UCIプロツアーレーサーとしていよいよシーズンインが近づいた新城幸也(Bboxブイグテレコム)。「だいぶ楽しみです。タイ合宿では調子を上げ過ぎず、長い距離を中心に乗ってきました。つまり、シーズンを通してぶっ壊れない身体を作る、その準備がメインでしたね」と新城は言う。

およそ20日間の合宿で、かなり身体の準備ができた様子だ。引き締まった目元。いつも前向きな態度が凛々しい。


・Bboxブイグテレコムでの初戦はこう走る

新城幸也(Bboxブイグテレコム)新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:大前 仁新城のレーススケジュールについて言えば、まず初戦は2月上旬に開催されるツール・ド・ランカウイ(2.HC)となる。
ヨーロッパ勢にとってはシーズンイン前の脚馴らし的意味合いもあるが、区間1勝で8000マレーシア・リンギ(1月30日現在のレートで約20万円)、総合優勝は25000リンギ(同約60万円)だから、Bboxブイグテレコムが本気で狙いに来ることも大いにありうる。

新城は「まずはアシストをちゃんとこなすつもりです。(全7ステージのうち)後半に上げていく感じでイメージしています」と話す。

今シーズン、筆者的に一番のクライマックスはブエルタ・ア・エスパーニャ、そしてジャパンカップだ。石垣島生まれで「暑い方が得意」という新城にとって、いきなりツール・ド・フランスに出るよりも、ブエルタの方が活躍のチャンスのはず。

そして、レーススケジュール上で6~7月の予定が埋まっていない点は、そこまでの調子をみてセレクションと言い渡されているから、ツールの可能性ももちろん残されているのだ。

EQA・梅丹本舗・グラファイトデザインの水谷壮宏監督は「ブイグの選手や関係者は驚くと思いますよ、幸也の強さに。今年、早々にツールにも出るんじゃないかな」と語っている。

「これと、このレースに出るかい?」(ベルノドー)「ウイ(そうですね)」新城「これと、このレースに出るかい?」(ベルノドー)「ウイ(そうですね)」新城 photo:大前 仁新城は「初戦のティレーノ・アドリアティコ(3月)は特にちゃんと走りたい。なんでも最初が大事と言うでしょ? ヨーロッパ初戦として、いい印象でスタートしたいと思っている。欧州トッププロはレベルが高いのは分かっているし、アシストの仕事がメインだと思うけど、最後にも残れるように走りたい」と話した。

昨年12月4日にBboxブイグテレコムの運営会社、ヴァンデ・シクリズムでの契約を済ませた新城幸也は、現地でバイクのセッティングを行った。といっても新車ではなく、とりあえずオフの間乗るためのバイクを与えられたのだ。そのバイク、タイム・VXRSアルティウム・ワールドスターは、Bboxブイグテレコムのチームメートで背のあまり高くないユーリ・トロフィモフが昨シーズンに使っていたもの。

新城のバイクを組むメカニシャンたち新城のバイクを組むメカニシャンたち photo:大前 仁ハンドルバーやステム、サドルなどを新城の好みのもの、そしてセッティングに合わせていく。これを採寸し、初戦のツール・ド・ランカウイには、タイム・RXRアルティウムの新車がチームのスタッフによって運び込まれるというわけだ。また、フランスではTTバイクのポジション出しも同時に行われた。

サドルはスポンサーのセライタリアからSLR、同ゲルフロウ、そしてフライトが選べるなか、新城はフライトをチョイスした。同様にハンドルはFSAのコンパクト・シャローを選んだ。ブレーキワイヤーの取り回しを「右が前」と指定すると、「おお、イタリアンだな(笑)」といいながらメカニックが作業を続ける。

クランク長172.5mmを見て新城が170へと交換を申し出ると、「これがミニマムだ」とダメ出しを受ける。
「どうしても痛くなれば換えてもいいが、とりあえず使ってみろ」と指示される。もう大腿骨長は伸びることがないので、あとはこれを踏めるパワーを身につけろ、というわけだ。

新城はこのバイクを日本に持ち帰り、練習を開始。1月中に行ったタイでの走り込みでもこのクランク長で行い、徐々に馴染んできている様子だ。

チームバスの大きさにビックリ。「規模が違うな~」チームバスの大きさにビックリ。「規模が違うな~」 photo:大前 仁
新城幸也の初戦、ツール・ド・ランカウィは2月9日、マレーシアのクアラルンプール近郊、プトラジャヤでスタートする。ブイグの監督はフィリップ・モデュイ。かつて日本鋪道レーシングチームで走っていたことのある親日家だ。

元のチームであるEQA・梅丹本舗・グラファイトデザインも、水谷監督のもと、6人が参戦する。

cyclowired.jpではもちろんこのレースレポートについても配信する予定です。ご期待ください。

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