ヴィサリア~ベイカーズフィールドの195.5kmで行なわれた第5ステージは、ラスト500mまでの上り坂で絞られた先頭グループをペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)が制し、初ステージ優勝を挙げた。2位のボーナスタイムを得たロジャースはザブリスキーと同タイムに並び、リーダージャージを獲得した。

ランディスの告発による記者会見のためレディオシャックのバスには記者が詰めかけるランディスの告発による記者会見のためレディオシャックのバスには記者が詰めかける (c)CorVos真の山岳ステージではないものの、いくつかのタフな登りを含む第5ステージは、2年連続でホストタウンとなるヴィサリアの街をスタートし、2つのスプリントポイントを経てこの日の最高標高のカテゴリー3級山岳オールドステージロードへと上る。

セントラルバレーを抜けるとゴールのベイカーズフィールドへ向けて大きく下る。しかし残り34km地点にカテゴリー4級のラウンドマウンテンロードがあり、さらにゴール前2kmは短く急に上るプロフィール。上りスプリントが得意な選手、強力なパンチャー向けのステージだと言えた。

アームストロング、ハウッスラー、オグレディが落車・負傷

ランディス騒動にもかかわらずサインをせがまれるアームストロングランディス騒動にもかかわらずサインをせがまれるアームストロング (c)CorVosスタートしてわずか5分、スピードアップした集団で落車が起こった。これに含まれた有力選手は、ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)を筆頭に、リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロテストチーム)、ホセルイス・ルビエラ(スペイン、レディオシャック)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)など。

ツール7連覇チャンピオンのアームストロングは顔面を負傷。おそらくはサングラスで切ったであろう傷から血を滴らせて再び走りだすも、しばらくしてリタイアを決め、10km地点でチームカーに乗り込んだ。オグレディ、ルビエラ、ハウッスラーもリタイアするという事態に。

落車して顔面を切ったランス・アームストロング(レディオシャック)落車して顔面を切ったランス・アームストロング(レディオシャック) (c)CorVosアームストロングは顔面を8針縫う怪我を負ったが、骨折はなかった。春先に負った膝の怪我からの復帰戦となっていたハウッスラーはその怪我とは違う、別の膝を痛め、古傷が再び痛むようになったという。

レース開始後いきなりの落車事故。そこで大会の顔であるアームストロングをはじめ、ハウッスラー、オグレディらスター選手を失い、ライプハイマーの4連覇を狙うレディオシャックの複数名を痛めるという悪いスタートとなった。しかしレースは続く。


序盤、41km地点から以下のリストの6人が逃げに出た。

顔面から血を流しながら走るランス・アームストロング(レディオシャック)顔面から血を流しながら走るランス・アームストロング(レディオシャック) (c)CorVosポール・マッハ(アメリカ、ビッセル)
ベン・デイ(フライVオーストラリア)
グリシャ・ニアマン(ドイツ、ラボバンク)
マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)
クルト・ホヴェルインク(ベルギー、クイックステップ)
ウィル・ディカーソン(アメリカ、ジェリーベリー)

逃げグループはすぐに差を開きだし、80km地点で5分の差をつける。
このなかでもっとも総合成績がいいのは1分49秒遅れの25位につけるポール・マッハ(ビッセル)だ。そして、注目すべきはチームHTCコロンビアでカヴェンディッシュの最終リードアウトをつとめるマーク・レンショー(オーストラリア)が逃げに入っていることだ。
最終周回へと走り抜けて行く選手たち最終周回へと走り抜けて行く選手たち (c)CorVosはたしてHTCコロンビアは今日カヴェンディッシュでは勝ちを狙わないのか、もう諦めてしまったのか、謎を呼ぶ行動だ。

逃げグループと集団の差は4分から5分で推移し、最後の山岳ポイントまで一定した差を持って泳がされ続ける。山岳ポイントの前では逃げグループ内でもアタックがかかり、逃げができそうになる。これをチェックするのはレンショーだ。
レンショーは後半まで後方待機を決め込み、あくまでカヴェンディッシュのアシストとして先頭集団を見張る役割を主張して逃げ続けていた。

