




「エガンが総合8分遅れで総合争いから脱落してしまったようだ。残念ながらイネオス・グレナディアーズにとって大きな打撃だ。彼がこんなことになるとは思わなかった。パリまでの道のり(総合優勝)は近いと思っていただけに、あの(第15)ステージの走りには驚かされた」。

イタリアで開催されたティレーノ〜アドリアティコを完走した直後(ツールは2度目の休息日中)、クリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は再びイギリス放送局ITVSportsのオンラインインタビューに答え、インタビュー時点でトップから7分20秒遅れたエガン・ベルナル(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)ついて語った。

ツール・ド・フランス2連覇を狙い総合エースとして出場したベルナルだったが、第15ステージの頂上フィニッシュ地点であるグランコロンビエールの登りで早々と集団から脱落。休息日明けの第16ステージは走り終えたものの、翌日に背中と膝の痛みを訴えレースを棄権した。

昨年のツール覇者に一体何が起こったのか。過去に4度ツールを制しているフルームは次のように分析している。

「(ツールの)ディフェンディングチャンピオンとして再びレースにやってくる際に感じる重圧について、自転車界はみな軽視してしまっている。一度でもツール・ド・フランスで総合優勝すれば人生は一変する。背中に1番のゼッケンをつけると、感覚的にはほとんどのレースから除外されるようなものだ。ひとたび動けば全員が追ってくる。レースが全く違ったものになってくるんだ」。

ティレーノ〜アドリアティコの最終個人TTを走るクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)ティレーノ〜アドリアティコの最終個人TTを走るクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport
また、別のインタビューにて「ツールでのアシスト役を志願したけれども、チームは僕を選ばなかった」という趣旨の報道がなされたフルーム。これに対しては「見出し作りのために少し文脈から外れて書かれてしまっている。僕は質問に『喜んで出場する』という意味で答えた。『選ばれるべきだった』なんて言っていない。ツールへの準備期間に自分のポジションが分かり、(ツールを)勝ちに行く状態にないことは自覚していた。それでも僕は喜んでエガンの勝利のため、全力でサポートしたいと思っていた。それが真意だ」と、否定した。

第15ステージだけではなく、今大会を通して圧倒的なチーム力と牽引力でレースを制圧したユンボ・ヴィズマについて、フルームはこう話す。

「今日の最後の登りや、全ステージでのユンボ・ヴィズマは並外れた走りをしている。最終局面での(アシスト選手の)人数の残し方などは昔のチームスカイを思い出させる。彼らは完璧にレースをコントロールし、残り数百メートルまで誰もアタックできないようなテンポで牽引していた。リッチー(ポート)や(ダディ)ポガチャルがアタックするまでね。現時点で彼らに隙は全く見えない」。

「全ステージでのユンボ・ヴィズマは並外れた走りをしている」「全ステージでのユンボ・ヴィズマは並外れた走りをしている」 photo:CorVos
ベルナルが脱落し、優勝候補がログリッチとタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の二人のスロベニア人に絞られてきた2020年のツール。フルームが予想する総合優勝、そしてポディウムに上がるあと1人は誰なのだろうか。

「個人的に表彰台に上がるリッチー(ポート)が見たい。彼はここまで素晴らしい走りをしてるし、昨日のステージの最後1kmから加速できた選手の1人だ。レースの終わりに向け素晴らしいコンディションを見せているし、是非とも彼のポディウムでの姿が見たいね」

「(総合優勝は)勝ち目の低い思われている方を選ぼうかな。ポガチャルだ」。

text:Sotaro.Arakawa

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