『アワイチ』つまり淡路島一周ライドをご存知でしょうか。京阪神からアクセスの良い一周約150kmの魅力的な島をフォトグラファーの辻啓が走り、いわゆる『インスタ映え』を意識しながら写真撮影におすすめのスポットを紹介していきます。


関西在住サイクリストの定番中の定番『アワイチ』

アワイチの玄関口として定番の岩屋港をスタートアワイチの玄関口として定番の岩屋港をスタート photo:Hiroyuki Nakagawa
国生み神話ゆかりの絵島国生み神話ゆかりの絵島 photo:Hiroyuki Nakagawa明石海峡大橋と絵島を撮影明石海峡大橋と絵島を撮影 photo:Hiroyuki Nakagawa

京阪神のみならず、日本全国のサイクリストが一度は聞いたことがあるであろう『アワイチ』という言葉。大阪在住のわたくし辻啓も例に漏れず昔からアワイチに親しんできました。初めてアワイチに挑戦したのは今から15年ほど前で、ぐるっと一周した最後に明石海峡大橋が見えてきた時の感動を今でも鮮明に覚えています。

それ以降、イベントだけでなく、仲の良いグループでまったりと、時に競い合いながら淡路島を巡ること10回ほど。距離150km/獲得標高差1,300mという距離は初心者にとっては挑戦的で、中級者にとっては世界を広げる場となり、上級者にとっては鍛錬の場。走りごたえだけでなく、アクセスの良さ、風光明媚な地形、コンビニなどの充実もサイクリストにとって嬉しい点です。

多くの場合、アワイチの起点/終点となるのは本州から明石海峡大橋を渡ってすぐの岩屋エリア。自動車で到着した場合は道の駅あわじへの駐車はNG。岩屋港に隣接するコインパーキングに駐車しましょう。もちろん自走で明石港に向かい、そこから高速線の淡路ジェノバラインに乗って上陸する手もあります。幅4kmほどの海峡を渡るだけで、普段の生活から隔離された世界に突入するワクワク感は特別なものがあります。

ここからはアワイチのコース上にあるおすすめ撮影スポット(GoogleMapの位置情報のリンク付きです)を紹介していきます。ページの最後に表示されるプロモーションビデオも合わせてご覧ください。



アワイチのおすすめ撮影スポットを紹介アワイチのおすすめ撮影スポットを紹介 photo:www.awajishima-kanko.jp
岩屋港の目の前にある絵島を横目にスタートするとしばらくは海沿いの快走路。ちなみに一周の方向は常に海側を走ることができる時計回りが主流で、STRAVAの走行ログをじっくり見ると、時計回り20に対して反時計回り1の比率であることがわかります。参考までに。

いつも大きめのギアを踏んで通り過ぎてしまいがちな釜口八幡神社は、鳥居と道、海を同時に撮れる数少ないポイントです。宿泊施設「グランアイガ」の敷地内に2019年に新設されたAWAJIモニュメントは問答無用のインスタ映えスポット。少しコースから外れますが、洲本の赤レンガ壁は必見です。特に洲本図書館入口の広間にある赤レンガ壁は迫力満点。ちなみにドラクエの生みの親である堀井雄二さんが洲本市出身であることから建立された、すぐ近くの「ドラゴンクエスト30周年記念碑」もゲーム好きサイクリストにおすすめです。

明石海峡大橋を背にアワイチをスタート明石海峡大橋を背にアワイチをスタート photo:Hiroyuki Nakagawa
海岸線に面した釜口八幡神社の鳥居海岸線に面した釜口八幡神社の鳥居 photo:Hiroyuki Nakagawa2019年に新設されたAWAJIモニュメント2019年に新設されたAWAJIモニュメント photo:Hiroyuki Nakagawa
独特の空間が広がる洲本図書館入口の広間独特の空間が広がる洲本図書館入口の広間 photo:Hiroyuki Nakagawa
アワイチの中で最も登坂距離が長い立川水仙郷のアップダウンをクリアすると、直線かつ平坦なオーシャンロードがスタート。なお、淡路島の南端に向かうこの辺りはアワイチの中で最も長い『コンビニ空白区間』です。モンキーセンターなど、自動販売機が揃っているスポットも有りますが、手前の洲本市内または洲本温泉までにしっかりと補給食を揃えておきましょう。

オーシャンロードを快走すると徐々に見えてくるのが黒岩地区の突堤。入口に石が堆積しているので、バイクを降り、ロード用シューズを脱ぐことをおすすめします。外洋に突き出た突堤からの眺めは抜群。周辺には他にもいくつか突堤や防波堤がありますが、関係者以外立ち入り禁止になっている場合もあるのでお気をつけください。

