12月1日までの4日間で開催されたUCIトラックワールドカップ第3戦香港大会。最終日に日本勢が活躍し、女子オムニアムで梶原悠未が金、男子スプリントの深谷知広と女子ケイリンの小林優香がそれぞれ銅メダルを獲得した。



多くの香港ファンが詰め掛けたUCIトラックワールドカップ第3戦多くの香港ファンが詰め掛けたUCIトラックワールドカップ第3戦 photo:So.Isobe
女子ケイリン 銅メダルを獲得した小林優香(ドリームシーカー/日本)女子ケイリン 銅メダルを獲得した小林優香(ドリームシーカー/日本) photo:So.Isobe
女子ケイリン 混戦のスプリントで3位に食い込む小林優香(ドリームシーカー/日本)女子ケイリン 混戦のスプリントで3位に食い込む小林優香(ドリームシーカー/日本) (c)JCFインタビューに応じる小林優香(ドリームシーカー/日本)インタビューに応じる小林優香(ドリームシーカー/日本) photo:So.Isobe


懸念されていた暴動も沈静化した中で開催されたトラックワールドカップ第3戦。女子ケイリンの小林優香(ドリームシーカー)は1回戦を1位、2回戦を3位で勝ち上がり、世界王者で香港のスター選手、リー・ワイジーらが揃った決勝戦ではイ・ヘジン(韓国)とリウボフ・バソワ(ウクライナ)に次ぐ3着に入り銅メダルを獲得した。

金メダル狙いを公言していた小林。表彰式では笑顔を見せながらも「悔しい気持ちが強い」と悔しさを口にした。「金メダルを狙っている中で、内側に詰まっての銅メダルになってしまったので悔しいです。レースの組み立てが課題に残っている中で、直ぐ次のレースなので次は金メダルを狙いたいです」とコメントを残している。

男子スプリント準決勝 ジェフリー・ホーフラント(オランダ)と争う深谷知広(日本)男子スプリント準決勝 ジェフリー・ホーフラント(オランダ)と争う深谷知広(日本) photo:So.Isobe男子スプリント マテウシュ・ルディク(ポーランド)を下した深谷知広(日本)男子スプリント マテウシュ・ルディク(ポーランド)を下した深谷知広(日本) (c)JCF

男子スプリント 2大会連続で銅メダルを射止めた深谷知広(日本)男子スプリント 2大会連続で銅メダルを射止めた深谷知広(日本) photo:So.Isobe
男子スプリントの深谷知広は、一人ずつタイム計測を行う予選を3位で通過し、1/16決勝でミシェル・アルメイダ(フランス)を、1/8決勝でアジズルハスニ・アワン(マレーシア)を、準々決勝で同じく勝ち上がってきた河端朋之を下し欧州王者ジェフリー・ホーフラント(オランダ)との準決勝へと進出。ホーフラントには負けを喫したものの、3位決定戦ではマテウシュ・ルディク(ポーランド)にストレート勝ちして銅メダルを確保。深谷の銅メダルは11月9日に行われたワールドカップ第2戦グラスゴーに続く2連続で、その際は日本にとって14年ぶりのメダル獲得だった。1位は圧巻のレース運びを見せた世界王者のハリー・ラブレイセン(オランダ)。1〜4位までグラスゴーと同じ顔ぶれが並んだ。

「途中から疲れが出ていたので最後のメダル決定戦は厳しいかな、と思っていましたが、前回よりも(酸欠による)頭痛も1レース遅れてやってきましたし、(メダル争いは)1本走って良い感触を掴めて最後は自信を持つことができました。前回と同じメンバーの中で、決して前回の結果がまぐれではないことを証明できました。今回は新しい試みを行った上での結果なのでまだまだ伸びしろもあるなと感じます。次にしっかりと繋げたいですね」(深谷知広)。

アジアチャンピオンジャージを着用する梶原悠未(日本)がスタートを待つアジアチャンピオンジャージを着用する梶原悠未(日本)がスタートを待つ photo:So.Isobe
女子オムニアム  エリミネーションでマリア・マルティンス(ポルトガル)と一騎打ちを繰り広げる梶原悠未(日本)女子オムニアム エリミネーションでマリア・マルティンス(ポルトガル)と一騎打ちを繰り広げる梶原悠未(日本) photo:So.Isobe
スクラッチ、テンポレース、エリミネーション、そしてポイントレースという4種目の合計得点で争われるオムニアムの女子レースに出場したのが梶原悠未(日本)。ロードでもトップスプリンターとして活躍するヨリーン・ドール(ベルギー)がスクラッチで勝利し、集団に囲まれた梶原は7位から逆転を狙う形に。

