カレンダー改訂により秋から夏に開催時期を移したイル・ロンバルディアでヤコブ・フルサン(アスタナ)が前年度のリエージュに続く「モニュメント」制覇を達成。注目のレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)は崖から落ちる落車負傷によりリタイアした。


新型コロナウイルスの犠牲者に捧げる1分間の黙祷を経てレースはスタート新型コロナウイルスの犠牲者に捧げる1分間の黙祷を経てレースはスタート photo:CorVos
イル・ロンバルディア2020イル・ロンバルディア2020 photo:RCS Sportミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)とともに「モニュメント(世界五大クラシック)」と称される伝統の一戦であり、1905年初開催&開催114回目のイル・ロンバルディア(元ジロ・ディ・ロンバルディア)。例年晩秋にかけて開催されることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼ばれているが、新型コロナウイルス感染に伴うレースカレンダー改訂により真夏の8月15日に開催時期が移された。

北イタリアの湖水地方を走るレースは、数あるクラシックレースの中で最も登坂力を要求するレベル。コース変更により全長231kmに短縮されたが、獲得標高差は3,500mに達し、後半にかけて4つの著名な登りが連続して登場する。登坂力が勝負を分かつ山岳レースが気温33度を超える暑さの中で繰り広げられた。

後半に登場する主な登り
残り64km地点 マドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%/最大14%)
残り50.5km地点 ムーロ・ディ・ソルマーノ(距離1.9km/平均15.8%/最大27%)
残り16.7km地点 チヴィリオ(距離4.2km/平均9.7%/最大14%)
残り5.3km地点 サンフェルモ・デッラ・バッターリア(距離2.7km/平均7.2%/最大10%)

イタリア国内で最も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたロンバルディア州を走るレースは、同ウイルスの犠牲者に捧げる1分間の黙祷を経てスタート。前半に形成された11人の逃げグループをドゥクーニンク・クイックステップとユンボ・ヴィスマが追いかける展開が続き、マドンナ・デル・ギザッロの登坂中に早くも逃げは全て吸収された。

ロンバルディア州の山岳地帯を走るロンバルディア州の山岳地帯を走る photo:LaPresse
マドンナ・デル・ギザッロに向かって登りを進むマドンナ・デル・ギザッロに向かって登りを進む photo:CorVos
マドンナ・デル・ギザッロをクリアするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)マドンナ・デル・ギザッロをクリアするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
約50人に絞られたメイン集団は、続く『ソルマーノの壁』で崩壊する。アスタナが先頭でハイペースを刻むと、最大勾配27%の登りで精鋭集団は7人に。前年度覇者のバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)らがしっかりと先頭に残った一方で、リチャル・カラパス(エクアドル、チームイネオス)やマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)は脱落した。

精鋭集団7人はヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)を先頭に標高1,124mのソルマーノから標高280m程度のコモ湖沿いまで一気にダウンヒル。ここで隊列の最後尾を走っていたエヴェネプールが下りコーナーをオーバーランしてしまい、ガードレールを担う石の欄干と衝突して崖下に落下してしまった。

駆けつけたチームスタッフと救急隊員によってコース上まで担ぎ上げられたが、エヴェネプールのレースはここで終了。今シーズン出場した4つ全てのステージレースで総合優勝を飾った20歳のモニュメント初挑戦は、骨盤の骨折と肺挫傷という最悪の結果に終わってしまった。長期戦線離脱が見込まれ、予定していたジロ・デ・イタリア出場に赤信号が灯っている。

アスタナのリードによりムーロ・ディ・ソルマーノで集団は人数を減らすアスタナのリードによりムーロ・ディ・ソルマーノで集団は人数を減らす photo:LaPresse
縁石と衝突し、崖下に落ちたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)縁石と衝突し、崖下に落ちたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
コモ湖に沿って走る選手たちコモ湖に沿って走る選手たち photo:LaPresse
こうして6人となった精鋭集団の内訳は、トレック・セガフレード3人(モレマ、ニバリ、チッコーネ)、アスタナ2人(フルサン、ウラソフ)、ユンボ・ヴィスマ1人(ベネット)。残り21km地点から始まるチヴィリオの登りでアタックを仕掛けたフルサンに食らいつくことができたのはジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)とアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ)だけ。トレック・セガフレードは3人を残しながらも遅れてしまい、懸命の追走も届かなかった。

献身的なアシスト役をこなしたウラソフを先頭に最後のサンフェルモ・デッラ・バッターリアの登坂が始まる。人数で劣るユンボ・ヴィスマのベネットは複数回のアタックでウラソフを蹴落とすことに成功したが、フルサンはぴったりとマークを続ける。逆にフルサンがカウンターアタックを仕掛けると、ついにベネットが遅れた。

快調に下りをこなしたフルサンが眩しい真夏の太陽を背にコモ市内にフィニッシュ。単騎でライバルたちに挑んだグランピエモンテ覇者のベネットが2位、フルサンの勝利をお膳立てしたウラソフが3位に。人数を揃えながらも表彰台を逃したトレック・セガフレードの3人に次いで、単独追走を仕掛けていたマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が7位に入っている。ドイツチャンピオンのシャフマンはサンフェルモ・デッラ・バッターリアの下り区間でコースに迷い込んだ一般車両と衝突して落車し、鎖骨を骨折しながらもフィニッシュまで走り切った。

先頭でサンフェルモ・デッラ・バッターリアに向かうヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)やジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)先頭でサンフェルモ・デッラ・バッターリアに向かうヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)やジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
最後のサンフェルモ・デッラ・バッターリアでアタックを仕掛けるヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)最後のサンフェルモ・デッラ・バッターリアでアタックを仕掛けるヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) photo:LaPresse
独走でフィニッシュするヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)独走でフィニッシュするヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) photo:CorVos
「これが自分にとって最後の傑作勝利にならないことを願う。シーズン再開後の好調を勝利に繋げたいと思っていただけにスーパーハッピーだ」。2019年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでも同様に終盤に独走してモニュメント初制覇を果たした35歳のフルサンが、自身2つ目のモニュメントタイトル、そしてデンマーク人選手初のロンバルディア制覇という結果を残した。

「今日はアスタナがとにかく強力で、ウラソフがトレック・セガフレード勢を引き離す素晴らしい働きをしてくれた。スプリントでもジョージ(ベネット)に勝てると思っていたけど、彼がサンフェルモでアタックした時、彼のアタックに鋭さがないと判断して逆にペースを上げたんだ。スケジュールが組み直される難しいシーズンの中で、大きな勝利を手にすることができて嬉しい」。フルサンはツール・ド・フランス(8/29〜)に出場せず、ティレーノ〜アドリアティコ(9/7〜)とジロ・デ・イタリア(10/3〜)に出場する予定だ。

「水曜日のグランピエモンテ勝利に続くロンバルディア2位。決して悪くない結果であり、失望はしていない」。そう語るのは2位に入り、初めてロンバルディアの表彰台に上ったベネット。ツール・ド・フランスでプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)をアシストする予定のニュージーランド出身の30歳は「アスタナの2人と先行する展開になってからも勝つ自信があった。でも登りで何度もアタックしたけど引き離せず、逆にヤコブ(フルサン)に千切られてしまった。それでも楽しいレースだった」と語っている。
イル・ロンバルディア2020結果
1位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)5:32:54
2位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)0:00:31
3位アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ)0:00:51
4位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)0:01:19
5位ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)0:01:40
6位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)0:03:31
7位マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)0:04:31
8位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)0:05:20
9位ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)0:06:00
10位マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)0:06:28
text:Kei Tsuji
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