登坂距離の長さは立川水仙郷に譲るものの、アワイチの中で最も勾配のあるのが灘の急坂です。10%以上の勾配が延々と続くので、勢いで登ってしまえない時は、撮影を言い訳に休憩しちゃいましょう。すると背後には沼島と青い海が。淡路島南部らしいダイナミックな風景という点では、関西人なら誰もがCMソングを口ずさんでしまうホテルの裏にある南あわじ展望台もおすすめです。

定番の補給スポットであるちょうど中間地点の福良で息を整えてから、大鳴門橋のすぐそばまで近づくことができる道の駅うずしおまで足を伸ばすこともお忘れなく。橋の向こう側はもうそこはお隣り四国、徳島県。名産品の玉ねぎを模した淡路島エッセンス満点のベンチもあり、アプローチのアップダウンをこなす価値ありです。

アワイチの中で最も登坂距離が長い立川水仙郷の登りアワイチの中で最も登坂距離が長い立川水仙郷の登り photo:Hiroyuki Nakagawa前半の難所、全長4.4kmほどの立川水仙郷の登り前半の難所、全長4.4kmほどの立川水仙郷の登り photo:Hiroyuki Nakagawa
立川水仙郷の登りをこなすと海岸線までダウンヒル立川水仙郷の登りをこなすと海岸線までダウンヒル photo:Hiroyuki Nakagawa
淡路島モンキーセンター周辺は直線的な平坦路が続く淡路島モンキーセンター周辺は直線的な平坦路が続く photo:Hiroyuki Nakagawa
外洋に突き出た黒岩地区の突堤外洋に突き出た黒岩地区の突堤 photo:Hiroyuki Nakagawa
急勾配が続く灘の急坂急勾配が続く灘の急坂 photo:Hiroyuki Nakagawa
大鳴門橋を眺める南あわじ展望台大鳴門橋を眺める南あわじ展望台 photo:Hiroyuki Nakagawa道の駅うずしおにある玉ねぎベンチ道の駅うずしおにある玉ねぎベンチ photo:Hiroyuki Nakagawa

通称「淡路サンセットライン」と呼ばれる淡路島西岸の県道31号線は、その名の通り美しい夕日を眺めながら走ることができる場所。高低差も少ないので単調ではあるものの、エメラルドグリーンの海や慶野松原(けいのまつばら)に代表される松林、白砂のビーチ、さらには明神岬といったスポットが点在しています。白岩に覆われている明神岬はあまり知られていない隠れスポット。巨岩を真っ二つに割ったような洞窟状の切れ目まで小径が続いているので一見の価値ありです。

瀬戸内海の向こうに本州が見え始め、明石海峡大橋がその巨大な姿を現すとフィニッシュはもうすぐ。ちなみに海峡の中にそびえる明石海峡大橋の主塔は高さ298mで、東京スカイツリーと東京タワー、あべのハルカスに次ぐ日本第4位の高さの構造物。主塔の間は1991mもあり、吊り橋として世界最長の地位を1998年の完成からずっと保っています。道の駅あわじからはその明石海峡大橋の直下まで歩いていくことができるので、ちょうど橋のど真ん中を見つけて左右対称の写真を撮ることもできます。

道の駅うずしお周辺ではダイナミックな風景が楽しめる道の駅うずしお周辺ではダイナミックな風景が楽しめる photo:Hiroyuki Nakagawa
広大な慶野松原の中から撮影向きの松を選び出す広大な慶野松原の中から撮影向きの松を選び出す photo:Hiroyuki Nakagawa
白岩に覆われた独特な風景が広がる明神岬白岩に覆われた独特な風景が広がる明神岬 photo:Hiroyuki Nakagawa淡路サンセットラインに点在するビーチに立ち寄る淡路サンセットラインに点在するビーチに立ち寄る photo:Hiroyuki Nakagawa
フィニッシュが近づくと明石海峡大橋が見えてくる!フィニッシュが近づくと明石海峡大橋が見えてくる! photo:Hiroyuki Nakagawa
大きすぎて遠近感が掴めない明石海峡大橋直下大きすぎて遠近感が掴めない明石海峡大橋直下 photo:Hiroyuki Nakagawa
初級者であれば10時間以上、中級者であれば7時間、上級者であれば5時間程度でぐるっと一周できるボリューム感。内陸のアップダウンを組み合わせた難易度高めのアワイチや、300kmに迫るアワニ(淡路島二周)に挑戦する強者もいたり、楽しみ方は人それぞれです。レベルに合わせて行程を2日間に分けて、美味しい海鮮物を食べる宿泊を挟んでも良し。仮に一周できなくても、レベルに合わせて内陸をショートカットできることも淡路島ならではの魅力の一つです。

待ちに待った夏がやってきます。残念ながらイベントが相次いで中止に追い込まれている今、自由気ままなライドの目的地として淡路島に足を運ぶなんていかがでしょうか。今回紹介したスポットで実際にスマートフォンで撮影した写真を含めて、淡路島観光協会のアワイチ特設ページをご覧ください。



text:Kei Tsuji
photo:Hiroyuki Nakagawa