毎周回1着でフィニッシュラインを通過した選手に1ポイントが与えられる第2種目テンポレースでは、梶原は中盤までに2ポイントを獲得して全体の3位フィニッシュ。続くエリミネーション(2周に1度最後尾の選手が除外される)では強いレース運びで2人まで残り、最後は圧巻のスプリント力でマリア・マルティンス(ポルトガル)を下して勝利。最後のポイントレースでは着実に得点を重ねて首位を走るマルティンスと同ポイントに並び、最後は再び圧巻のスプリントで先行して勝利。最後は観客席から受け取った日の丸を掲げてウイニングランを行い、香港ファンから大声援を浴びた。

女子オムニアム 日の丸を掲げてウイニングランを行う梶原悠未(日本)女子オムニアム 日の丸を掲げてウイニングランを行う梶原悠未(日本) photo:So.Isobe
女子オムニアム 2年ぶりの金メダルを獲得した梶原悠未(日本)	女子オムニアム 2年ぶりの金メダルを獲得した梶原悠未(日本) photo:So.Isobe
「ここ数日はオムニアムの夢を見るほどオムニアムのことを考えてきた」と言う梶原の、今シーズン初優勝。「2年前に金メダルを取ってから何度も悔しい思いをしてきたのですが、その度にそれ以上の努力を重ねてきました。今回は誰よりも勝つ準備が整っていたと思います。最初の2種目はあまり良くありませんでしたが、練習が裏付ける自信は感じていました。巻き返すことができてほっとしています。これまではいつもポイントレースでチャンスを逃すことが多く、今日はその分最後まで集中していました。次戦はより強いメンバーが出場するはずなので、そこでもきっちりと結果を出したいと思います」と気持ちを引き締めた。
男子スプリント結果
1位 ハリー・ラブレイセン(オランダ)
2位 ジェフリー・ホーフラント(オランダ)
3位 深谷知広(日本)
男子ケイリン結果
1位 カラム・サウンダーズ(ニュージーランド)
2位 ジェイソン・ケニー(イギリス)
3位 マティエス・ブフリ(オランダ)
5位 新田祐大(日本)
10位 河端朋之(JPC/日本)
男子スクラッチ結果
1位 ロイ・エーフティング(オランダ)
2位 クリストス・ヴォルカキス(ギリシャ)
3位 コルビン・ストロング(ニュージーランド)
10位 沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング/日本)
男子オムニアム結果
1位 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド) 142pts
2位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ) 133pts
3位 ティエリー・シェアー(スイス) 125pts
11位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング/日本) 82pts
男子チームスプリント結果
1位 オランダ(ホーフラント、ラブレイセン、ファンデンベルグ)
2位 ドイツ(ビヒラー、ベティヒャー、エングラー)
3位 フランス(ボジェ、ダルメイダ、エラ)
6位 日本(雨谷一樹、新田祐大、深谷知広)
男子チームパーシュート結果
1位 ドイツ(グロス、ラインハート、ローデ、ワインシュタイン)
2位 ニュージーランド(セクストン、ケネット、ケルゴゾウ、ストロング)
3位 スイス(シェアー、ティーボー、ティエリ、フォーゲル)
7位 チームブリヂストンサイクリング(今村駿介、窪木一茂、近谷涼、沢田桂太郎)
男子マディソン結果
1位 ドイツ(クルーゲ、ラインハート)
2位 ニュージーランド(セクストン、スチュワート)
3位 イギリス(スチュワート、ライト)
10位 チームブリヂストンサイクリング(今村駿介、窪木一茂)
女子スプリント結果
1位 リー・ワイジー(香港)
2位 エマ・ヒンツェ(ドイツ)
3位 ケルシー・ミッチェル(カナダ)
13位 小林優香(ドリームシーカー/日本)
16位 太田りゆ(日本)
女子ケイリン結果
1位 イ・ヘジン(韓国)
2位 リウボフ・バソワ(ウクライナ)
3位 小林優香(ドリームシーカー/日本)
女子スクラッチ結果
1位 アニタイヴォンヌ・ステンベルグ(ノルウェー)
2位 ヴェレナ・エベルハルト(オーストリア)
3位 マリア・マルティンス(ポーランド)
14位 鈴木奈央(日本)
女子オムニアム結果
1位 梶原悠未(日本) 113pts
2位 マリア・マルティンス(ポルトガル) 113pts
3位 ヨリーン・ドール(ベルギー) 106pts
女子チームパーシュート結果
1位 ニュージーランド(ドラモンド、シェアーマン、シールズ、ウォラストン)
2位 ベルギー(ドール、コペッキー、ボシュイ、ドム)
3位 韓国(ヤン、カン、リ、ナ)
6位 日本(梶原悠未、鈴木奈央※予選は古山稀絵、上野みなみ、吉川美穂)
女子マディソン結果
1位 デンマーク(レス、シュミット) 31pts
2位 ニュージーランド(シールズ、ホッジ) 24pts
3位 イタリア(グァッツィーニ、コンソンニ) 18pts
11位 日本(梶原悠未、古山稀絵) 3pts
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