ロジャースらを大きく離してゴールするペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)ロジャースらを大きく離してゴールするペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) (c)CorVosその役から開放の許可が出たのは残り19kmのこと。レンショーがアタックし、単独で前を行く。残り20kmを切って後方集団とは2分10秒の差があるが、一緒に逃げる仲間も逃げを許してくれない。5人がお見合いの中アタックを掛けあってはもとに戻りを繰り返しながら一路ゴールの街ベイカーズフィールドへ。

残り13kmで1分45秒差。2kmごとに30秒縮まっていく。
ベイカーズフィールドの街郊外にある大学の前がゴール地点。この近郊を周回するコースを経てゴールとなるが、残り5.4kmでアタックしたのはイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)。


拳を突き上げて雄叫びを挙げながらゴールするペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)拳を突き上げて雄叫びを挙げながらゴールするペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 残り3kmで今日粘った逃げの全員が捕まると、HTCコロンビアが集団戦闘で列車を組み始める。しかしゴール前500mまでは上り坂の急な区間があり、通常の平地系ゴールスプリントとは違う事態になることが予想された。

上りで脚をすり減らして残るのはオールラウンダー系スピードマン。HTCの選手の2番手につけるのはリーダージャージを着たザブリスキーだ。ザブリスキーは残り400mでシッティングで集団の先頭に出てスピードをあげる。その後ろにつくのはサガンだ。

ザブリスキーがスピードを高く保ったままゴールに突っ込むと、冷静な判断で飛び出したのはペーター・サガン。新人賞ジャージを着た若者が、熟練のベテランのようなスプリントでザブリスキーを一蹴、自分のバイクと逞しい下半身を指さしながら余裕のゴールを決めた。

スロバキアから来た驚異の最年少選手、サガンは言う。「今日は自分にとって本当に良かった。スプリント前に軽く上っているこんなゴールは、僕にピッタリあっている」。

そして2位のマイケル・ロジャースがボーナスタイムを獲得してザブリスキーの総合タイムに並ぶ。しかし同タイムの際は順位の合計で少ないほうが上位になるという規定のもと、リーダージャージをザチームブリリスキーから奪うことになった。

マーク・カヴェンディッシュ(HTCコロンビア)は勝負に加われずマーク・カヴェンディッシュ(HTCコロンビア)は勝負に加われず (c)CorVosロジャースは言う「逃げにはマーク(レンショー)が入り、僕らは一日中アクティブだった。ゴールデンジャージを着るのは栄誉だね。ハッピーかって? 上りをうまく登れたし、スプリントもできた。明日はチームが全力をあげて助けてくれる。このジャージを守るためにできることはすべてしたいね」。



アームストロングはレントゲン検査を終えて骨折等は認められなかった。
アームストロング自身がTwitterに顔面の怪我の写真を投稿しているとおり、怪我はすれどひとまずは無事だったと言える。しかしツール・ド・フランスに向けて重要な調整レースだったレースをリタイアしなくてはいけないという、不安材料をまたひとつ残すことになった。そして、レディオシャックにとっては逆転4連覇を目指すライプハイマーの最強のアシストであるアームストロングやルビエラらを本格山岳を前に失うという困難な事態になった。





第5ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)4h52'28"
2位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)
3位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)1
4位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
5位 ポール・マルテンス(オランダ・ラボバンク)
6位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)
7位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)
8位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
9位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)
10位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)


個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)22h56'59"
2位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) 
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)+10"
4位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)  +15"
5位 マーク・デマール(ユナイテッドヘルスケア・マキシス) +28"
6位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +31"
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
8位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
10位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)

ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTCコロンビア)

山岳賞
ライアン・アンダーソン(カナダ・ケリーベネフィット)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)

チーム総合成績
レディオシャック



text:MakotoAYANO
photo:(c)CorVos

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