タイの合宿地で過ごす新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が公式メールニュースでメッセージを発表。タイに避難している今の心境や、大怪我からリハビリを経て復帰した経緯と重ねた思い、そして東京オリンピック延期に対しての思いが綴られている。



新城幸也(バーレーン・マクラーレン)新城幸也(バーレーン・マクラーレン) photo:Kei Tsuji
新城の公式メールニュース「TEAM ユキヤ通信」によれば、新城は3月10日にフランスに戻った際に出場予定だったレースの中止を告げられ、フランス国内のロックダウン(都市封鎖)の可能性や、UCIが公式レースの開催を中止したこと、チームが各選手に帰国するよう指示したこと、日本国内の感染状況など様々な状況を踏まえてタイの合宿地に避難することを選択。フランス国内にロックダウンが発令されるその日午後のフライトで出国し、現在はタイ北部にある合宿所で日々過ごしているという。

新城はメールニュースの中で「皆さん、いかがお過ごしでしょうか?大丈夫ですか?世界中の皆さんが不安な日々を過ごしている中、あらゆる種目のスポーツ選手たち、トップアスリートのみんなが、いろいろな発信をする中で、レースがない自分は何もできないのではないかと無力さを感じ、自分が何を発信すればいいのか、どんな言葉が正しいのかと迷いがありました」と前置きした上で、

「自分は、昨年3月、怪我をして病院のベッドでレースを見ていました。何か月も走れない時期は、また絶対に走れるようになる、レースに復帰するという強い思いで、その期間を耐えてきました。何もできない治療中では、1日1日、今日は顔が洗えるようになったとか、松葉づえなしで歩けたとか、そんな一つ一つの進歩に幸せを感じる毎日でした。そして、レースを走れるようななった時は何百倍も楽しくて、嬉しかったです。皆さんも今は耐える時期、我慢の時期ですが、この状況を克服できたとき、きっと当たり前だった生活が何倍にも幸せに感じるはずです」。とメッセージを綴っている。

ツアー・ダウンアンダーを走った新城幸也(バーレーン・マクラーレン)ツアー・ダウンアンダーを走った新城幸也(バーレーン・マクラーレン) photo:Kei Tsuji
タイへの避難を選んだ新城だが、首都バンコクをはじめ各都市ではロックダウン措置を講じられいるほか、現在4月18日までの国際線旅客機の着陸禁止、全ての陸上国境閉鎖など規制が実施され、日本への帰国も目処がついていない。ユキヤ通信では「今、皆さんが家で過ごすことができるのであれば、家族や大切な人に寄り添ってください。私は今、家族と一緒に過ごすことができません。何かあっても助けることができません。世界中、安全といえる場所はどこにもないのなら、家族に寄り添っていれば良かったと後悔しています……。」と心境がつづられている。

しかしその一方、「だからと言って、急いで実家に避難し足りすることは絶対に止めてください。もし自分が感染していたら、家族や地元のみんなを命の危険に晒すことになるということをよく考えてください。私の故郷石垣島のような離島は医療施設も整っていませんし、高齢者も多いですから、とても心配です。今の自分にできることは、このことを呼びかけるだけですが、これだけは本当に一人一人の心に届いて欲しいです」と帰省による感染拡大を抑えるメッセージも発信した。

またオリンピックが延期されたことに対しては、「1年延期になったことは世界中のどのアスリートも同じ条件ですから、まずはどんな状況でも、代表に選ばれるためにレースが再開される時まで、しっかり備えながら、選考基準に関しての判断を待ちます」と語っている。

「必ず世界に平穏に戻ると信じて、その時を静かに待ちましょう。自分はレースが再開したら、また皆さんに応援してもらえるように、皆さんに勇気や元気を届けられる走りができるように、今はしっかり備えます。そしてまた、何倍もの笑顔でお会いできますように!!」。

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