獲得標高2500mのツール・ド・アルデーシュ4日目に逃げ切り決まる。與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)のアシストを受けたマビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)が8秒差で総合首位をキープしている。



ツール・ド・アルデーシュ第4ステージのスタートを待つ選手たちツール・ド・アルデーシュ第4ステージのスタートを待つ選手たち photo:www.tcfia.com
ツール・ド・アルデーシュ2020 第4ステージ コースプロフィールツール・ド・アルデーシュ2020 第4ステージ コースプロフィール www.tcfia.com南フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のアルデーシュ県で開催中のツール・ド・アルデーシュ(正式名称ツール・シクリスト・フェミニン・アンテルナショナル・ドゥ・アルデーシュ)は折り返しの4日目。中央山塊の山々を超える過酷な山岳コースで、最後は距離24.5kmの2級山岳と、短い下りを挟んで1級山岳ロゼール峠(距離6.2km/平均5.5%)に上り詰める。

この日はクリステン・フォークナー(アメリカ、チームティブコ・SVB)を含む7名がエスケープし、與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)など総合首位に立つマビ・ガルシア(スペイン)のチームメイトがメイン集団の牽引を担う。最大7分差をつけた逃げに対して與那嶺とマーイケ・ブーガード(オランダ)がメイン集団を牽引。與那嶺によれば「今日は他のチームメイトが仕事を担うはずだったけれど、全く仕事をしないのでレース中本気で怒った」との状況だったという。

下り区間で7名がエスケープ。最大7分差を稼ぎ出した下り区間で7名がエスケープ。最大7分差を稼ぎ出した photo:www.tcfia.com
独走勝利を挙げたクリステン・フォークナー(アメリカ、チームティブコ・SVB)独走勝利を挙げたクリステン・フォークナー(アメリカ、チームティブコ・SVB) photo:www.tcfia.com
結局レースは終盤に独走したフォークナーが優勝し、その20秒差まで詰めた集団はバラバラ状態のまま総合トップスリーがほぼタイム差なしでフィニッシュ。ガルシアが総合首位を守り、残り10km地点まで献身的にアシストを続けた與那嶺は9分17秒遅れのステージ75位でレースを終えている。與那嶺のコメントは以下の通り。



4日目は上りゴール。ずっと上って下ってを繰り返すステージ。獲得標高は2500m。チームの作戦はマビを守りながら、Eriはマビと一緒に居ろと言うことで。残りの4人が仕事をするはずでしたが…。

スタート直後の賞金が大きい山岳へ向けてとにかくペースが速い。マビのフォローをしながら何とかメイン集団で上り、その後の下り。アタックが掛かり先頭は7人ほど。チームからは誰も乗れず。乗らず。総合の要注意選手が居なかったので一度見送りました。しかし情報が正確ではなく、40km過ぎに「7分差」のタイムボードが示されます。

登坂区間でアシストをこなす與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)登坂区間でアシストをこなす與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ) photo:www.tcfia.com
集団先頭付近で登る與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)集団先頭付近で登る與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ) photo:www.tcfia.com
マビと話をし、急いで追い始めました。しかし、私とマイカ(ブーガード)以外、前に出てこず。無線で呼び出しても来ない…。連日、仕事を放棄している総合6位と10位にいるチームメート2人が全然前に来ません。マビも「エリを使うな!」と言うのですが、とにかく出てこない。

自分たちのGCが大切なのは分かるのですが、今はレースリーダーが私達のチーム。自分の足をどんどん使いながら、これが仕事。逃げとの差を詰めながらタイムボードを確認し、上りをテンポで。しかし数が全く足りません。マビの再度の呼び出しにも答えず、わたしが再度無線でチームメートを呼び出し、前に来たのは良いのだが、詰める気が全く無く、力を溜めている状況です。

このまま詰めきれないと、マビの総合首位が陥落するので、私が上り、マイカが下り、平坦のつなぎは私とマイカで先頭固定の状況。自分の総合を守るために仕事を放棄するな!いい加減にしろ!とレース中に怒りました。初めてかな、ここまで怒ったのは。それでも全力で仕事をしないチームメイトに呆れながら、せっせと上りで詰めて、最後の山岳2級へ。

残り10kmのマークを過ぎ1分まで詰めた。ここで私はお仕事終わり。あとは上りゴール。マビに託します。最初から逃げたティブコの選手が一人で逃げ切り優勝。お見事。マビもしっかり3位で総合首位を守ることができました。

リーダージャージを守ったマビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)リーダージャージを守ったマビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ) photo:www.tcfia.com
難しいですよね。自分のGCしか評価されたことがない選手。全力でエースのためにアシストが仕事をしても、契約、給与に結びつかない世界。これが今の女子ツアーの現状。難しいです。自分の総合順位は大きく落ちたのですが、仕事、そして世界選手権に向けてコンディションを上げるためのレース。あと3日。明日は平坦、注意です。
ツール・シクリスト・フェミニン・アンテルナショナル・ドゥ・アルデーシュ2020 第4ステージ
1位 クリステン・フォークナー(アメリカ、チームティブコ・SVB) 4:00:45
2位 ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB) 0:20
3位 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ) 0:22
4位 アンナ・キーセンホーファー(オーストリア、オーストリアナショナルチーム) 0:25
5位 ヤラ・カステリン(オランダ、シクリズモ・モンディアル) 0:29
75位 與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ) 9:17
個人総合成績
1位 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ) 13:46:17
2位 アンナ・キーセンホーファー(オーストリア、オーストリアナショナルチーム) 0:08
3位 ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB) 0:40
4位 ヤラ・カステリン(オランダ、シクリズモ・モンディアル) 4:35
5位 サンドラ・ルーフェンス(フランス、チームアルケア) 4:47
その他の特別賞
山岳賞 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)
ポイント賞 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)
ヤングライダー賞 カミラ・アレッシオ(イタリア、ビーピンク)
チーム総合成績 アレ・BTCリュブリャナ
text:So.Isobe