ディメンションデータ(来季NTTプロサイクリング)のニコラス・ドラミニ(南アフリカ)が腕を骨折したというニュースが入ってきた。原因は国立公園役人に暴力的に拘束されたことによるもの。SNSにはその際撮影された動画がアップロードされ、全世界で大きな波紋を呼んでいる。



ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、NTTプロサイクリング体制発表会にて)ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、NTTプロサイクリング体制発表会にて) photo:So.Isobe
事件は12月27日、南アフリカ国立公園局(SANParks)が管理するテーブルマウンテン国立公園内をドラミニがトレーニングで通過した際役人に呼び止められたことで起きた。目撃者がSNSに投稿した動画内では役人がドラミニの手を無理やり背中側に曲げて拘束する様子が映されており、その後病院に搬送されたドラミニには左上腕骨という診断が下された。

チームは即座にプレスリリースを出し、「あらゆる暴力を完全に非難し、我々のチームメイトがこのように扱われたのを見て非常に苦しめられたことを明確にする」と強い言葉で非難。プレスリリースによれば、ドラミニは高速走行中に役人によって落車させられ、その後目撃者によって動画が撮影されたという。チームは国立公園局に対し、詳細状況とイメージダウンに対する観光客への釈明、東京オリンピックを目指しトレーニングを重ねていたドラミニに対しての説明、そしてドラミニと撮影者に対する全面謝罪、関係役人への即時懲戒手続きを求めている。

一方国立公園局が出したプレスリリースによれば、ドラミニは入園料金の支払い、あるいは通行許可証を保持しておらず、結果的に身柄を取り押さえることになったという。プレスリリースの中で役人の暴力行為については触れられておらず、「彼(ドラミニ)自身で怪我を負った疑いがある」と記載されたことも波紋を呼んでいる。

ドラミニは下部育成チームを経て2018年にディメンションデータのメンバーとなり、今年のブエルタ・ア・エスパーニャで南アフリカ出身選手初の完走を遂げた24歳。NTTプロサイクリングの体制発表に合わせて来日し、オリンピックコースの試走なども行なっていた。

text:So.Isobe